2007年01月11日「憑神」 浅田次郎著 新潮社 1575円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 「喧嘩は勝ち負けじゃねぇ。勝ちっぷりと負けっぷりだ」
 別所彦四郎は三河以来の武士。恐ろしいほどの忠義者で、それが災いしたのか、入婿を離縁され、御徒頭から平に落とされ、なんともついてない男。

 この男が三巡り稲荷の祠をお参りしたことから数奇な運命を歩むことのなるってぇお話。
 3人の神に取り憑かれちゃうわけ。
 その3人とは、貧乏神、疫病神、そして死神なんだよね。
 
 さて、どんな物語が展開されるのか。そこは浅田次郎ワールド。そうだなぁ。「椿山課長の7日間」と「壬生義士伝」を足すと、こんな風になるかもね。

 そうか、そうだったのか。すべては貧乏神と疫病神、そして死神のせいだったのか・・・。
 実は、小生、貧乏神と言われることは多いのよね。不思議なことに、これがお店とか会社となると、「いやいや、福の神じゃのぉ」と高く評価してもらえるのに、家となるとと逆転。子どもの頃から貧乏神、疫病神と言われ、そのまま、いままでの月日を生きてまいったというわけ。
 まっ、死神と言われないだけマシかもしれませんな。

 貧乏神というのは、他人を巻き込んで貧乏にする神様。だけど、私の場合は他人には福の神、自分だけ貧乏くじを引いてしまう神様なんだよね。
 福の神とはそんなもんですなぁ。

 これ、映画になります。夏頃に封切りらしいよ。忠義者がこの3人の神に翻弄され、そのうち、逆に神様方が翻弄されてしまうユーモア。
 そうだ、笑いとペーソスあればこその浅田ワールドだよね。
 250円高。