2006年12月04日「35年目のリクエスト」 亀渕昭信著 白泉社 1365円
著者の亀渕昭信さんって知ってる?
いま、ニッポン放送の相談役。てことは、ライブドアによる「ニッポン放送株式買い占め事件」の時、テレビでインタビューされてた時の社長?
そうそう。
だけど、団塊世代の皆様からすれば、「カメ」といったほうがわかりやすいかも?
そう、カメ&アンコーのカメさん。35年前、深夜放送「オールナイトニッポン」のパーソナリティやってた人(深夜放送のアナウンサーはアナウンサーではなく、ディスクジョッキー(DJ)でもなく、やっぱパーソナリティなんだよね)。
当時、私は14歳。中2。12歳から深夜放送聞いてたもんね。自分でもパーソナリティの真似事したくてさ、中学で放送部なんて入っちゃった。
「おまえ、なんで野球部入らねぇの?」
小学校の時はリトルリーグで野球ばっかやってたから不思議がられるのも当たり前だよ。
深夜放送大好きで、中学時代も熱心に聞いてたけど、ピークは高校生の時だね。ハガキ書いてせっせと送ってたもの。受験勉強の合間、というより深夜放送の合間に少し勉強してただけだもんなぁ。
そういえば、♪パパパパパーン パパパパーン♪というハイドンの音楽ではじまる「ラジオ講座」にはお世話になりました。西尾孝さん、勝浦捨造さん(だっけ?)・・・この番組、とっくになくなっちゃった。いつ消えたんだろ? やっぱ少子化の影響かな。旺文社がやってたんだよね。
私の愛機はソニー・スカイセンサー5800! これ高かったんだけど、「ラジオ講座はこれでしか聴けない!」って親を騙して買ってもらっちゃった。当時の最高機種で、クラスでも1人しかもってなかった。それほど高価(ほら、ボク、お坊ちゃまだから)。
日曜深夜は在京ラジオ局は休みなの。けど、寂しいから周波数をいろいろ探す。すっと名古屋とか大阪でいい放送やってんだ。地球の裏側まで聴けちゃうから、わけのわかんない言葉がしょっちゅう飛び込んでくる。まっ、いま思えば、北朝鮮の放送だったんだけどね・・・トホホ。
いつも聞いてたのは、「オールナイトニッポン」「セイヤング」「バック・イン・ミュージック」。なんだ、全部じゃねぇか!
あのね、深夜放送ってのはね、「番組」じゃなくて「パーソナリティ」で聞くんだよ。ていうことは、毎日、聞いてる番組が違うわけ。
たとえば、贔屓のパーソナリティは、「セイヤング」なら土居まさる、みのもんた、せんだみつお、落合恵子、かぜ耕士、谷村新司・ばんばひろふみ、笑福亭鶴瓶、吉田照美、吉田拓郎。
「オールナイトニッポン」だと、泉谷しげる、イルカ、かぜ耕士、小林麻美(きゃー恥ずかしい!)、笑福亭鶴光でおま、タモリ、ビートたけし、松山千春、吉田拓郎とか。
「パック・イン・ミュージック」では、愛川欽也(カトリーヌ)、山本コウタロー、小島一慶、野沢那智・白石冬美、北山修、林美雄(すべて敬称略)とかね。
それぞれのパーソナリティは個性によって贔屓のリスナー(聴取者)がいるわけ。で、リスナーを巻き込んで一緒に番組を作っていくってスタンスなんだ。
どれも名物の「投稿コーナー」があんのね。これが最高でさ、深夜にげらげら1人で大笑い。
好きだったのはナッチャコの「お題拝借コーナー」だな。バカ話から救いようのない悲話までいろいろあってさ。ハイネか中原中也」と噂された多感な文学少年のボクちゃんにはとっても刺激的だったね。
参考までに、このコーナーで傑作だったのは「検便の話」かな(悪いね、詩人から一挙に下げちゃって)。
昔は検便といっても学校から配布される容器なんかなくてさ、各自、適当に入れてもってくんだよ。たとえば、小さなマッチ箱とかね(私の時代は保健所の規格品でしたよ!)。
ところが、とんでもないヤツがいてさ、ちょっと変なヤツなんだ、そいつ。「おいおい、あいつ、どんなのに入れてくっかな?」って、周囲にもちょっと期待させるタイプのヤツ(いるよね、そういうの)。
で、そいつ、いったいなんに入れてきたと思う?
