2007年08月14日「日本のいちばん長い日」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 この作品については、かつて1度、このサイトで紹介したことがあんだけど、ほかの記事を書いてしまって消しちゃった。あ〜あ、まっ、いつか書くこともあるだろうと思ったんですが、今回、復活します。




 1967年(昭和42年)に公開された映画だけど、終戦の日、実はこんな事件が起きていた、という「もう1つの日本史」です。

 主役の阿南惟幾陸軍大臣に三船敏郎さん。
 玉音放送の原盤を軍部から護った侍従の徳川義寛役はこの前紹介した小林桂樹さん。ほか、東宝が社運を賭けて全俳優を投入した映画。
 監督は岡本喜八、原作は半藤一利。ただし、彼が文藝春秋社員だったために大宅壮一名義で発表された、というもの。そして、脚本はご存じ、橋本忍さん。

 「会議は踊る」というけれども、米英中からポツダム宣言通告を受け、日本政府は何回も閣議を開くけれども、結論はまったく出ない。
 延々と議論をしている間、広島、長崎に原爆が投下され、ソ連は条約を破って参戦するなど事態はどんどん悪化するばかり。結局は天皇に御聖断を仰ぐことになるわけです。

 8月14日、御前会議でポツダム宣言受諾を決断。しかし、問題はその後に発生します。
 軍部のクーデターですね。
 もし、天皇の玉音放送がNHKで流れなければ、国民はだれも終戦を知らない。陸軍の一部将校たちは本土決戦に臨むつもりでしたからね。

 物事は始めることより終わらせるほうがはるかに難しいんだけど、戦争もまた同じ。もし、「あの時」、録音盤(2つあった)を奪われていたら、終戦は延び、さらに犠牲者が増えていたでしょうね。

 阿南陸相といつも対立する米内光政海軍大臣だけど、最後の最後、阿南が死ぬ覚悟であることを知った後の態度が印象的。
 阿南の自決は古式に則り切腹だけれども、腹を切った後、2人の部下とじっくり話し合うなど、事実はそうだったんだろうなとイメージさせるものだ。

 「軍閥」という映画があり、これは小林桂樹さんが東條英機を演じているけれども、これにも黒沢年男さんが出演してるのね。この人は血気にはやる青年将校の役をさせたらピカイチですな。