2007年11月07日「レアメタル・パニック」 中村繁夫著 光文社 1000円
おいおいおい、日経の1面は「小沢代表が辞意撤回」ではなくて、「シティバンク サブプライムで2兆円損失か?!」でしょうが。
隈無くチェックしたけど、今日の紙面には1行も書かれてないよ。これ、そんなにちんけな問題? 違うでしょう? GMが繰り延べ税金資産まで取り崩すといってるほど大きな問題だよ。
もしかすっと、小沢さんの「狂言」も今回の金融トラブルの目眩ましかな・・・。
本日の日経本紙2面にリクルート創業者江副さんの最新刊『不動産は値下がりする!』(中央公論新社)の広告があります。『週刊現代』先週号で特集された拙著『キラー・リーディング』のキラーフレーズがそのまんま転載されてます。江副さんの本、たしかにいいですよ。ぜひお読み下さい。
さてと、なんちゅうか、小澤さんだけど。「心の準備」云々とか・・。
いま、内外から福田総理よりも注目されてる人物でしょ?
小泉さんみたいに軽佻浮薄でテレビ的でワンメッセージに徹してるとわかりやすい。まっ、わかりやすく見えます。でも、小澤さんの場合、人に伝えるようには話さない。「黙ってオレについてこい」というタイプなんだろうな。だから、ついてこなかった人も少なくなかった。
でも、これがオレのやり方なんだぁと突っ張ってきたわけですな。
「もう少し」という段階に来て、また突っ張っちゃった。その理由? 現実に直面すればねぇ。たしかにねぇ。
民主党では政権は取れても担えないという思いはあったと思うよ。安全保障1つとったって、旧社会党の人もいるんだから。まして社民や共産党と連立なんてとてもとても・・・現実的じゃないんだよ。
ならば、ガラガラポンで政界再編! 今回の大連立はもち、小澤さんの仕掛け。官僚の福田さんにできるわけないじゃん? 石橋を叩いても渡らない人だもんね。
石橋をぶっ壊しながら渡るのが小澤さん。原理原則に生きる人で頑固。周囲からのウケなどさらさら考えない。ある意味、無欲。いや大欲は無欲に似たりかな。
西郷どんみたいなとこがあんだなぁ。「もそっと戦(いくさ)ばせんといかん。これではまだまだ日本は1つにまとまらんでごわす」てな感じ?
さてさてさて、問題はレアメタルです。レアメタル。希少金属(鉱物)ということですな。
どんなものがあるかというと・・資源エネルギー庁が指定する「クロム、モリブデン、パナジウム、タングステン、ニッケル、コバルト、マンガン」の7鉱種のほかに、インジウム、ネオジム、ランタン、スカンジウム、イットリウムなど31種類。
これが希少価値があるわけ。もち価格はうなぎ登り。だって、需要と供給のバランスがとれないほど引っ張りだこなんだもん。
たとえば、この3年間で4〜10倍くらい値上がりしてるわけ。
「そんなに高いならいらない!」といえないのが辛いとこ。
だって、これがないと日常生活にも不便すんだよ。
たとえば、液晶テレビの生産工程ではインジウムがパネルの透明電極として使用されてるし、リチウムイオン電池にはコバルトが、携帯電話やデジカメの生産工程ではネオジムが小型精密モーターとして使われてるわけ。
ネオジムやサマリウム電子機器や自動車などのモーターに使われてる磁石の主原料となり、イットリウムやユーロピウムは蛍光体の主原料。
セリウムは触媒、研磨剤に使われ、タングステンは自動車や鉄鋼の切削やプリント基板の穴開けに使う超硬工具をはじめ半導体のメタル配線やディスプレイの配線材料、照明向けの電球フィラメントにも用いられてます。
とくにネオジム系焼結磁石の原料ネオジムは、AV機器、カーナビ、パソコンなどに内蔵するハードディスクや、エアコンなどの白物家電、ハイブリッドカー、電動自転車のモーター等にも使われてます。
大変だ、こりゃ。レアメタルが手に入らなくなったら、日本の家電、自動車などの基幹産業はどうすんだぁ?
