2007年07月09日「星新一 一〇〇一話をつくった人」 最相葉月著 新潮社 2415円
星新一、本名星親一。ショート・ショートの名手として知られた小説家ですな。
中学時代によ〜く読みましたなぁ。実家に行くと、まだありますよ。ずらっとね。
同じ棚には集英社のコバルトブックスなんてのもずらっとあんの。この前、試しにめくってたら恥ずかしくて読めなかったね。臆面もなく、よくこんなもの読んでたよな。富島健夫とかさ。ニキビ面の中坊だから読めたんだろうね。
けど、星新一はやっぱ面白い。「ボッコちゃんだよ!」って。(デッカちゃんだよ、だろが!)
これ、評伝なんだよ。で、星新一のオヤジの代から書き起こしてるんだけど。
私、ほとんど知ってましたね。なぜか?
この本には書いてないけど、満州製鉄所の所長で、原爆対策を研究していた物理学者に「楢崎皐月」という人がいたんですよ。で、ある本をプロデュースするときにこの人についてとことん調べたことがあんのね。ついでに、星一についても勉強させてもらいました。
この楢崎皐月という人は戦後、日本の食糧政策を推進するために物理理論「静電三法」を活用した農法を全国的に展開するわけ。痩せた土地を物理的に肥沃な土地に換えてしまうわけ。
こんなことできるの? できます。基本的な仮説は、満州製鉄所で品質管理をさせた時に発見してんだよ。
で、この天才物理学者のよき理解者であり、よきサポーターが星新一のオヤジ星一だったんだよ。
星新一のオヤジは、戦前、三大製薬会社の一角を占めた星製薬の創業者、星薬科大学の創始者、そして戦前は衆議院議員、戦後は参議院で全国トップ当選した政治家でもあるわけよ。
一本、筋の通った人で、ひと言で言えば、国士=憂国の人でしたね。
星新一は東京高校(旧制)から高等師範、そして東大農学部、大学院へと進む。同時に、友人にも知られないようにオヤジの鞄持ちしてたの。
で、同時にこっそり公務員試験なんて受けてるの。
「昭和25年頃、大学を出てまもなく、私は役人になろうと思った。別に国家再建の使命感に燃えたからではない。私の如く怠け者で、他人にお世辞が言えず、口先だけで実行力がなく、能率的でもないという、性格に欠陥のある人間は、とても民間の会社には向かないだろうと考えたからである」
後に随筆に書いてるんだけど、結局、オヤジに見つかって止められちゃうんだな。受験者8000人中300番で合格してた。農林省の面接も受けてたのにね。
ところが、このあとすぐにオヤジがアメリカで客死すんだよ。で、会社を相続しなくちゃならなくなった。
けどさ、とても経営なんてできるタマじゃない。周囲には騙す人も出てきてさ、星新一の判断ミスで禍根を残す失敗が山ほど出てくる。
再建のために乗り込んできた大谷米太郎(ホテルニューオータニの創業者)も天を仰ぐばかり。
一応、会社には役員(副社長)として残ったんだけど、つまんないっしょ。居場所がないんだから。
そんな時、SFの世界にのめり込んでいくわけ。もし、SFという夢中になれる世界がなかったら、かなりの高い確率で自殺していたかもしれない。これ、ホント。
友人が当時のことを大学ノートに綴っている。
「今日はしばらくぶりで、星親一君が参議院会館に現れる。最近、彼はしきりにSF、空想科学雑誌への投稿に専念している。星君は空想科学の話ばかりしているが、私には星君自身の最近の変化のほうが気になった。前の星君とはちがう。彼が従来から持っていた温良さ、寛大さといった駘蕩としたものが少なくなって、変わって、冷淡さ、自己顕示欲的なものが目立ってきた。
最近書いた『セキストラ』が好評だったので急に気をよくしているらしいが、もっと自重すべきではないか」
けど、星新一としては溺れる者は・・・という気持ちだっんだと思う。ええとこのボンというのは、悔しいとき、悲しいとき、困ったときでも、ストレートに貌には表さないからね。
「この時、はじめて、私は作家になろうと思った。それ以外に道はないのだ。会社をつぶした男を、まともな会社がやとってくれるわけがない。憧れたあげく、作家になったのではない。ほかの人とちがう点である。やむをえずなったのだ。背水の陣ではあったが」
星新一は正直だよ。ええとこのボンは素直で正直なんだ。まっ、だから、経営者には向かなかったんだけどさ。
力作。長編。星新一好きならたまんないな。300円高。
どうでもいいけど、最近の大仁田厚センセってマイケル・ジャクソンに似てないか? この前、記者会見してたんで、プチ整形の結果報告かと思ったら政界引退だってさ。ち〜とも知らんかったわ。ファイヤー!
