2006年12月05日「シュガーな俺」 平山瑞穂著 世界文化社 1470円
最初に言っとくけど、これ、映画になります。とっても映画になりやすい小説です。
なんなら、脚本、書いたろか?
それにしても、「糖尿病」をテーマにした小説っていいね。でも、ネタにできないことはない。
だって、「明日の記憶」は若年性アルツハイマーだったし、「セカチチュー」は手垢がついてるけど白血病だったでしょ?
だから、糖尿病もありなんだよ。
けど、糖尿病ってさ、なんかオヤジの病気みたいじゃん。で、暴飲暴食で、あくに酒が好きで、でっぷり太ってて、意志薄弱ででケーキなんかみたら意地汚く食べちゃう・・・みたいなイメージがありますよね。
これ、まったくの誤解でした。まぁ、そういう人もいると思います。基本的に生活習慣病だからね。でも、どんなに生活習慣に気をつけても、遺伝、体質もおおいに関係してる。
主人公は33歳のサラリーマン。歌舞伎町の会社に勤めるサラリーマンなのね。
「最近、やせたね」
「喉が渇くんだよ」
「1度、病院で診てもらったら?」
原因不明の激やせ、異常な喉の渇き、水分(ジュース)の過剰摂取、頻尿多尿、倦怠感・・・糖尿病の典型的な症状です。
どうして尿の量が増えるのか? 血液がいつも濃い状態にあるから、浸透圧の関係で水分が細胞側から血液中に絞り出されてしまうわけ。ということは、身体はいつも砂漠状態だからむやみやたらと喉が渇く。喉が渇くから水分がぶ飲みしちゃう。結果、おしっこがたくさん出る・・・というわけさ。
糖尿病になるとどうなるの? 足の壊疽、失明、低血糖、なにより怖いのが合併症。かぎりなく「死」に近い。
この小説読んで、遅ればせながら生活を改めようと本気で思いました。反省してます。
「いまからちゃんとするから、糖尿病だけは勘弁して」
片瀬も夢の中でそう叫ぶんだよね。
簡単にいうと、糖尿病ってのは「膵臓の機能障害」なのね。
膵臓? あまり聞かないなぁ。マイナーなんだよ。胃の裏側あたりにあるらしいよ。なんでも「インスリン」を作り出してる臓器らしいね。
食物をとると、胃腸で消化されるよね。ブドウ糖という形で血中に取り込まれるわけ。ブドウ糖はさらに細胞に取り込まれて、これが身体を動かすエネルギーになるわけ。
この時、ブドウ糖を細胞にリレーする役目がインスリンなのよ。
けどさ、糖尿病の人はこのインスリンがないか少ないから、どうなるか? 細胞にブドウ糖が取り込まれないまま、血中をぐるぐる回る。こうなりゃ、血糖値が高くなるのは当たり前だよね。
で、ドロドロ血液だから心筋梗塞、脳梗塞にもなりやすい。「運良く」体の外に排出される時はブドウ糖のたくさんある尿として出て行くことになります。糖分たっぷりのおしっこ。つまり、糖尿なのね。
当然、腎臓にとってはものすごい負担だよね。
糖尿病を大きく分けると2タイプあるわけ。
1つは暴飲暴食の不摂生な生活パターン、つまり、自業自得でなっちゃうタイプ。このタイプは食事に気をつけたり運動したりすれば改善の余地はある。けど、もう1つは遺伝とか体質とかでなるタイプね。その他に、途中でほかのタイプに変身しちゃうのもあんだけど。
片瀬は暴飲暴食タイプ。酒が大好きでまた強い強い。酒飲みの女友達とつるんで浴びるほど飲んでる。だから、なって当たり前といえば当たり前なのかもしれないけど・・・。
「ならば、生活を改めればいいわけですね?」
「糖尿病は一生治らない病気です」
ていうと、毎日何本も注射しなくちゃならないの? 食事も制限されて? 会議中、仕事中にも抜け出して打つわけね? 食事だって、「食品交換表」チェックして作るわけだ。こんな面倒くさいことをずっとしなくちゃいけないわけだ。