で、これらのレアメタルなんだけど、日本はあの中国一国に依存してんのよ。31種類の中で利用価値のあるレアメタルは20種。この半分について、中国が埋蔵量・生産量ともに世界一。
ならば、懸命にレアメタル詣でをしなくちゃいけないよね。だれが? 商社、メーカーもそうだけど、政府が率先して動かないとダメ。ところが、日本政府、まっ、官僚なんだけど、そういうセンスがないわけ。
オーストラリアにウェスタンマイニング社という会社があんの。レアメタル鉱山を多数所有する非鉄メジャー。
1967〜2004年まで、住友金属鉱山とニッケルの長期供給契約をしてたわけ。10年ごとに更新してきたのね。だけど、中国が目をつけてもっといい条件で横取りしちゃった。
横取りというと語弊があるけど、まっ、ビジネスだからね。長年の取引にあぐらをかいてた日本の会社が間抜けだったのかもしれないけどさ。
聞いてみると、まっ、無理ないよな。だって、中国は政府の首脳クラスまでがこの会社に詣でて熱心に交渉してたんだよ。この間、日本は資源外交なんてしちゃいないんだからさ。話になんないよね。
押っ取り刀で駆け付けたときにはサインをし終わってた・・・。なんというか、やっぱ油断禁物だよなぁ。中国人が歯ぎしりして悔しがるような商売せんとな。
中国人はしたたかですからね。あの人たち、物作りなんかできない民族ですからね。商売、交渉、博打は天下一品でっせ。
2006年、エジプト、ガーナ、今後、アンゴラ、タンザニア、南アフリカ、ウガンダ・・・アフリカ7カ国を温家宝首相が歴訪。もちろん、狙いは資源確保ですよ。
なにしろ、「大喪の礼」まで利用して、日本国内で資源国の要人と折衝してたってんだから、開いた口が塞がりません。
いま、中国が狙っているの北朝鮮。ここレアメタルの宝庫ですからね。タングステン、モリブデン、マグネサイトなどが採掘できます。
2006年には605億ドルを投資して、採掘事業のための合弁会社を設立。北朝鮮が気づいたら、ありとあらゆる採掘権を取られていたってわけ。
首領様もぼさっとしてないで早急に日本といい関係を築かないと、中国に身ぐるみ剥がされますよ。
もちろん、レアメタルは中国にとっても希少資源。ということは、防衛にでますわな。売るにしてもなるべく高値で売りたい。それが人情ですがな。
で、中国はなにをやったか? 段階的に消費税17%の還付率を1995年から下げ続け、とうとう2006年9月に還付税廃止へと踏み切ったわけ。
それまでは生産したレアメタルについては、消費税分が生産者に還付されることになってたの。それがなくなった。
で、生産者とすれば、この差額分は買い手におっかぶせますよね。
それでも欲しい、と日本のメーカーがお願いするでしょ。そしたら、中国人ですからね、足元を見ます。
「もうありまへんねん。とれなくなってきたんですわぁ。うちらだって手に入らないんでっせ」
こうやって値を釣り上げます。そういうの得意ですからね。
さて、ロシアです。ここもレアメタルの宝庫。
だけどね悔しい想い出がロシアにはあんの。1991〜93年まで、ロシアは例の金融危機で3000倍者ハイパーインフレに襲われました。
ここに売るものは原油か資源しかありません。で、叩き売りしたわけよ。大量に西側に流出しました。
カザフスタンには旧ソ連の6割があります。天山山脈の東と西のプレートがぶつかるこの地に資源が集中してるわけ。なんと、地政学的にも急所でっせ。
カザフやウズベキなど、カスピ海周辺はサウジアラビアより原油が多く、銅、鉛、亜鉛など、資源の宝庫。
資源小国日本はこういう小さな大国を大切にしなくちゃいかんのよ。280円高。
※来年1月より「中島孝志の毒書人倶楽部」をオープンします。詳細は左枠・玉ねぎ坊やの下欄をチェックしてね。
隈無くチェックしたけど、今日の紙面には1行も書かれてないよ。これ、そんなにちんけな問題? 違うでしょう? GMが繰り延べ税金資産まで取り崩すといってるほど大きな問題だよ。
もしかすっと、小沢さんの「狂言」も今回の金融トラブルの目眩ましかな・・・。
本日の日経本紙2面にリクルート創業者江副さんの最新刊『不動産は値下がりする!』(中央公論新社)の広告があります。『週刊現代』先週号で特集された拙著『キラー・リーディング』のキラーフレーズがそのまんま転載されてます。江副さんの本、たしかにいいですよ。ぜひお読み下さい。
さてと、なんちゅうか、小澤さんだけど。「心の準備」云々とか・・。
いま、内外から福田総理よりも注目されてる人物でしょ?
