2007年01月10日「インテリジェンス 武器なき戦争」 手嶋龍一・佐藤優著 幻冬舎 777円
こんな本が出ちゃうと外務省も政府も困るだろうね。
「国民はバカだから、せいぜいテレビや新聞で叩かれた振りしとけばいいんだよ」
「そうそう。どうせすぐに忘れるし、われわれのカラクリには気づかないよ」
高をくくってたのに、この2人の「手練れ」がカラクリをばらしちゃうんだもの。「外務省って、実はこんなにお馬鹿な人たちの集まりだったんです」という最高機密が漏れちゃったじゃないの!
これは痛いよ。
外務省にも例外はいると思いますよ。けど、所詮、公務員だもんね。
公務員の特性というのは、リスクは徹底的に避ける。石橋を叩いても渡らない。まして、自分の利益にならなければ絶対にやらない。もちろん、責任はとらない。
国益を優先する人って、何人いるんだろう?
この2人のやりとりを聞いてると、日本は前途多難だなぁ。
実は以前、外務省OBの政治家(民主党)の話を聞いたことあんだけど、「この人、頭、悪いんじゃないの?」と心配するほど。こんなのが外交してたら、そりゃ手玉にとられるに決まってるよ。
「ロシア人は謀略で嘘をつくことがある。イギリス人もやる。もし、イギリス人が確証があると言い、ロシア人がそれに合わせたら私は最後まで疑います」
こう言い切るのは佐藤優さん。本ブログでも、何冊かご紹介しましたよね。「しかし、アメリカ人は病的なほど嘘がつけない」とも。
情報はインフォメーションではなく、「インテリジェンス」にある。
この「インテリジェンス」だけど、4種類あって「諜報」「防諜」「宣伝」「謀略」なのね。
9.11にしたっつて、ホントは未然に防げたはずなのよ。
クリントン政権はオサマ・ビンラディンの身柄を拘束するチャンスがあったの。元々、彼はアルカイダとともにスーダンにいたの。ところが、スーダン政府が抱えられなくなって、サウジに引き取りを打診したわけ。でも、王政を危うくしかねないから、サウジは断った。で、次にアメリカに持ちかけた。
この時、クリントンは断ったんだよね。こいつの野望がなんたるか、インテリジェンスがなかったわけさ。
で、9.11だよ。アメリカ政府のインテリジェンスのレベルが透けて見える事件だったね。
ところで、佐藤さんは2005年5月、「背任容疑」で東京地検特捜部に逮捕されちゃった。これ、完全な策捜査。で、公判維持に四苦八苦してるらしいね。
容疑は「テルアビブで開催された国際学会へ代表団を派遣する費用を支援委員会に不正支出させ、国家に3350万円の損害を与えた」というもの。
一審判決には2つの論点があって、「イスラエルでの学会に国の良さを支出した行為は国際協定に違反している」「その上で、支出された資金が不正に使われた」というものなんだけど、2国間の条約、多国間の協定、口頭了解た国際約束についての「有権解釈権」は外務省にあるの。
具体的には次官、条約局長、条約科帳にその判断がゆだねられているってわけ。これは全盛期の大蔵省ですら認めてきたこと。
この支出については、事務次官、条約局長、条約科帳が決裁書類に署名してるんだよね。けど、一審判決文には「協定に違反して」と明記されてる。
仮に「違反」だとすれば、罪に問われるべきは担当事務官(佐藤さん)ではなく、外務省の高官たちでなければならないんだよ。
けどさ、首脳陣が決裁した基準に沿って事務を行っている人間が、そのまま罪に問われるなら、そんな国家に勤める役人などいなくなるよね。
つまり、判決の前段がそもそも破綻しているの。
しかも、イスラエルの国際会議は日本の国益に適うものだったんだ。イスラエルが対ロシア情勢収集の重要なポイントであることは世界の常識だものね。
さて、「平壌宣言」だけど、この基本哲学は「朝鮮半島に平和を作りだそう」というもの。
だけど、そももこれがおかしい。
「朝鮮半島が平和であろうと戦争であろうと、日本にとって戦争よりは平和のほうがいいという以上の意味はない」
北朝鮮と取り組まなければならない理由は、朝鮮半島に平和をもたらす必要があるわからではなく、拉致問題が存在するから。
拉致問題ってのは、国家の領域内で平和に暮らしていた日本人が北朝鮮の国家機関によって拉致された、という国権が侵害された事件なのよ。日本人の人権と、日本国の国権侵害を原状回復できなければ、国家としての意味がないのよ。