片瀬はキャリアウーマンの妻と2人暮らし。家計費のみを折半すると、給料は各自好きに使うというルールがあんの。当然、糖尿病の治療費は片瀬持ち。
家事だってきちんと平等にシェアしてる。洗濯も掃除もやる。昼だって外食できないから手弁当を自分で作ってもっていく。作ったら洗う。あれこれやんなくちゃいけない仕事がどーんと増えちゃった、糖尿病のおかげで。
片瀬には学生時代からずっとやってることがあんだよ。これだけはどんなことがあっても続けたい、という夢。
それは小説を書くこと。まっ、新人賞とかにいろいろ応募してんだけどね、一次通過もままならない。だけど、書くことに意義があんだ。これはやらなきゃ。
入院すると、周囲は糖尿病の自覚すらない人たちばかり。食事療法なんてはなからやる気のない連中。
「オレはこんな連中とは違う」
そう、片瀬はだれよりも懸命に、真面目に、誠実に食事療法を心がけ、生活習慣を一新したもの。けどさ、あるレベルからどんなに頑張っても、どういうわけか、悪化していくんだよね。
「どうなってるんだ?」
困るわな、焦るわな、わからんわな。病院の担当医師も代わっちゃうし、踏んだり蹴ったり。自暴自棄になっちゃうわな。
で、大変なことが起こります。
糖尿病って、こんなに怖い病気だったのね? ちーとも知りませんでした。
健康は失ってはじめてその価値を思い知るのよね。私、糖尿病まっしぐらの生活だかんね。こりゃ困ったな。こんなになっちゃうと大変だよ。なっちゃうと治らないんだから。
なったら、一生つき合っていかないといけないんだから。膵臓がまったく機能しなくなる。インスリン注射をしないと死んじゃう。けど、逆に考えればインスリン注射で病気をコントロールできるわけ。バカになった膵臓をあてにするより前向きに考えていけばいくしかない。
けど、私、糖尿病まっしぐらの生活してるからね。大反省! 350円高。
なんなら、脚本、書いたろか?
それにしても、「糖尿病」をテーマにした小説っていいね。でも、ネタにできないことはない。
だって、「明日の記憶」は若年性アルツハイマーだったし、「セカチチュー」は手垢がついてるけど白血病だったでしょ?
だから、糖尿病もありなんだよ。
けど、糖尿病ってさ、なんかオヤジの病気みたいじゃん。で、暴飲暴食で、あくに酒が好きで、でっぷり太ってて、意志薄弱ででケーキなんかみたら意地汚く食べちゃう・・・みたいなイメージがありますよね。
これ、まったくの誤解でした。まぁ、そういう人もいると思います。基本的に生活習慣病だからね。でも、どんなに生活習慣に気をつけても、遺伝、体質もおおいに関係してる。
主人公は33歳のサラリーマン。歌舞伎町の会社に勤めるサラリーマンなのね。
「最近、やせたね」
「喉が渇くんだよ」
「1度、病院で診てもらったら?」
原因不明の激やせ、異常な喉の渇き、水分(ジュース)の過剰摂取、頻尿多尿、倦怠感・・・糖尿病の典型的な症状です。
どうして尿の量が増えるのか? 血液がいつも濃い状態にあるから、浸透圧の関係で水分が細胞側から血液中に絞り出されてしまうわけ。ということは、身体はいつも砂漠状態だからむやみやたらと喉が渇く。喉が渇くから水分がぶ飲みしちゃう。結果、おしっこがたくさん出る・・・というわけさ。
糖尿病になるとどうなるの? 足の壊疽、失明、低血糖、なにより怖いのが合併症。かぎりなく「死」に近い。
この小説読んで、遅ればせながら生活を改めようと本気で思いました。反省してます。
「いまからちゃんとするから、糖尿病だけは勘弁して」
片瀬も夢の中でそう叫ぶんだよね。
簡単にいうと、糖尿病ってのは「膵臓の機能障害」なのね。