小泉さんみたいに軽佻浮薄でテレビ的でワンメッセージに徹してるとわかりやすい。まっ、わかりやすく見えます。でも、小澤さんの場合、人に伝えるようには話さない。「黙ってオレについてこい」というタイプなんだろうな。だから、ついてこなかった人も少なくなかった。
でも、これがオレのやり方なんだぁと突っ張ってきたわけですな。
「もう少し」という段階に来て、また突っ張っちゃった。その理由? 現実に直面すればねぇ。たしかにねぇ。
民主党では政権は取れても担えないという思いはあったと思うよ。安全保障1つとったって、旧社会党の人もいるんだから。まして社民や共産党と連立なんてとてもとても・・・現実的じゃないんだよ。
ならば、ガラガラポンで政界再編! 今回の大連立はもち、小澤さんの仕掛け。官僚の福田さんにできるわけないじゃん? 石橋を叩いても渡らない人だもんね。
石橋をぶっ壊しながら渡るのが小澤さん。原理原則に生きる人で頑固。周囲からのウケなどさらさら考えない。ある意味、無欲。いや大欲は無欲に似たりかな。
西郷どんみたいなとこがあんだなぁ。「もそっと戦(いくさ)ばせんといかん。これではまだまだ日本は1つにまとまらんでごわす」てな感じ?
さてさてさて、問題はレアメタルです。レアメタル。希少金属(鉱物)ということですな。
どんなものがあるかというと・・資源エネルギー庁が指定する「クロム、モリブデン、パナジウム、タングステン、ニッケル、コバルト、マンガン」の7鉱種のほかに、インジウム、ネオジム、ランタン、スカンジウム、イットリウムなど31種類。
これが希少価値があるわけ。もち価格はうなぎ登り。だって、需要と供給のバランスがとれないほど引っ張りだこなんだもん。
たとえば、この3年間で4〜10倍くらい値上がりしてるわけ。
「そんなに高いならいらない!」といえないのが辛いとこ。
だって、これがないと日常生活にも不便すんだよ。
たとえば、液晶テレビの生産工程ではインジウムがパネルの透明電極として使用されてるし、リチウムイオン電池にはコバルトが、携帯電話やデジカメの生産工程ではネオジムが小型精密モーターとして使われてるわけ。
ネオジムやサマリウム電子機器や自動車などのモーターに使われてる磁石の主原料となり、イットリウムやユーロピウムは蛍光体の主原料。
セリウムは触媒、研磨剤に使われ、タングステンは自動車や鉄鋼の切削やプリント基板の穴開けに使う超硬工具をはじめ半導体のメタル配線やディスプレイの配線材料、照明向けの電球フィラメントにも用いられてます。
とくにネオジム系焼結磁石の原料ネオジムは、AV機器、カーナビ、パソコンなどに内蔵するハードディスクや、エアコンなどの白物家電、ハイブリッドカー、電動自転車のモーター等にも使われてます。
大変だ、こりゃ。レアメタルが手に入らなくなったら、日本の家電、自動車などの基幹産業はどうすんだぁ?
