2007年06月22日「若者たち」3部作
カテゴリー中島孝志のテレビっ子バンザイ!」
これ、知ってるかなぁ? 知らないだろうなぁ。って、松鶴家ちとせか?
28歳のヤツに訊いたら、「聞いたこともない」だって。35歳のヤツは「?」。45歳でも、「なに、それ?」だって。まっ、ムリもないわな。「昭和研究家」の私だからこそ知ってるわけで、普通はねぇ。
1960年代、フジテレビの人気番組だったのよ。で、その劇場版ね。
なんつったって、制作は俳優座映画製作株式会社。俳優座が総力を挙げて作りました。だから、いま、テレビや映画の常連が脇やチョイ役で出演してます。
あれ、この人、もしかして・・・なんて探すのも愉しみ。中には垢抜けなくて、えっ、まさか、5分くらいわかんなかった女優もいました。
第3巻に登場する山口果林さん。これ、彼女のデビュー作。私、あの人、ジャスト・マイ・タイプなのね、後にNHK朝の連ドラ「繭子ひとり」に出演すんだけど(いちばん好きなのは、日テレの「女子高校生殺人事件」。秋吉久美子さんの出世作ね)。
毎回、お約束の喧嘩シーンはそっくり「寺内貫太郎一家」に受け継がれたんじゃないかなぁ。兄弟という設定を親子に置き換えると・・・ほら、似てるでしょ?
ドラマもヒットしたけど、主題歌は大ヒット。私の世代だと、小中の時のキャンプファイヤーの定番ソングでした。
製作は1967年。ちょうど40年前。映画「三丁目の夕日」の7年後。
右肩上がりで、日本ががむしゃらに成長を遂げてる頃だよ。「金の卵」たちの集団就職、公害、労働争議、スト、デモ・・・成長のきしみというか、カオスから秩序へ向かう過程で矛盾がそこかしこに吹き出してる頃の話だよ。
早くして両親を亡くした佐藤家を支えるのは、12歳から工事現場で働く田中邦衛さん演じる太郎を筆頭に、次兄橋本功、真ん中はインテリの山本圭、妹は佐藤オリエ、末弟は松山省二・・・といった5人が織りなすドラマなのね。
毎回、兄弟がケンカしながら真正面から問題にぶつかる。たとえば、受験、恋愛、就職、学生運動、友情、倒産、貧困、安保、原爆、羽田闘争、新宿騒擾・・・。いまじゃ、ドラマにならないテーマもたくさんあんだけど、あの頃はこんな社会問題があったんだろうね。
江口洋介主演の「ひとつ屋根の下」のベースになった作品と紹介したほうがピンと来る?
佐藤オリエがいいね。このドラマ、実は佐藤オリエさんだけ本名なのよ。だって、脚本家がオリエさんの名前に惚れちゃって、で、佐藤一家にしちゃうわけ。
ほかに石立鉄男、夏桂子、小川真由美、栗原小巻、大滝秀治、圭さんの学生仲間に江守徹、就職面接で一緒になった眼鏡の学生がなんと原田芳雄。ホントにチョイ役。
この歌は、当時、隆盛をきわめてた歌声喫茶でもやはり定番でしたね。
歌声喫茶というと、大学1年の時に何回か行ったことがあんだけど。新宿の「灯(ともしび)」って店。アコーデオンに歌詞カード。
2年になったら、ほとんど無くなってた。
たぶん、工場では「若い根っこの会」なんてのが頑張っててさ。昼休みに屋上でコーラスしてたって風景が思い浮かぶなぁ。労組も元気だったと思うね。
古くて懐かしいけど、どこか新しさを感じるよ。けっして賞味期限は切れてない。キレてないっすよ。全然キレてないっす。