2007年08月20日「テレビの時間」 大山勝美著 鳥影社 2940円
毎週月曜日、中島孝志は「日刊ゲンダイ」に連載してます。題して「ネオサラリーマンのしきたり!」。
読んでちょ!
さて、著者はテレビドラマのプロデューサー、ディレクター、演出家として活躍した人。「岸辺のアルバム」「沿線地図」「ぶそろいの林檎たち」とかね。
TBSは昔、「ドラマのTBS」と呼ばれたのよ。たとえば、代表的にドラマでは「わたしは貝になりたい」(フランキー堺さん主演。リリー・フランキーじゃないよ)とか終戦40周年記念ドラマの「そして戦争が終わった」とか。
後者の制作者でもあり、ドラマ最盛期時代を引っ張った人だから、ディテールにいたるまで詳しい、詳しい。
「そして戦争が終わった」というドラマで制作サイドを悩ませたのは、宮内庁とのやりとりね。
これ、時の鈴木貫太郎首相が陛下の「ご聖断」を引き出すまでのドラマだから、宮内庁の協力無しにはドラマもなかなか実現できない。
さて、いったいだれが陛下を演じるか。ここに宮内庁も神経を使っていたらしい。
「加藤剛さんを予定しています」
「なるほど」
当時の入江侍従長も肯くわけ。ホントは、まだ加藤さんには話していなかったのにね。
もちろん、後日、「畏れ多い」と言って恐縮してたらしいけど、実際に演じたら、「身が引き締まり、お言葉を聞くとありがたくて涙がこぼれて仕方なかった」と森繁久弥さんが唸るほどの適役だったようです。
プロデューサー、ディレクター、演出家、すべての仕事を経験してるけれども、それぞれ役回りが違うわけ。
料理で言えば、プロデューサーは仕込み役、ディレクターはコックさん。演出家はサーバーか?
もちろん、演出家は俳優にいちばん近いところにいるわけだから、演技という最終表現の責任者でもあります。
当然、俳優がいちばん重視するのも演出家の意見。
「だれが演出するんですか?」と俳優が気にするのも無理はないのね。だって、どんなに凄い脚本でも、下手な演出家だとダメになっちゃうし、俳優としてはいつだって最高の演技を引き出してもらいたがってるわけだしさ。
この本、1980年代から2006年まで、あちこちに書き散らしたモノと、対談やインタビュー等に答えたものを網羅してます。だから、いろんな脚本家や評論家との対談とか俳優、女優の仕事ぶりについての話題等々、興味深い内容がたっぷり掲載されてます。
とくに、「岸辺」「沿線」「林檎」「想い出づくり」の脚本を担当した山田太一さんとの対談は2回も掲載されてます。で、これがおもしろいのなんの。
「沿線地図」−−真行寺さんがカレシを「お宅」って呼び掛けるのが新鮮だったなぁ。
「岸辺のアルバム」−−最高の脚本。元々は東京新聞の連載小説でしたね。
「ワンクール(3カ月・13本)のドラマの場合、あんまり起伏が多いと、日本人の生活と差が大きすぎてリアリティがなくなってしまう。ストーリーで転がしていくより、細かなリアリティを重ねていくほうがテレビ的ではないか」
「山田さんがやろうとしたことは、家庭劇なんです」
いずれのドラマも話題になりましたね。視聴率も取りました。
たんなるメシ食いドラマではなく、そこに時代性が絡んでたからですね。だから、若者の熱い支持を得たわけ。
「沿線地図」は、中流家庭の高校生の男女がある日、突然、同棲しちゃう。それに両方の家庭が慌てちゃうという筋。
女優の真行寺君枝さんのドラマデビュー作。当時、中坊だったと思うけど、なんて可愛いんだろうとドキドキしたもんね。「揺れる眼差し」のあのモデルね。「よろしかったらパートナー」というCMにも登場してたよね。
家庭というのは、いざというとき、シェルターのようなもの。それが従来の家庭という認識。けど、実は家庭は社会の荒波の中で漂っている。家庭人とはいえ、社会的な動物で、1人1人が社会の部分を背負っているわけ。
「岸辺のアルバム」はジャニス・イアンの「ウィル・ユー・ダンス?」が主題歌。国広富之さんが新人。八千草薫さんが電話してきた男(竹脇無我さん)と浮気する、というシチュエーション。
姉役の中田喜子さんは外国人にレイプされて妊娠しちゃう。
一見、堅固に見える家庭も簡単に崩壊するんだ、というテーマでしたね。
トータル500ページもの大著ですけど、手に取ったら一気に読んでしまうと思うな。
ところで、女優って右側と左側のどちらから撮影した方が綺麗に見えると思う?
「圧倒的に99%、○側です」だって。喜怒哀楽の感情変化が素早くあらわれるからですね。もう片方は、意思的でクールな表情がにつかわしい。
さて、正解は・・・本書に書かれてますんで探してね。300円高。
※いよいよ9月開講!第7期原理原則研究会メンバー募集中!
物好きな方は左上の玉ねぎ坊やをクリックしてスケジュール、講義内容等をご確認ください。年間会員制のため募集は今回限り。中島孝志&特別講師(3人)の「ビジネス版すべらない話」!ディープ・インパクトをご堪能あれ!人生変わるかもよ!