なんとなんと、なんと、もういっちょナントの勅令!
「キューピーマヨネーズの瓶!」
「それも最初から終わりまでまるまる1本!」
これにはクラス中がどよめいた。先生ものけぞった。だって、検便集めるビニール袋に入らないんだもん。教卓の上にどーんと置いてあるんだもん。
「おい、なんだ。ありゃ?」
「おいおいおい」
インターネットより情報が早くて、もうよそのクラスからもみな見学に来ちゃう。瓶が透明だから、ぜ〜んぶ見えちゃうの。これは面白いというか、後学のためにもやっぱ見といたほうがいいよね。
こいつ、おバカなようでいて変に賢いというか。マヨネーズの瓶
を思いつくとこなんて、ある意味、天才じゃないかな。だって、ほかにもいろいろあんだろうに。どうして、マヨネーズの瓶かね?
たぶん、親にも相談したんだろうね。「これがいいんじゃない? このまま肛門にピタッとつければ簡単よ」なんてね。で、見事に1本まるまるだもの。ほとんど芸術品だよね。そのまま、「ウン○の一生」って標本にもなりそうだし。
まっ、ある意味で期待を超える活躍をしてくれたわけで、それはそれで良かったのかもしれない。同窓会ではスターだろうね、きっと。
ナッチャコの常連ではペンネーム「輝け!早稲田の星」というのがいたな。結局、この人、「セントポール☆(スター)」と改名すんだけどさ。
「セイヤング」谷村さんの「天才、秀才、バカ」コーナーも大受けだったな。
芸者が3人やってきた。
天才芸者「竹千代で〜す」
秀才芸者「豆千代で〜す」
バカ芸者「フェラ千代で〜す」
えっ、つまんない? あれ? 私ゃ、もう大受けで3日間くらい馬鹿笑いしてたけどね。
翌朝、母親から「いったいなにがそんなにおかしかったのよ?」と突っ込まれて、言うに言えずにいたね。参考までに、これ、このコーナーの第1回採用ネタなんだよ。
山本コウタローさんの「恥の上塗りコーナー」も良かったなぁ。これも腹がよじれるほど笑ってしまった。
つまり、深夜放送というのは、リスナーとのコラボだったのよ。リスナーにとっても小さな自己実現の機会だったんだな、きっと。そういえば、「セカチュー」の男子生徒もそうだったよね。
パーソナリティは「話し相手」「媒介者」。だから、「みなさん」という言葉は絶対に使わなかった。「みなさん」と言ったとたん、「十把一絡げ」になっちゃうじゃん? やっぱ、「ボク」「わたし」1人だけに話しかけてもらいたいのよ。オンリーワンなわけね。
土居まさるさんなんて、いきなり、「おまえ」呼ばわりだったものね。
参考までに、この人、局アナなんだけど、「聴取者様におまえ呼ばわりしてる」ってんで譴責処分受けちゃってさ。本名では放送させてもらえなかったんだよ。
土居まさるって、これ、パーソナリティ・ネームなんだもん。
この話については、「昔 ここにラジオがあった 四谷村物語」(東洋書店)って本に書いてたから、今度、ご紹介します。これは文化放送のみなさんがまとめた本なのね。
さて、ずいぶん前置きが長くなっちゃったけど、本書はカメさんが35年ぶりにリスナーを訪ねて歩く、そう、「探訪ルポ」なのよ。
どうして、そんなことするようになったか?
まっ、いろいろあんだけど、母亡き後、整理してたら押入れから箱が出てきた。あけてみると、これが35年前のハガキの束。その頃、カメさん、パーソナリティやってたの。
普通、ハガキ絶対に家には持ち帰らない。理由? 1週間に1万通も来るんだよ。そのすべてを読む。家に持ってくだけでもたいへんなのさ。
けど、どういうわけか、その一部が箱にあった。しかも返事を書いたものの投函してないものまであった。この人たち、どうしてるだろう? カメさんの青春探訪がはじまるわけさ。
もち、あなたの青春探訪もプレイバック。250円高。
いま、ニッポン放送の相談役。てことは、ライブドアによる「ニッポン放送株式買い占め事件」の時、テレビでインタビューされてた時の社長?
