2007年04月24日「月に響く笛 耐震偽装」 藤田東吾著 講談社 1995円
分厚い本ですな。言いたいことがたくさんあったんでしょうな。当たり前ですよね。
著者の藤田さんは耐震構造の民間検査機関イーホームズの社長です。例の耐震偽装問題を最初に告発した人ですね。
耐震偽装問題、一連の姉歯問題では、国会にいろんな人が登場しましたね。
「あれ、この声、西村とおる監督そっくりじゃん」と思ったヒューザーの小嶋氏、質問する国会議員に舌を出していた総研の内河氏、木村建設の木村氏、収監後、げっそり痩せてしまった東京支店長の篠塚さん、そして構造専門の建築士であった姉歯氏・・その他、隠れた主役と数多くの脇役がいましたね。
国会での発言から一連の報道で攻撃される中、唯一といっていいほど、最初から浩然としていたのがこの人だったのでは? 国会でも1つ1つ丁寧に答える態度を見れば、国民の中で支持する人は多かったのでは?
その著者が耐震構造問題とは縁もゆかりもない「架空増資」で突然、逮捕されちゃうとはねぇ。世の中、一寸先は闇ですな。
検察はなんでもいいから逮捕しなくちゃならない理由があったんでしょうね、きっと。
なんなんだろう?
最近、検察はむやみやたらに逮捕、勾留するからねぇ。なんか戦前の特高警察みたいになってきたと思うのは、私だけ? 難癖をつけて引っ張る。まさに特高警察の手法でしょ?
容疑は、資本金を増資するとき、資金がなかったから、一時的に知人からの借入金で増資を装って虚偽登記申請をした、というものですね。
これ、そんなに大騒ぎするほどの罪? 「別件逮捕」の臭いぷんぷんじゃないかなぁ。しかも1カ月間もの身柄拘束とは。
考えられるのは、権力者と近しい関係にある、とされる業者の偽装を告発しようとしたことへの懲罰でしょうか?
検察(裁判所も)は国家機関ですからね。基本的に国家の味方なの。
偽装問題については、建築士も自治体も民間検査機関も国土交通省から処分を受けてます。けど、指定取消を受けたのはイーホームズだけ。
なぜイーホームズだけいじめたがるのだろうね?
会社を潰してまで告発するなんて、所詮、ドン・キホーテだったんでしょうか?
前書きを読むと、本書は元々、天下の文藝春秋から出版される予定だったらしいですね。「あなたが死んでも絶対に出版しますから」と幹部が強く励ましてくれた、と言います。けど、舌の根も乾かないうちに前言撤回。
理由は、「アパグループのマンションやホテルの構造設計を多く手がける田村水落設計という構造設計事務所が行った構造計算書の偽装に関わる記述部分を、原稿から削除しなかったからだ」と述べてます。
つまり、文春側は削除を求め、著者は断った。結果的には著者がピンピンしてるけど前言撤回となった、というわけ。
まっ、マスメディアは社会の木鐸ではさらさらありません。商業、ビジネスですから、利益があれば前言などいくらでもひっくり返しますよ。
けどさ、文春で出版できなくなれば、硬派の版元はほかにあるの? あの田中角栄を追い詰めた文春ですよ。ここでダメなら・・・こりゃ、自費出版するしかないかなと考えるのも当然ですよね。
で、自費出版します。
自費出版の本など、普通はぜんぜん売れませんよ。なにしろ、書店にそもそもないんだから。
けど、この本は著者自ら書店に出向いて置いてもらうなど懸命に訴え続けた結果、10000部も売れちゃった。それだけ関心があるんですよ。
昨日も書いたけど、ユニークな陳列や店作りで評判の山下書店のトップが、講談社に持ち込んでようやく陽の目を見ます。
よく、講談社が出版したなぁ・・・。局長も担当編集者も私の担当(著書・プロデュースもすべて)だからよくわかんのよ。みな、男気のある人だからね(編集は大変だったらしいよ。そのとばっちりは私が被ってますけどね)。
少し関係ない話をします。
かつて、信濃川は日本有数の大河で武田信玄の時代も洪水の被害が甚大でしたよね。