平壌宣言には、核ミサイル問題については一応、書かれているけれども、拉致問題についてはまったく書かれてません。
にもかかわらず、小泉さんは平壌宣言を発表しちゃったでしょ。
当時の首相は小泉さん、官房長官は安倍さん。田中某という外務官僚が情報を流さなかったと言われてる。また、「署名しないで帰りましょう」と安倍さんは言い張ったとも言われてる。
けど、「発表した」という事実が大きいのよ。首相と官房長官、外務省の3人が判断した「ツケ」が、いま、大きな壁になってるわけさ。
拉致問題は全然進展してないでしょ? この間、ミサイルは飛んでくるし、核実験もしちゃってる。ノドン、テポドンが発射された段階で、平壌宣言なんか破棄すべきだったのよ。
「外務省の構造的な問題は課長レベルの語学力が基準以下。サブスタンス(外交の実質的内容に冠する知識)や交渉力も弱い。要するに、外務省の骨格自体が弱くなっている」とのこと。
たしかに・・・。
「サダム・フセインは大量破壊兵器を持っている」
「イラクは水面下でアルカイダとつながっている」
こんなインテリジェンスを日本側に提供し、武力行使への支持をアメリカは求めたね。
残念なことに、当時もいまも、アメリカの情報の真贋を独自に判断するインテリジェンスを日本政府は持っていない。
いま、ブッシュは「アルカイダとイラクは関係ない」「大量破壊兵器もなかった」と認めてる。開戦時とは180度変わっちゃったね。
「与党の責任者はいまだに開戦前に外務省の課長補佐クラスが書き上げた国会答弁を繰り返し口にしている。なぜ、外交当局を呼んで叱責しないのだろうか?」
「ネガティブなことで中国と交渉したくない。仕事と私生活の両方で中国に借りが大きくなっているからでしょう。弱みを握られている外務省幹部がいるんでしょう」
たぶん、日本が滅びるときは戦争とかではなくて、こういうバカな官僚によって自滅すんだろうね。国民は政治家と官僚、役所をチェックしないといけないね。
そういえば、いま、某政治家が北朝鮮に出かけてるらしいね。あの人、なにするつもりなのかね。
「国民はバカだから、せいぜいテレビや新聞で叩かれた振りしとけばいいんだよ」
「そうそう。どうせすぐに忘れるし、われわれのカラクリには気づかないよ」
高をくくってたのに、この2人の「手練れ」がカラクリをばらしちゃうんだもの。「外務省って、実はこんなにお馬鹿な人たちの集まりだったんです」という最高機密が漏れちゃったじゃないの!
これは痛いよ。
外務省にも例外はいると思いますよ。けど、所詮、公務員だもんね。
公務員の特性というのは、リスクは徹底的に避ける。石橋を叩いても渡らない。まして、自分の利益にならなければ絶対にやらない。もちろん、責任はとらない。
国益を優先する人って、何人いるんだろう?
この2人のやりとりを聞いてると、日本は前途多難だなぁ。
実は以前、外務省OBの政治家(民主党)の話を聞いたことあんだけど、「この人、頭、悪いんじゃないの?」と心配するほど。こんなのが外交してたら、そりゃ手玉にとられるに決まってるよ。
「ロシア人は謀略で嘘をつくことがある。イギリス人もやる。もし、イギリス人が確証があると言い、ロシア人がそれに合わせたら私は最後まで疑います」
こう言い切るのは佐藤優さん。本ブログでも、何冊かご紹介しましたよね。「しかし、アメリカ人は病的なほど嘘がつけない」とも。
情報はインフォメーションではなく、「インテリジェンス」にある。
この「インテリジェンス」だけど、4種類あって「諜報」「防諜」「宣伝」「謀略」なのね。
9.11にしたっつて、ホントは未然に防げたはずなのよ。
クリントン政権はオサマ・ビンラディンの身柄を拘束するチャンスがあったの。元々、彼はアルカイダとともにスーダンにいたの。ところが、スーダン政府が抱えられなくなって、サウジに引き取りを打診したわけ。でも、王政を危うくしかねないから、サウジは断った。で、次にアメリカに持ちかけた。
この時、クリントンは断ったんだよね。こいつの野望がなんたるか、インテリジェンスがなかったわけさ。