で、これらのレアメタルなんだけど、日本はあの中国一国に依存してんのよ。31種類の中で利用価値のあるレアメタルは20種。この半分について、中国が埋蔵量・生産量ともに世界一。
ならば、懸命にレアメタル詣でをしなくちゃいけないよね。だれが? 商社、メーカーもそうだけど、政府が率先して動かないとダメ。ところが、日本政府、まっ、官僚なんだけど、そういうセンスがないわけ。
オーストラリアにウェスタンマイニング社という会社があんの。レアメタル鉱山を多数所有する非鉄メジャー。
1967〜2004年まで、住友金属鉱山とニッケルの長期供給契約をしてたわけ。10年ごとに更新してきたのね。だけど、中国が目をつけてもっといい条件で横取りしちゃった。
横取りというと語弊があるけど、まっ、ビジネスだからね。長年の取引にあぐらをかいてた日本の会社が間抜けだったのかもしれないけどさ。
聞いてみると、まっ、無理ないよな。だって、中国は政府の首脳クラスまでがこの会社に詣でて熱心に交渉してたんだよ。この間、日本は資源外交なんてしちゃいないんだからさ。話になんないよね。
押っ取り刀で駆け付けたときにはサインをし終わってた・・・。なんというか、やっぱ油断禁物だよなぁ。中国人が歯ぎしりして悔しがるような商売せんとな。
中国人はしたたかですからね。あの人たち、物作りなんかできない民族ですからね。商売、交渉、博打は天下一品でっせ。
2006年、エジプト、ガーナ、今後、アンゴラ、タンザニア、南アフリカ、ウガンダ・・・アフリカ7カ国を温家宝首相が歴訪。もちろん、狙いは資源確保ですよ。
なにしろ、「大喪の礼」まで利用して、日本国内で資源国の要人と折衝してたってんだから、開いた口が塞がりません。
いま、中国が狙っているの北朝鮮。ここレアメタルの宝庫ですからね。タングステン、モリブデン、マグネサイトなどが採掘できます。
2006年には605億ドルを投資して、採掘事業のための合弁会社を設立。北朝鮮が気づいたら、ありとあらゆる採掘権を取られていたってわけ。
首領様もぼさっとしてないで早急に日本といい関係を築かないと、中国に身ぐるみ剥がされますよ。
もちろん、レアメタルは中国にとっても希少資源。ということは、防衛にでますわな。売るにしてもなるべく高値で売りたい。それが人情ですがな。
で、中国はなにをやったか? 段階的に消費税17%の還付率を1995年から下げ続け、とうとう2006年9月に還付税廃止へと踏み切ったわけ。
それまでは生産したレアメタルについては、消費税分が生産者に還付されることになってたの。それがなくなった。
で、生産者とすれば、この差額分は買い手におっかぶせますよね。
それでも欲しい、と日本のメーカーがお願いするでしょ。そしたら、中国人ですからね、足元を見ます。
「もうありまへんねん。とれなくなってきたんですわぁ。うちらだって手に入らないんでっせ」
こうやって値を釣り上げます。そういうの得意ですからね。
さて、ロシアです。ここもレアメタルの宝庫。
だけどね悔しい想い出がロシアにはあんの。1991〜93年まで、ロシアは例の金融危機で3000倍者ハイパーインフレに襲われました。
ここに売るものは原油か資源しかありません。で、叩き売りしたわけよ。大量に西側に流出しました。
カザフスタンには旧ソ連の6割があります。天山山脈の東と西のプレートがぶつかるこの地に資源が集中してるわけ。なんと、地政学的にも急所でっせ。
カザフやウズベキなど、カスピ海周辺はサウジアラビアより原油が多く、銅、鉛、亜鉛など、資源の宝庫。
資源小国日本はこういう小さな大国を大切にしなくちゃいかんのよ。280円高。
※来年1月より「中島孝志の毒書人倶楽部」をオープンします。詳細は左枠・玉ねぎ坊やの下欄をチェックしてね。