中学時代によ〜く読みましたなぁ。実家に行くと、まだありますよ。ずらっとね。
同じ棚には集英社のコバルトブックスなんてのもずらっとあんの。この前、試しにめくってたら恥ずかしくて読めなかったね。臆面もなく、よくこんなもの読んでたよな。富島健夫とかさ。ニキビ面の中坊だから読めたんだろうね。
けど、星新一はやっぱ面白い。「ボッコちゃんだよ!」って。(デッカちゃんだよ、だろが!)
これ、評伝なんだよ。で、星新一のオヤジの代から書き起こしてるんだけど。
私、ほとんど知ってましたね。なぜか?
この本には書いてないけど、満州製鉄所の所長で、原爆対策を研究していた物理学者に「楢崎皐月」という人がいたんですよ。で、ある本をプロデュースするときにこの人についてとことん調べたことがあんのね。ついでに、星一についても勉強させてもらいました。
この楢崎皐月という人は戦後、日本の食糧政策を推進するために物理理論「静電三法」を活用した農法を全国的に展開するわけ。痩せた土地を物理的に肥沃な土地に換えてしまうわけ。
こんなことできるの? できます。基本的な仮説は、満州製鉄所で品質管理をさせた時に発見してんだよ。
で、この天才物理学者のよき理解者であり、よきサポーターが星新一のオヤジ星一だったんだよ。
星新一のオヤジは、戦前、三大製薬会社の一角を占めた星製薬の創業者、星薬科大学の創始者、そして戦前は衆議院議員、戦後は参議院で全国トップ当選した政治家でもあるわけよ。
一本、筋の通った人で、ひと言で言えば、国士=憂国の人でしたね。
星新一は東京高校(旧制)から高等師範、そして東大農学部、大学院へと進む。同時に、友人にも知られないようにオヤジの鞄持ちしてたの。
で、同時にこっそり公務員試験なんて受けてるの。
「昭和25年頃、大学を出てまもなく、私は役人になろうと思った。別に国家再建の使命感に燃えたからではない。私の如く怠け者で、他人にお世辞が言えず、口先だけで実行力がなく、能率的でもないという、性格に欠陥のある人間は、とても民間の会社には向かないだろうと考えたからである」
後に随筆に書いてるんだけど、結局、オヤジに見つかって止められちゃうんだな。受験者8000人中300番で合格してた。農林省の面接も受けてたのにね。
ところが、このあとすぐにオヤジがアメリカで客死すんだよ。で、会社を相続しなくちゃならなくなった。
けどさ、とても経営なんてできるタマじゃない。周囲には騙す人も出てきてさ、星新一の判断ミスで禍根を残す失敗が山ほど出てくる。
再建のために乗り込んできた大谷米太郎(ホテルニューオータニの創業者)も天を仰ぐばかり。
一応、会社には役員(副社長)として残ったんだけど、つまんないっしょ。居場所がないんだから。
そんな時、SFの世界にのめり込んでいくわけ。もし、SFという夢中になれる世界がなかったら、かなりの高い確率で自殺していたかもしれない。これ、ホント。
友人が当時のことを大学ノートに綴っている。
「今日はしばらくぶりで、星親一君が参議院会館に現れる。最近、彼はしきりにSF、空想科学雑誌への投稿に専念している。星君は空想科学の話ばかりしているが、私には星君自身の最近の変化のほうが気になった。前の星君とはちがう。彼が従来から持っていた温良さ、寛大さといった駘蕩としたものが少なくなって、変わって、冷淡さ、自己顕示欲的なものが目立ってきた。
最近書いた『セキストラ』が好評だったので急に気をよくしているらしいが、もっと自重すべきではないか」
けど、星新一としては溺れる者は・・・という気持ちだっんだと思う。ええとこのボンというのは、悔しいとき、悲しいとき、困ったときでも、ストレートに貌には表さないからね。
「この時、はじめて、私は作家になろうと思った。それ以外に道はないのだ。会社をつぶした男を、まともな会社がやとってくれるわけがない。憧れたあげく、作家になったのではない。ほかの人とちがう点である。やむをえずなったのだ。背水の陣ではあったが」
星新一は正直だよ。ええとこのボンは素直で正直なんだ。まっ、だから、経営者には向かなかったんだけどさ。
力作。長編。星新一好きならたまんないな。300円高。
どうでもいいけど、最近の大仁田厚センセってマイケル・ジャクソンに似てないか? この前、記者会見してたんで、プチ整形の結果報告かと思ったら政界引退だってさ。ち〜とも知らんかったわ。ファイヤー!