で、9.11だよ。アメリカ政府のインテリジェンスのレベルが透けて見える事件だったね。
ところで、佐藤さんは2005年5月、「背任容疑」で東京地検特捜部に逮捕されちゃった。これ、完全な策捜査。で、公判維持に四苦八苦してるらしいね。
容疑は「テルアビブで開催された国際学会へ代表団を派遣する費用を支援委員会に不正支出させ、国家に3350万円の損害を与えた」というもの。
一審判決には2つの論点があって、「イスラエルでの学会に国の良さを支出した行為は国際協定に違反している」「その上で、支出された資金が不正に使われた」というものなんだけど、2国間の条約、多国間の協定、口頭了解た国際約束についての「有権解釈権」は外務省にあるの。
具体的には次官、条約局長、条約科帳にその判断がゆだねられているってわけ。これは全盛期の大蔵省ですら認めてきたこと。
この支出については、事務次官、条約局長、条約科帳が決裁書類に署名してるんだよね。けど、一審判決文には「協定に違反して」と明記されてる。
仮に「違反」だとすれば、罪に問われるべきは担当事務官(佐藤さん)ではなく、外務省の高官たちでなければならないんだよ。
けどさ、首脳陣が決裁した基準に沿って事務を行っている人間が、そのまま罪に問われるなら、そんな国家に勤める役人などいなくなるよね。
つまり、判決の前段がそもそも破綻しているの。
しかも、イスラエルの国際会議は日本の国益に適うものだったんだ。イスラエルが対ロシア情勢収集の重要なポイントであることは世界の常識だものね。
さて、「平壌宣言」だけど、この基本哲学は「朝鮮半島に平和を作りだそう」というもの。
だけど、そももこれがおかしい。
「朝鮮半島が平和であろうと戦争であろうと、日本にとって戦争よりは平和のほうがいいという以上の意味はない」
北朝鮮と取り組まなければならない理由は、朝鮮半島に平和をもたらす必要があるわからではなく、拉致問題が存在するから。
拉致問題ってのは、国家の領域内で平和に暮らしていた日本人が北朝鮮の国家機関によって拉致された、という国権が侵害された事件なのよ。日本人の人権と、日本国の国権侵害を原状回復できなければ、国家としての意味がないのよ。
平壌宣言には、核ミサイル問題については一応、書かれているけれども、拉致問題についてはまったく書かれてません。
にもかかわらず、小泉さんは平壌宣言を発表しちゃったでしょ。
当時の首相は小泉さん、官房長官は安倍さん。田中某という外務官僚が情報を流さなかったと言われてる。また、「署名しないで帰りましょう」と安倍さんは言い張ったとも言われてる。
けど、「発表した」という事実が大きいのよ。首相と官房長官、外務省の3人が判断した「ツケ」が、いま、大きな壁になってるわけさ。
拉致問題は全然進展してないでしょ? この間、ミサイルは飛んでくるし、核実験もしちゃってる。ノドン、テポドンが発射された段階で、平壌宣言なんか破棄すべきだったのよ。
「外務省の構造的な問題は課長レベルの語学力が基準以下。サブスタンス(外交の実質的内容に冠する知識)や交渉力も弱い。要するに、外務省の骨格自体が弱くなっている」とのこと。
たしかに・・・。
「サダム・フセインは大量破壊兵器を持っている」
「イラクは水面下でアルカイダとつながっている」
こんなインテリジェンスを日本側に提供し、武力行使への支持をアメリカは求めたね。
残念なことに、当時もいまも、アメリカの情報の真贋を独自に判断するインテリジェンスを日本政府は持っていない。
いま、ブッシュは「アルカイダとイラクは関係ない」「大量破壊兵器もなかった」と認めてる。開戦時とは180度変わっちゃったね。
「与党の責任者はいまだに開戦前に外務省の課長補佐クラスが書き上げた国会答弁を繰り返し口にしている。なぜ、外交当局を呼んで叱責しないのだろうか?」
「ネガティブなことで中国と交渉したくない。仕事と私生活の両方で中国に借りが大きくなっているからでしょう。弱みを握られている外務省幹部がいるんでしょう」
たぶん、日本が滅びるときは戦争とかではなくて、こういうバカな官僚によって自滅すんだろうね。国民は政治家と官僚、役所をチェックしないといけないね。
そういえば、いま、某政治家が北朝鮮に出かけてるらしいね。あの人、なにするつもりなのかね。