KEYMAN NETWORK 中島孝志のキーマンネットワーク仕事術のカリスマ中島孝志が贈る！
泣いて笑える感動ブログ！

　著者は静岡にある鈴木総業副社長を経て、いま、研究開発型のプロジェクトチームを率いている。合わせて、静岡大学、日本工業大学、北見工大客員教授でもあります。
　数え切れないほどの発明と商品開発をしてますね。

　この本、最初読んだとき、いまひとつ響いてこなかったのね。「どうして、こんな作り方したんだろ？」って不愉快でさえあったんですよ。読みにくい本だなあってね。けど、気になってねぇ。もう1度手に取ったわけ。こんなことはないの。1回読んでつまんなかったら、たいていはいまなにかと話題のブックオフ行きだからね。
　ところが、というか、やっぱしというか、2回読んだら面白いんだよ。この間、2日間くらい。いったいどこがどう変わったんだろう？

　著者は重量挙げの名選手でもあんだよ。瞬発力と集中力が凄いのね。商品開発のモチベーションでは、この能力は重要だもの。

　まず最初に取り組んだのが電池残量を表示するインジケーターの開発。それから小型ＵＨＦチューナーによるトランシーバーの開発。
　でも、有名なのは、?曲面印刷（キュービック・プリンティング）と?衝撃吸収材（アルファゲル）ですよ。

　アルファゲルについては、1992年のスペースシャトル「エンデバー」で宇宙卵実験やったでしょ。話題になったからご存じの方も少なくないと思うな。打ち上げ時の振動と衝撃にもぜんぜん平気だった特殊な耐震素材だよね。
　地上22メートルから卵を落としてもこの緩衝材があるから割れないの。

　この技術なんか、高熱で伏せってる時に閃いたらしいね。
　アイスノンが時間が経つとフニャーとなる。「これだ！　これ、緩衝材に使えないか？」って、社員をスーパーに走らせて、柔らかい素材の商品をすべて買ってこさせた。はんぺん、ゼリー、寒天、こんにゃく・・・それに実験用の卵1000個。

　いちばん効果があったのはイチゴゼリーだったって。分子量の小さいはんぺんはダメ、反発係数が高いこんにゃくもダメ。その点、ゼリーは分子量が大きくて密度が小さいからね。
　で、この条件に合致する素材はなにかと研究してたどり着いたのが「シリコーンのゲル」。

　みごとに使えました！　いま、この緩衝材はアシックス等のスポーツシューズの靴底に用途開発されてます。折からのジョギングブームで大ヒット。たいしたもんですよ。

　「ダメなところにいくら時間をかけてもダメ。スイートスポットを叩くと閃く！」
　「開発中に研究テーマがマーケットに合わなくなってくることもある！」
　「失敗と挫折は開発者にとって大切な経験だ！」
　1000近い開発をし、商品開発、新事業等々を月々にこなしてきた人ならではの生きた言葉がたくさんありますな。250円高。