読んでちょ!
さて、著者はテレビドラマのプロデューサー、ディレクター、演出家として活躍した人。「岸辺のアルバム」「沿線地図」「ぶそろいの林檎たち」とかね。
TBSは昔、「ドラマのTBS」と呼ばれたのよ。たとえば、代表的にドラマでは「わたしは貝になりたい」(フランキー堺さん主演。リリー・フランキーじゃないよ)とか終戦40周年記念ドラマの「そして戦争が終わった」とか。
後者の制作者でもあり、ドラマ最盛期時代を引っ張った人だから、ディテールにいたるまで詳しい、詳しい。
「そして戦争が終わった」というドラマで制作サイドを悩ませたのは、宮内庁とのやりとりね。
これ、時の鈴木貫太郎首相が陛下の「ご聖断」を引き出すまでのドラマだから、宮内庁の協力無しにはドラマもなかなか実現できない。
さて、いったいだれが陛下を演じるか。ここに宮内庁も神経を使っていたらしい。
「加藤剛さんを予定しています」
「なるほど」
当時の入江侍従長も肯くわけ。ホントは、まだ加藤さんには話していなかったのにね。
もちろん、後日、「畏れ多い」と言って恐縮してたらしいけど、実際に演じたら、「身が引き締まり、お言葉を聞くとありがたくて涙がこぼれて仕方なかった」と森繁久弥さんが唸るほどの適役だったようです。
プロデューサー、ディレクター、演出家、すべての仕事を経験してるけれども、それぞれ役回りが違うわけ。
料理で言えば、プロデューサーは仕込み役、ディレクターはコックさん。演出家はサーバーか?
もちろん、演出家は俳優にいちばん近いところにいるわけだから、演技という最終表現の責任者でもあります。
当然、俳優がいちばん重視するのも演出家の意見。
「だれが演出するんですか?」と俳優が気にするのも無理はないのね。だって、どんなに凄い脚本でも、下手な演出家だとダメになっちゃうし、俳優としてはいつだって最高の演技を引き出してもらいたがってるわけだしさ。
この本、1980年代から2006年まで、あちこちに書き散らしたモノと、対談やインタビュー等に答えたものを網羅してます。だから、いろんな脚本家や評論家との対談とか俳優、女優の仕事ぶりについての話題等々、興味深い内容がたっぷり掲載されてます。
とくに、「岸辺」「沿線」「林檎」「想い出づくり」の脚本を担当した山田太一さんとの対談は2回も掲載されてます。で、これがおもしろいのなんの。
「沿線地図」−−真行寺さんがカレシを「お宅」って呼び掛けるのが新鮮だったなぁ。
「岸辺のアルバム」−−最高の脚本。元々は東京新聞の連載小説でしたね。
「ワンクール(3カ月・13本)のドラマの場合、あんまり起伏が多いと、日本人の生活と差が大きすぎてリアリティがなくなってしまう。ストーリーで転がしていくより、細かなリアリティを重ねていくほうがテレビ的ではないか」
「山田さんがやろうとしたことは、家庭劇なんです」
いずれのドラマも話題になりましたね。視聴率も取りました。
たんなるメシ食いドラマではなく、そこに時代性が絡んでたからですね。だから、若者の熱い支持を得たわけ。
「沿線地図」は、中流家庭の高校生の男女がある日、突然、同棲しちゃう。それに両方の家庭が慌てちゃうという筋。
女優の真行寺君枝さんのドラマデビュー作。当時、中坊だったと思うけど、なんて可愛いんだろうとドキドキしたもんね。「揺れる眼差し」のあのモデルね。「よろしかったらパートナー」というCMにも登場してたよね。
家庭というのは、いざというとき、シェルターのようなもの。それが従来の家庭という認識。けど、実は家庭は社会の荒波の中で漂っている。家庭人とはいえ、社会的な動物で、1人1人が社会の部分を背負っているわけ。
「岸辺のアルバム」はジャニス・イアンの「ウィル・ユー・ダンス?」が主題歌。国広富之さんが新人。八千草薫さんが電話してきた男(竹脇無我さん)と浮気する、というシチュエーション。
姉役の中田喜子さんは外国人にレイプされて妊娠しちゃう。
一見、堅固に見える家庭も簡単に崩壊するんだ、というテーマでしたね。
トータル500ページもの大著ですけど、手に取ったら一気に読んでしまうと思うな。
ところで、女優って右側と左側のどちらから撮影した方が綺麗に見えると思う?
「圧倒的に99%、○側です」だって。喜怒哀楽の感情変化が素早くあらわれるからですね。もう片方は、意思的でクールな表情がにつかわしい。
さて、正解は・・・本書に書かれてますんで探してね。300円高。
※いよいよ9月開講!第7期原理原則研究会メンバー募集中!
物好きな方は左上の玉ねぎ坊やをクリックしてスケジュール、講義内容等をご確認ください。年間会員制のため募集は今回限り。中島孝志&特別講師(3人)の「ビジネス版すべらない話」!ディープ・インパクトをご堪能あれ!人生変わるかもよ!