2007年10月12日ウディ・アレンの「カメレオンマン」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

「どうして周囲と同化しちゃうの?」
「安全・・・かな」
「それだけ?」
「あと、好かれたいということもある」

 昨日、「ビューティコロシアム」についてコメントしましたね。整形美人になりたい狙いは、マルクス流に言えば、「疎外」されてるからですな。
「完全なる状態(理想・目的)」があるからこそ、「足りない」「まだ足りない」といつも自分に不満を覚えてる。これ、精神的には「危機」を迎えているわけね。で、整形してマイナス分を埋める。それでようやく周囲と同化できる、と考えるわけですね。

 怖いのは、整形というのはある意味、麻薬性・中毒性があって、いったんやってしまうと、2度3度と繰り返す。その理由は、心の中から永遠に「マイナス探し」のモードがリセットされていないからなのね。
 で、だれも気づかないような小さなマイナスでも、本人は気になってしょうがない。いつも大きくクローズアップされてしまう。で、その部分をまた整形したがるというわけですな。


この発想は最高ですよ。

 この映画、主演、脚本、監督、もちろん、ウディ・アレンです。
 彼が演じるゼリグという男は、周囲と同化してしまう能力の持ち主。黒人と話していると、いつの間にか肌まで黒くなる。ジャズバンドと一緒にいると、吹いたことのないトランペットを吹き出しちゃう。
 精神科医(ミア・ファーロー)に訊かれると、自分が精神科医になって相手を診察しちゃう。115キロのデブ2人と話していると、どんどん体重が増えてしまう。

「いつからそうなったの?」
「小学生」
「どうして?」
「勉強できる人から『白鯨』を読んだことあるかと訊かれた」
「読んだ、と答えたわけね」

 カメレオンのように周囲の状況に反応しては同化する。彼女は「カメレオンマン」と命名するわけです。
 ゼリグに関して記録フィルムや証言を通じてドキュメンタリー映画として仕立て上げてます。
 もちろん、架空の人物です。ホントにいたら大変だもの。突然、ヒトラーになっちゃうんだから。けど、こういう体質は多かれ少なかれだれでも持っているものですね。

「同化したい」「愛されたい」「安全な場に自分を置きたい」
いまの自分では安心できない。危険を感じているわけね。「心の保護色」とでもいえばいいのかな。
 ウディ・アレンの傑作。どういうわけかDVDにはなってない。ビデオでどうぞ。

 追伸 ウディ・アレンといえば、「マッチポイント」という作品もあんだ、私の大好きなスカーレット・ヨハンソンが出てんのよ。
 なんとも艶っぽい女性でね。「男はみんな私とやりたがる」「後悔させないわよ」。こういう女性と会ったら大変。綺麗なバラには刺がある。このトゲが刺激的でねぇ。いけねえいけねえ。はまったら最後。けど、1度ははまってみたいと考える。これも人間的かもしれない。
 スカーレット・ヨハンソン知らない? この人。「いちばん理想的なバストの形」とアメリカで1位になった人ね。


シャロン・ストーンの妹って感じ?