この被害をなくすために「大河津分水工事」が明治42年に着工されました。
実は、1度、竣工してんのよ。けども工事の最中から地滑りは起こるわ、可動堰が陥没事故を起こすわ、下流域には水が枯渇するわ、と被害甚大。
ここに投入されたのが内務省の主任技師をしてた青山士(あおやま・あきら)という人なのね。
竣工したのにこのていたらく。原因を調べると、建設会社の工事費着服、手抜き工事と判明。昔もいまも変わらないねぇ。
で、雪辱戦を挑みます。業者の賄賂もはね付け、検査を厳しくし、材料等はベストを尽します。その甲斐あって、4年という短時間で昭和4年に完成します。
竣工記念碑に、彼の言葉が刻まれてます。
「萬象ニ天意ヲ覚ル者ハ幸ナリ。FELICAJ ESTAS TIUJ, KIUJ VIDAS LA VOLON DE DIO EN NATURO.人類ノ為メ国ノ為メ。POR HOMARO KAJ PATRUJO.」
日本語とエスペラント語を併記してるの。
この青山さんという人は、内村鑑三を師事するクリスチャンなのね。で、土木工学を修めます。後に東大教授になるんだけど、学究の人でありながら実践の人でもあり、あの時代、船に乗って単身、パナマに渡り、日本人として唯一、運河建設に身を投じるんですよ。
当時、日本人なんてだれも相手にしてくれないから、土木作業員として働くところからスタートするの。で、その真髄を目の当たりにして勉強するんだよ。
その経験と知識、そして専門技術を活かして、日本のあちこちの河川を修復します。自然の猛威から人間を救い、また、自然も活かすという大仕事を次々に手がけていきます。
藤田さんのメッセージを読むと、だれが悪いのか、どこに構造的問題が隠されているか、が浮かび上がってきます。昨日のラスプーチンの著書同様、これは日本に巣くう病巣だと思います。これから、「姉歯的」問題が姿を変えて次々に出現してくるのてせはないかな・・・300円高。
著者の藤田さんは耐震構造の民間検査機関イーホームズの社長です。例の耐震偽装問題を最初に告発した人ですね。
耐震偽装問題、一連の姉歯問題では、国会にいろんな人が登場しましたね。
「あれ、この声、西村とおる監督そっくりじゃん」と思ったヒューザーの小嶋氏、質問する国会議員に舌を出していた総研の内河氏、木村建設の木村氏、収監後、げっそり痩せてしまった東京支店長の篠塚さん、そして構造専門の建築士であった姉歯氏・・その他、隠れた主役と数多くの脇役がいましたね。
国会での発言から一連の報道で攻撃される中、唯一といっていいほど、最初から浩然としていたのがこの人だったのでは? 国会でも1つ1つ丁寧に答える態度を見れば、国民の中で支持する人は多かったのでは?
その著者が耐震構造問題とは縁もゆかりもない「架空増資」で突然、逮捕されちゃうとはねぇ。世の中、一寸先は闇ですな。
検察はなんでもいいから逮捕しなくちゃならない理由があったんでしょうね、きっと。
なんなんだろう?
最近、検察はむやみやたらに逮捕、勾留するからねぇ。なんか戦前の特高警察みたいになってきたと思うのは、私だけ? 難癖をつけて引っ張る。まさに特高警察の手法でしょ?
容疑は、資本金を増資するとき、資金がなかったから、一時的に知人からの借入金で増資を装って虚偽登記申請をした、というものですね。
これ、そんなに大騒ぎするほどの罪? 「別件逮捕」の臭いぷんぷんじゃないかなぁ。しかも1カ月間もの身柄拘束とは。
考えられるのは、権力者と近しい関係にある、とされる業者の偽装を告発しようとしたことへの懲罰でしょうか?
検察(裁判所も)は国家機関ですからね。基本的に国家の味方なの。
偽装問題については、建築士も自治体も民間検査機関も国土交通省から処分を受けてます。けど、指定取消を受けたのはイーホームズだけ。
なぜイーホームズだけいじめたがるのだろうね?