そうそう。
だけど、団塊世代の皆様からすれば、「カメ」といったほうがわかりやすいかも?
そう、カメ&アンコーのカメさん。35年前、深夜放送「オールナイトニッポン」のパーソナリティやってた人(深夜放送のアナウンサーはアナウンサーではなく、ディスクジョッキー(DJ)でもなく、やっぱパーソナリティなんだよね)。
当時、私は14歳。中2。12歳から深夜放送聞いてたもんね。自分でもパーソナリティの真似事したくてさ、中学で放送部なんて入っちゃった。
「おまえ、なんで野球部入らねぇの?」
小学校の時はリトルリーグで野球ばっかやってたから不思議がられるのも当たり前だよ。
深夜放送大好きで、中学時代も熱心に聞いてたけど、ピークは高校生の時だね。ハガキ書いてせっせと送ってたもの。受験勉強の合間、というより深夜放送の合間に少し勉強してただけだもんなぁ。
そういえば、♪パパパパパーン パパパパーン♪というハイドンの音楽ではじまる「ラジオ講座」にはお世話になりました。西尾孝さん、勝浦捨造さん(だっけ?)・・・この番組、とっくになくなっちゃった。いつ消えたんだろ? やっぱ少子化の影響かな。旺文社がやってたんだよね。
私の愛機はソニー・スカイセンサー5800! これ高かったんだけど、「ラジオ講座はこれでしか聴けない!」って親を騙して買ってもらっちゃった。当時の最高機種で、クラスでも1人しかもってなかった。それほど高価(ほら、ボク、お坊ちゃまだから)。
日曜深夜は在京ラジオ局は休みなの。けど、寂しいから周波数をいろいろ探す。すっと名古屋とか大阪でいい放送やってんだ。地球の裏側まで聴けちゃうから、わけのわかんない言葉がしょっちゅう飛び込んでくる。まっ、いま思えば、北朝鮮の放送だったんだけどね・・・トホホ。
いつも聞いてたのは、「オールナイトニッポン」「セイヤング」「バック・イン・ミュージック」。なんだ、全部じゃねぇか!
あのね、深夜放送ってのはね、「番組」じゃなくて「パーソナリティ」で聞くんだよ。ていうことは、毎日、聞いてる番組が違うわけ。
たとえば、贔屓のパーソナリティは、「セイヤング」なら土居まさる、みのもんた、せんだみつお、落合恵子、かぜ耕士、谷村新司・ばんばひろふみ、笑福亭鶴瓶、吉田照美、吉田拓郎。
「オールナイトニッポン」だと、泉谷しげる、イルカ、かぜ耕士、小林麻美(きゃー恥ずかしい!)、笑福亭鶴光でおま、タモリ、ビートたけし、松山千春、吉田拓郎とか。
「パック・イン・ミュージック」では、愛川欽也(カトリーヌ)、山本コウタロー、小島一慶、野沢那智・白石冬美、北山修、林美雄(すべて敬称略)とかね。
それぞれのパーソナリティは個性によって贔屓のリスナー(聴取者)がいるわけ。で、リスナーを巻き込んで一緒に番組を作っていくってスタンスなんだ。
どれも名物の「投稿コーナー」があんのね。これが最高でさ、深夜にげらげら1人で大笑い。
好きだったのはナッチャコの「お題拝借コーナー」だな。バカ話から救いようのない悲話までいろいろあってさ。ハイネか中原中也」と噂された多感な文学少年のボクちゃんにはとっても刺激的だったね。
参考までに、このコーナーで傑作だったのは「検便の話」かな(悪いね、詩人から一挙に下げちゃって)。
昔は検便といっても学校から配布される容器なんかなくてさ、各自、適当に入れてもってくんだよ。たとえば、小さなマッチ箱とかね(私の時代は保健所の規格品でしたよ!)。
ところが、とんでもないヤツがいてさ、ちょっと変なヤツなんだ、そいつ。「おいおい、あいつ、どんなのに入れてくっかな?」って、周囲にもちょっと期待させるタイプのヤツ(いるよね、そういうの)。
で、そいつ、いったいなんに入れてきたと思う?
