2003年05月26日「変な人が書いた成功法則」「斎藤一人の百戦百勝」「東京夜ふかし案内」

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」


1 「変な人が書いた成功法則」
 斎藤一人著 講談社文庫 600円

 著者は銀座まるかんのオーナー。というよりも、「納税者番付の常連」といったほうがわかりが早いと思う。
 ダイエット用の「スリムドカン」とか、老化防止の健康食品を売ってるんですよね。
 私も「しゃきっと」という健康雑誌で連載してるんです。「健康オタク 中島孝志が行く」という妙なタイトルなんだけど、これで一度、スリムドカンをはじめとして、ここの健康食品を3種類試したことがありました。
 もうお腹が痛くなって大変。なにしろ、今まで便秘ってしたことないんだけど、このスリムドカンというのは便秘に効くらしくて、電車を3回くらい降りる羽目になりました。健康食品でも、ちゃんと説明を受けてから服用しないとダメね。

 そんなことはどうでもいいんだけど、「天下の大金持ち」になった人の商売哲学ではなくて、人生哲学をじっくり勉強できる一冊だと思う。

 「人間は限界を打ち破ることに喜びを感じながら生きていく動物である」

 成功に導くのは才能でもなければ努力でもない。苦労など必要ない。世の中を見渡せば、才能があるけど成功できない、努力しているけどそれが実らない、苦労ばかりしてるけどいいことがちっともない人がほとんど。
 だから、「私のやり方をあなたに教えて、それと同じことをやっても、あなたは成功できない。あなたはあなた自身のやり方で成功することになっているんです」
 成功する方法とは、成功したその人にだけ通用するものです。必死になってまねしても成功はしない。
 成功の極意とは、困ったことが起きた時、「本当にこのことで困るんだろうか?」と考えることにある。そして、本当には困っていない。ここに気づいた時、ステージ(人間的な次元)が上がるわけです。
 外で起きた現象は心の中で解決すると、パッと消えてしまう。

 「お金がないから倒産したんだ」ではない。「知恵がないから倒産したんだ」なんですね。

 悩み、苦しみが続く理由は、問題の解決方法が間違っているから。
 たとえば、「いじめ」という問題。困った、困ったと悩む。けど、これは八百屋で魚を求めるようなもので、永遠に解決できません。
 「殴られた」「金を取られた」という問題を解決するには、警察です。先生に相談しても、まっ、無理でしょう。火事になったら119番、暴力事件は110番。これが当たり前のことなんです。

 医療費は年間25兆円もかかっています。平均すると、1人20万円ですよ。もちろん、健康で一度も保険を使ったことのない人も含めての数字です。
 「健康ならば、10万円のお金がもらえる」とすれば、みんな、必死になって健康管理をします。
 「こんな些細なことで病院行ってもしょうがない」と、常連のご老人たちはみな、10万円で温泉に行くことを夢見るかもしれない。

 250円高。購入はこちら


2 「斎藤一人の百戦百勝」
 小俣貫太著 東洋経済新報社 1600円

 著者は斎藤一人さんの10人の弟子の中の1人の子息。幼少の時から、人生哲学や商売哲学を学んだ、という人。
 本人の著書もいいけど、第三者から見た本もいいですよね。本人であるが故になかなか語れないことってたくさんありますもんね。

 人生でも商売でも成功すると、そうでない人との差はほんの少し。それは「頑なな力みではなく、見方をちょっと変えてみる」ということにあります。

 「すべての生活、すべての経験は魂を向上させるためにあるの。人間は幸せになるために生まれてきたんだよ。だから楽しいと思いながら生きたいの」
 でも、現実にはなかなか楽しいと思えないようなことも起こる。そんなときはどうしたらいい?
 「神様が課題を与えてくれてるんだよ。こんなんで楽しくいられるかい。こんなことがあっても、楽しくいられるかい?」
 つまり、試されているんだ、というわけです。課題をどんどん乗り越えていく。これが魂を向上させる、という意味なんですね。

 今の日本には、本当は商人なのに、そうじゃないと思ってる人が多いんだよね」
 サラリーマンしかり、主婦しかり。みんな、本質的には商人なんですね。自分の能力や労働力という商品を会社というお客さんに買ってもらってるわけ。夫と一緒に家庭という「お店」を切り盛りしてるわけだから、主婦も立派な商人というわけです。