会社を潰してまで告発するなんて、所詮、ドン・キホーテだったんでしょうか?
前書きを読むと、本書は元々、天下の文藝春秋から出版される予定だったらしいですね。「あなたが死んでも絶対に出版しますから」と幹部が強く励ましてくれた、と言います。けど、舌の根も乾かないうちに前言撤回。
理由は、「アパグループのマンションやホテルの構造設計を多く手がける田村水落設計という構造設計事務所が行った構造計算書の偽装に関わる記述部分を、原稿から削除しなかったからだ」と述べてます。
つまり、文春側は削除を求め、著者は断った。結果的には著者がピンピンしてるけど前言撤回となった、というわけ。
まっ、マスメディアは社会の木鐸ではさらさらありません。商業、ビジネスですから、利益があれば前言などいくらでもひっくり返しますよ。
けどさ、文春で出版できなくなれば、硬派の版元はほかにあるの? あの田中角栄を追い詰めた文春ですよ。ここでダメなら・・・こりゃ、自費出版するしかないかなと考えるのも当然ですよね。
で、自費出版します。
自費出版の本など、普通はぜんぜん売れませんよ。なにしろ、書店にそもそもないんだから。
けど、この本は著者自ら書店に出向いて置いてもらうなど懸命に訴え続けた結果、10000部も売れちゃった。それだけ関心があるんですよ。
昨日も書いたけど、ユニークな陳列や店作りで評判の山下書店のトップが、講談社に持ち込んでようやく陽の目を見ます。
よく、講談社が出版したなぁ・・・。局長も担当編集者も私の担当(著書・プロデュースもすべて)だからよくわかんのよ。みな、男気のある人だからね(編集は大変だったらしいよ。そのとばっちりは私が被ってますけどね)。
少し関係ない話をします。
かつて、信濃川は日本有数の大河で武田信玄の時代も洪水の被害が甚大でしたよね。
この被害をなくすために「大河津分水工事」が明治42年に着工されました。
実は、1度、竣工してんのよ。けども工事の最中から地滑りは起こるわ、可動堰が陥没事故を起こすわ、下流域には水が枯渇するわ、と被害甚大。
ここに投入されたのが内務省の主任技師をしてた青山士(あおやま・あきら)という人なのね。
竣工したのにこのていたらく。原因を調べると、建設会社の工事費着服、手抜き工事と判明。昔もいまも変わらないねぇ。
で、雪辱戦を挑みます。業者の賄賂もはね付け、検査を厳しくし、材料等はベストを尽します。その甲斐あって、4年という短時間で昭和4年に完成します。
竣工記念碑に、彼の言葉が刻まれてます。
「萬象ニ天意ヲ覚ル者ハ幸ナリ。FELICAJ ESTAS TIUJ, KIUJ VIDAS LA VOLON DE DIO EN NATURO.人類ノ為メ国ノ為メ。POR HOMARO KAJ PATRUJO.」
日本語とエスペラント語を併記してるの。
この青山さんという人は、内村鑑三を師事するクリスチャンなのね。で、土木工学を修めます。後に東大教授になるんだけど、学究の人でありながら実践の人でもあり、あの時代、船に乗って単身、パナマに渡り、日本人として唯一、運河建設に身を投じるんですよ。
当時、日本人なんてだれも相手にしてくれないから、土木作業員として働くところからスタートするの。で、その真髄を目の当たりにして勉強するんだよ。
その経験と知識、そして専門技術を活かして、日本のあちこちの河川を修復します。自然の猛威から人間を救い、また、自然も活かすという大仕事を次々に手がけていきます。
藤田さんのメッセージを読むと、だれが悪いのか、どこに構造的問題が隠されているか、が浮かび上がってきます。昨日のラスプーチンの著書同様、これは日本に巣くう病巣だと思います。これから、「姉歯的」問題が姿を変えて次々に出現してくるのてせはないかな・・・300円高。