なんとなんと、なんと、もういっちょナントの勅令!
「キューピーマヨネーズの瓶!」
「それも最初から終わりまでまるまる1本!」
これにはクラス中がどよめいた。先生ものけぞった。だって、検便集めるビニール袋に入らないんだもん。教卓の上にどーんと置いてあるんだもん。
「おい、なんだ。ありゃ?」
「おいおいおい」
インターネットより情報が早くて、もうよそのクラスからもみな見学に来ちゃう。瓶が透明だから、ぜ〜んぶ見えちゃうの。これは面白いというか、後学のためにもやっぱ見といたほうがいいよね。
こいつ、おバカなようでいて変に賢いというか。マヨネーズの瓶
を思いつくとこなんて、ある意味、天才じゃないかな。だって、ほかにもいろいろあんだろうに。どうして、マヨネーズの瓶かね?
たぶん、親にも相談したんだろうね。「これがいいんじゃない? このまま肛門にピタッとつければ簡単よ」なんてね。で、見事に1本まるまるだもの。ほとんど芸術品だよね。そのまま、「ウン○の一生」って標本にもなりそうだし。
まっ、ある意味で期待を超える活躍をしてくれたわけで、それはそれで良かったのかもしれない。同窓会ではスターだろうね、きっと。
ナッチャコの常連ではペンネーム「輝け!早稲田の星」というのがいたな。結局、この人、「セントポール☆(スター)」と改名すんだけどさ。
「セイヤング」谷村さんの「天才、秀才、バカ」コーナーも大受けだったな。
芸者が3人やってきた。
天才芸者「竹千代で〜す」
秀才芸者「豆千代で〜す」
バカ芸者「フェラ千代で〜す」
えっ、つまんない? あれ? 私ゃ、もう大受けで3日間くらい馬鹿笑いしてたけどね。
翌朝、母親から「いったいなにがそんなにおかしかったのよ?」と突っ込まれて、言うに言えずにいたね。参考までに、これ、このコーナーの第1回採用ネタなんだよ。
山本コウタローさんの「恥の上塗りコーナー」も良かったなぁ。これも腹がよじれるほど笑ってしまった。
つまり、深夜放送というのは、リスナーとのコラボだったのよ。リスナーにとっても小さな自己実現の機会だったんだな、きっと。そういえば、「セカチュー」の男子生徒もそうだったよね。
パーソナリティは「話し相手」「媒介者」。だから、「みなさん」という言葉は絶対に使わなかった。「みなさん」と言ったとたん、「十把一絡げ」になっちゃうじゃん? やっぱ、「ボク」「わたし」1人だけに話しかけてもらいたいのよ。オンリーワンなわけね。
土居まさるさんなんて、いきなり、「おまえ」呼ばわりだったものね。
参考までに、この人、局アナなんだけど、「聴取者様におまえ呼ばわりしてる」ってんで譴責処分受けちゃってさ。本名では放送させてもらえなかったんだよ。
土居まさるって、これ、パーソナリティ・ネームなんだもん。
この話については、「昔 ここにラジオがあった 四谷村物語」(東洋書店)って本に書いてたから、今度、ご紹介します。これは文化放送のみなさんがまとめた本なのね。
さて、ずいぶん前置きが長くなっちゃったけど、本書はカメさんが35年ぶりにリスナーを訪ねて歩く、そう、「探訪ルポ」なのよ。
どうして、そんなことするようになったか?
まっ、いろいろあんだけど、母亡き後、整理してたら押入れから箱が出てきた。あけてみると、これが35年前のハガキの束。その頃、カメさん、パーソナリティやってたの。
普通、ハガキ絶対に家には持ち帰らない。理由? 1週間に1万通も来るんだよ。そのすべてを読む。家に持ってくだけでもたいへんなのさ。
けど、どういうわけか、その一部が箱にあった。しかも返事を書いたものの投函してないものまであった。この人たち、どうしてるだろう? カメさんの青春探訪がはじまるわけさ。
もち、あなたの青春探訪もプレイバック。250円高。