2007年11月06日「モンタナの風に抱かれて」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 Citi、なんとか間に合いましたな。昨日、東証に上場したでしょ? 本社CEOのプリンスさんも日本法人上場まではなんとか持ちこたえよう、としたんだろうね。
「結婚式までは本社の部長でいてね」なんて、リストラを延期してもらう花嫁の父の気持ちかな?
 まっ、今後の株価に注目しましょ。

 さて、「続・三丁目」「オリヲン座」はいずれご紹介するとして、まずはこれ。
 スカーレット・ヨハンソン、好きなんだよね。好きは好きでも、これは子役というか少女の時の役。まっ、少女といっても危ない少女役(高校生!)した「バーバー」という映画もあんだけど。
 こちらは性的には健全そのものですな。

 さて、スカーレット演じるグレースは乗馬が大好きな13歳の女の子。
 友達とカレシの話をしながら雪山を無理に登ろうとしてたら、馬がスリップ。そこに森林運搬の大型トレーナーが通りがかって・・・親友は即死。自分は右足切断という大事故。愛馬ピルグリムも安楽死寸前で人になつかない暴れ馬になっちゃった。

 母親アニー(クリスティン・スコット=トーマス)はニューヨークで腕利きの雑誌編集長。医者の言うことなんか聞かない。娘の治療にはピルグリムの回復こそ必要だと直感。これが正解なんだよな。

 あらゆるデータ、資料を集めて、全米一の馬専門クリニックを開業するトム・ブッカー(ロバート・レッドフォード)を突き止める。で、金にものを言わせて診てもらおうとするわけ。

 けど、断られちゃうの。

 でも、そんなことでめげる女じゃない。なにしろ、ロンドン生まれのアニーは単身、インドに乗り込んで取材するようなタマだからね。
 娘と暴れ馬をトレーラーに乗せて何千キロも運転して、モンタナのトムの農場まで連れてきちゃった。


頭で考えることってたいしたことないのかも。直感をもっと信用しないとね。

 トムの元で馬の治療が始まります。人間同様、心身ともにヒーリングを展開する手法ね。
 トムと生活する中、トラウマを抱えた少女の自分探しが始まります。同時に母親アニーも日々の喧噪の中で見失っていた「なにか」を見つけてしまいます。

 それがいいのか悪いのか、神のみぞ知るですけど、知ってしまったら最後。禁断の果実をかじったアダムとエバのようでもありますな。

 ラストシーンなんだけど、これでいいのかね?
 議論百出だと思うけど、私ゃこのシナリオが気に入ってます。

「アメリカ人だからこそ、妻にあんなこと言えるんだろうな。日本人は無理かもしれないな」
「ホントに愛してたら、あんなに冷静に妻の幸福だけを考えられるだろうか」
「アニーの夫(弁護士)が言ってたように、感謝という気持ちがなければあんな判断はできないな」

 いろんな意見があると思うな。愛って、いろんな形があるからね。


クリスティン・スコット=トーマスという女優は中年になってからどんどんイカしてきたね。「ゴスフォードパーク」にも出てた。

 大自然の中で生活する、という現実の前には、頭の中で考えたロマンなどではとてもとても解決できない重みがあんだよな。
 1人の男を愛することより、結局、夫と娘の無垢な愛に応えようとするほうを優先したのかもしれない。
 今度、ジェニファーに会ったら聞いておこう。君なら、どう思うって?

来年1月より「中島孝志の毒書人倶楽部」をオープンします。詳細は左枠・玉ねぎ坊やの下欄をチェックしてね。