膵臓? あまり聞かないなぁ。マイナーなんだよ。胃の裏側あたりにあるらしいよ。なんでも「インスリン」を作り出してる臓器らしいね。
食物をとると、胃腸で消化されるよね。ブドウ糖という形で血中に取り込まれるわけ。ブドウ糖はさらに細胞に取り込まれて、これが身体を動かすエネルギーになるわけ。
この時、ブドウ糖を細胞にリレーする役目がインスリンなのよ。
けどさ、糖尿病の人はこのインスリンがないか少ないから、どうなるか? 細胞にブドウ糖が取り込まれないまま、血中をぐるぐる回る。こうなりゃ、血糖値が高くなるのは当たり前だよね。
で、ドロドロ血液だから心筋梗塞、脳梗塞にもなりやすい。「運良く」体の外に排出される時はブドウ糖のたくさんある尿として出て行くことになります。糖分たっぷりのおしっこ。つまり、糖尿なのね。
当然、腎臓にとってはものすごい負担だよね。
糖尿病を大きく分けると2タイプあるわけ。
1つは暴飲暴食の不摂生な生活パターン、つまり、自業自得でなっちゃうタイプ。このタイプは食事に気をつけたり運動したりすれば改善の余地はある。けど、もう1つは遺伝とか体質とかでなるタイプね。その他に、途中でほかのタイプに変身しちゃうのもあんだけど。
片瀬は暴飲暴食タイプ。酒が大好きでまた強い強い。酒飲みの女友達とつるんで浴びるほど飲んでる。だから、なって当たり前といえば当たり前なのかもしれないけど・・・。
「ならば、生活を改めればいいわけですね?」
「糖尿病は一生治らない病気です」
ていうと、毎日何本も注射しなくちゃならないの? 食事も制限されて? 会議中、仕事中にも抜け出して打つわけね? 食事だって、「食品交換表」チェックして作るわけだ。こんな面倒くさいことをずっとしなくちゃいけないわけだ。
片瀬はキャリアウーマンの妻と2人暮らし。家計費のみを折半すると、給料は各自好きに使うというルールがあんの。当然、糖尿病の治療費は片瀬持ち。
家事だってきちんと平等にシェアしてる。洗濯も掃除もやる。昼だって外食できないから手弁当を自分で作ってもっていく。作ったら洗う。あれこれやんなくちゃいけない仕事がどーんと増えちゃった、糖尿病のおかげで。
片瀬には学生時代からずっとやってることがあんだよ。これだけはどんなことがあっても続けたい、という夢。
それは小説を書くこと。まっ、新人賞とかにいろいろ応募してんだけどね、一次通過もままならない。だけど、書くことに意義があんだ。これはやらなきゃ。
入院すると、周囲は糖尿病の自覚すらない人たちばかり。食事療法なんてはなからやる気のない連中。
「オレはこんな連中とは違う」
そう、片瀬はだれよりも懸命に、真面目に、誠実に食事療法を心がけ、生活習慣を一新したもの。けどさ、あるレベルからどんなに頑張っても、どういうわけか、悪化していくんだよね。
「どうなってるんだ?」
困るわな、焦るわな、わからんわな。病院の担当医師も代わっちゃうし、踏んだり蹴ったり。自暴自棄になっちゃうわな。
で、大変なことが起こります。
糖尿病って、こんなに怖い病気だったのね? ちーとも知りませんでした。
健康は失ってはじめてその価値を思い知るのよね。私、糖尿病まっしぐらの生活だかんね。こりゃ困ったな。こんなになっちゃうと大変だよ。なっちゃうと治らないんだから。
なったら、一生つき合っていかないといけないんだから。膵臓がまったく機能しなくなる。インスリン注射をしないと死んじゃう。けど、逆に考えればインスリン注射で病気をコントロールできるわけ。バカになった膵臓をあてにするより前向きに考えていけばいくしかない。
けど、私、糖尿病まっしぐらの生活してるからね。大反省! 350円高。