 この時、困難なことばかりに目がいくと、商売は不安で恐ろしいことばかりになりますけど、これを「冒険」と考えたらどうでしょう。
 前向きにとらえる、という考え方をすると、いままで見ていた世界が一変します。

 「商い」は「飽きない」と言うけれども、これは商人が飽きないというのではなく、お客さんがいかに飽きないか、ということです。お客さんを飽きさせない仕事をどれだけできるか。ここがポイントなんですね。

 ところで、「最初に商売を始める時は1円も遣うな」と言います。看板は段ボール、広告は手書き、事務所は自宅アパートで十分。実際、お弟子さんの1人が商売した時、一人さんは段ボールに手書きの看板をプレゼントしてくれたそうです。
 こうすれば、最悪の事態になってもゼロに戻るだけ。また、そこから始めればいいわけ。1円も損することはありません。

 お金を遣わない商売をする。お金を出さない。
 では、何を出すか?
 「知恵」を出すんですね。お金は出さずに知恵を出す。お金を足さずに安全にやっても儲けられるわけがありません。だから、お金を出さない分、知恵をめいっぱい出すわけです。

 「これは凄い。絶対にお勧めです」というものだったら、いきなり遠い人に広めようとしてはいけません。
 「まず、あんたのいちばん大事な人に教えてやるの。そんなに良いものだったら、大事な人に勧めたくなるのが筋でしょう」
 身内に勧める。友達、ご近所。そうやって、近くから広めていくわけ。
 逆に言うと、いい商品じゃないと、身内からは進められないものです。「あれ、ひどいよ。この詐欺師」なんて、だれにも言われたくないもんね。

 でも、生命保険や自動車って、だいたい親戚、友達を一巡すると、ガクッと落ちるそうですね。

 「商人だったら、もっと頭を柔軟にしなさい」
 せっかく間違えてるんだから、頭を切り換えればいいんです。頭の中をいつでもクルクル回して儲ける。これが「カッいい商人」なんですね。

 著者は一人さんのこの「カッコいい商人」という言葉にものすごく共感したそうですね。

 「会議で寝てる人は使えない。眠い人からはアイデアは出ない。知恵はたくさん人がいれば出る者ではない。知恵の出る人だけで会議をしたほうがいい」
 一人さんは、会議を4時間ぐらいすると、そのうち、3時間半は雑談。好きな物を飲んだり食べたりして、おしゃべりをする。そのうち、盛り上がってくると、「さぁ、盛り上がってきたところで、仕事をやっつけちゃおう」

 150円高。購入はこちら


3 「東京夜ふかし案内」
 散歩の達人篇 交通新聞社 1429円

 深夜喫茶とか深夜映画館とかを想像してましたが、どうもそうではありませんでした。まっ、一部はそんな情報もあるんですけど、夜の時間を愉しむ「大人的遊びのすすめ」といった内容です。

 ところで、タイトルは「夜ふかし」とあるけど、あまり夜更かしできない情報なんだよね。
 だって、どれも朝まで営業してる店じゃなくて、せいぜい午前2時ってとこだからね。ホントに夜更かしする気なら、たとえば、マンガ喫茶とかサウナというのが定番でしょ。
 それと最近なら、台場の「大江戸温泉物語」。
 ここは午後6時半からディスカウント価格になるし、夜11時を回ると深夜料金になるんだけど、合わせて4000円台。大広間にたくさんのマットが敷かれて、そこで雑魚寝。もちろん、風呂はたくさん付いてるし、駅からも近い。
 でも、情緒はまったくありません。「大部屋風ビジネスホテル」ってノリかな。

 都内のユニークな映画館。たとえば、鶯谷に「東京キネマ倶楽部」があるなんてチートモ知りませんでした。ここはシアターレストラン。活動弁士が語るレトロな映画を上映するんですね。
 わたしがよく通った(いまでも行くけど)、新宿のバー「どん底」や渋谷の「タントラ」も紹介されてました。どん底は末広亭で落語を愉しんだ後、タントラはインドっぽく、お香の匂いも効いてるから、ちょっと落ち着きたい時に行ってます。

 150円高。購入はこちら