2007年06月08日すべらない話

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 まぁ、おもろいでんなぁ。いや、なにがって、「松本人志のすべらない話」でんがな。
 この前はとうとうゴールデン進出(特番だけど)。裏は「エンタ」でっせ。

 エンタは基本的にドリフターズの笑い。プロデューサーの指示とおり、完全にキャラを作ってシナリオ通りに演じる笑い。だから、劇場で芸人にあの笑いを期待していくとすべるよ。「えっ、ホントはこんな芸風なの?」ってね。
 それにプロデューサーの能力以上には伸びない。サブライズがないな。

 いちばんの矛盾点は笑いの偏差値が低いことかな。偏差値35〜50くらいをターゲットにしてると思う。で、みな、卒業というか飽きる。だから、番組としては箸が転がっても笑う視聴者を相手にし続けないといけないのよ。

 「すべらない話」のほうは、ノンフィクションね。仲間内で話していて笑いの取れた話を磨き上げて披露するわけ。いってみれば、楽屋噺。「四畳半のエンタテナー」がスタジオを超えてお茶の間に飛び込んでいけるかどうかは話の中身、構成、演じ方(伝え方)によりまっせ。

 スタンダップコメディに対してシッダウンコメディといってもいいかもしれませんな。

 それに、これ、よ〜く聞いてると、落語だということがわかりますな。だって、マクラがあって、本筋があって、オチがあるんやで。落語じゃないですか。黒田のビンボー話など、そのうち、「芝浜」とか「火焔太鼓」に変わりまっせ。
 こうなったら、7部作くらいにして「浪花のビンボー親子善哉」にしたらどやねん。松竹新喜劇お得意の人情喜劇のオカブを奪うこともできまっせ。
 新喜劇でやったらええねん。
 
 これな、ネタを作るというより観察力がものを言いますな。私小説的なとこがあるから、いかにとんでもない体験をするかが勝負になったりしてね。
 耳が肥えた視聴者はもう普通のことでは喜ばなくなるでぇ。きっついでぇ、これは。

 それにしても、「ビンボー」がこんなに笑えるとは思いもせなんだわい。

 昔、♪涙のビンボー(「ラブユー東京」の替え歌)という唄がありましたな。Mrオクレ、前田政二、村上ショージね。あれ以来かな(前田政二、どこ行ったんや?)。


関西?1の人気。上方お笑い大賞でしょ。

 ビンボーゆうたら、メッセンジャーの黒田やろ。傑作やな。
 ビンボーで育児ができないちゅうんで、あいつんとこの両親、生後すぐに黒田を捨てよったらしいね。1度目は近鉄の八戸ノ里駅。この時は兄が見つけてくれたらしい。で、2度目は神社。この時は神主に助けられたらしい。
 2回も捨てられるちゅうのも珍しいわな。強運といえば、強運なんやろね。

 自宅に鼠が棲みついてて、食物がないと黒田の耳をかじったらしいね。いまも、あいつ、耳たぶ欠けてるやろ。黒田の家の屋根は牛乳パックでできてるらしいな。

 小学生の時に給食費がなくなった時は悲惨やな。先生がクラス全員集めて、「おまえら、いまから目をつぶれ。正直に手を挙げたら許したる」。
 「だれが犯人やろ?」と黒田が薄目開けたら、先生が黒田のむっちゃ目の前で腕組んで睨んでたらしいな。「えっ、オレか!?」みたいな。

 ビンボーもとことん落ちると笑うしかないなぁ。ビンボーを笑えるいうのは、ある意味、心の余裕やろな。まっ、あんまりいないけどな。

 ビンボーはしたくないな。普通がいいな。黒田のとこはコロッケ揚げたときに出るカスもらって、ご飯に掛けて喰うてたらしいけど、豚カツなんて贅沢はいわへん。コロッケ、できればメンチ1個晩飯に付くくらいの生活ができればな。

 ビンボーは心を曲げるからな。とくに子どもの頃にビンボーするとお金に対して異常に屈折するんよ。
 ものすごう事業で成功しても、税金はかすめるわ、バイトのピンハネはするわ、法律の裏をかいくぐる知恵ばかり身につけるわ、結局、まともな人間はそばに近寄らなくなるんや。ビンボーも限度を過ぎると人をダメにしまんにゃわ。