2007年11月29日「汗出せ、知恵出せ、もっと働け!」 丹羽宇一郎著 文藝春秋 1365円
額賀さんも、こんなことなら入院しとけばよかったな、と思ってるでしょうね。けど、現役の大臣だからねぇ。無理か。
「11月末には退院しますよ」なんて言ってた久間さんですけど、こりゃ年内は出てきませんな。国対のほうからも出てくるな、と言われてると思うよ。
さて、これ、講演録です。きちんと文章で書かれてはいません。
けど、私、講演録、大好きです。圧倒的に読みやすいからね(読みやすいように手を入れてるわけですけどね)。
話は面白いのに文章となるとめちゃつまらなくなる人っているんですよ。だから、話が面白い人は講演録でいいの。
で、この2年間くらいにあちらこちらで講演したものの中から、11話を載せてます。内容的にダブりもありますけど、そんなとこは読み飛ばせばいいわけだからさ。
テーマはそれぞれ明確に分かれてますね。たとえば、次の通り。
「21世紀の日本の光と影」
「巣立つ若者たちへ贈る」
「M&Aとコーポレートガバナンスの行方」
「企業改革に終わりはない」
「エリートなき国は滅ぶ」
「人を動かす経営とは何か」
「日本は人と技術なくして成り立たない」
「WFPの活動と国際貢献」
「稼い金は誰のものか?」
「曲がり角に立つ日本とリーダーの使命」
「地域飛躍の戦略のために」
伊藤忠商事の経営者(社長、会長)として、また、いろいろな政府委員としての立場から、これらのテーマに言及しておりますな。
社長就任時、伊藤忠の経営は最悪で真っ赤かだったのね。で、この人は給料返上で再建するわけ。4000億円の債権を一括処理しちゃうんだから、豪腕ですな。
金融機関からは倒産しちゃうから止めなさいと言われてたらしいけどね、背水の陣、不退転の決意で臨んだ大勝負でしたよね。
この時、私、この会社は復活するぞと確信しましたよ。やる気が伝わってきますよ。逃げ腰じゃなくて本腰を入れた経営するんだ、というメッセージですな。
さて、今後、日本が投資すべき分野はやはり技術革新です。資源と言えるものは人と技術しかないんだもの。
だが、この点について世界を凌駕しているかどうか? とてもとても、まだまだだというのが著者の判断。
私はかなりいい線行っていると思います。たとえば、京大チームの「万能細胞」は今後、どれだけクローズアップされるかわからない研究ですよ。
問題は政府がどれだけ理解してバックアップする気があるかどうか・・・かつての人ゲノム研究のように、先行してたのにアメリカに抜かれるような失態をしてはならんのです。すぐに予算を計上するようなフットワークがなけりゃ、先端技術は海外にもってかれますよね。
研究者にとって、日本でやらなきゃいけない理由なんてこれっぽっちもないんだからねぇ。
もし、アメリカの政府や大学、シンクタンク、企業の研究所がポンと大金出してくれたら、こっちのほうが研究が進むぞ、と判断するのは当たり前。
だって、世界中で鎬を削ってるわけだよ。死に物狂いで研究してるわけだから、環境のいいほうに移るのは当たり前。
1企業、1大学の枠を超える研究は国レベルでバックアップしなけりゃダメよ。
残念ながら、役所は文化系の人間ばかりだかんね。とくに財務省なんかそうだもの。
アメリカの研究開発費は7割がライフサイエンス、3割がヘルスケア、医療・介護の分野です。今後この分野が大きくビジネスとして花開くことになるんでしょうな。
武田薬品でも、新薬開発のためにアメリカに研究所を移しています。
日本だと規制が厳しすぎて開発ができないんだよね。たとえば、試験段階の薬を日本人の被験者にのませる。で、死んだり、調子が悪くなったり、事故なんか起きたらどうすんだ? で、実験ができないわけ。
「外国人ならいいのか?」という問題もあるけど、アメリカではリスク無しに開発なんかできるわけがない、と腹を括ってるからね。
また、事故が起きたら保険もあるし、金で解決しちゃうという風土もあるからなぁ。
どこの自動車会社だったか忘れたけど(ホントは知ってるけど)、リコールすべき欠陥があったのよ。でも、リコールしなかった。理由は、コンピュータでシミュレーションしてみたら、リコールコストのほうが事故の賠償金よりも高くつく、というデータが出たから。
ところが、結果は全米で不買運動が起きちゃって、リコールコストをはるかに超える大損だったのね。
けど、こういうリスクでも計算尽くでテイクするってのが、アメリカの風土。石橋を壊してからようやく渡ろうとする日本の役所とは違いますな。
すでに水戦争が始まっている、というのが著者の意見。
「麦1キロを育てるのに2トンの水が必要なんです。米1キロで3トン、牛肉1キロで20トンです。これらの食糧を輸入しているということは水を輸入していることと同じですよ」
いわゆる、バーチャルウォーターのことですな。
水戦争を考えると、中国とインドは危険水域ですよ。
世界1のダムだかなんだか知らないけど、近郊の村は地盤ごと呑み込まれるわ、むやみやたらに山を開発したせいで水が溜まらないわ、元もと、水質がめちゃくちゃ悪いわ・・・で、いずれ北京が周辺から水を「輸入」してるように、海外から水を輸入するようになるかもしれませんな。
シンガポールはマレーシアからパイプラインで水を輸入してるわけ。「これから値段を倍にします!」と言われて愕然としたらしいよ。
商社のトップとしては、資源ビジネスはものすごく大きいですよね。ここ1年、商社がボロ儲けできたのは、原油ビジネス、鉄、レアメタル等の資源が大きく貢献してるもんね。
資源と環境問題はコインの裏表なのね。資源問題を追究すればするほど、環境問題、エネルギー問題に食い込んでいくのは当然ことですな。
ビジネスの話より、こういう環境問題、技術問題のほうが面白かったな。250円高。
「11月末には退院しますよ」なんて言ってた久間さんですけど、こりゃ年内は出てきませんな。国対のほうからも出てくるな、と言われてると思うよ。
さて、これ、講演録です。きちんと文章で書かれてはいません。
けど、私、講演録、大好きです。圧倒的に読みやすいからね(読みやすいように手を入れてるわけですけどね)。
話は面白いのに文章となるとめちゃつまらなくなる人っているんですよ。だから、話が面白い人は講演録でいいの。
で、この2年間くらいにあちらこちらで講演したものの中から、11話を載せてます。内容的にダブりもありますけど、そんなとこは読み飛ばせばいいわけだからさ。
テーマはそれぞれ明確に分かれてますね。たとえば、次の通り。
「21世紀の日本の光と影」
「巣立つ若者たちへ贈る」
「M&Aとコーポレートガバナンスの行方」
「企業改革に終わりはない」
「エリートなき国は滅ぶ」
「人を動かす経営とは何か」
「日本は人と技術なくして成り立たない」
「WFPの活動と国際貢献」
「稼い金は誰のものか?」
「曲がり角に立つ日本とリーダーの使命」
「地域飛躍の戦略のために」
伊藤忠商事の経営者(社長、会長)として、また、いろいろな政府委員としての立場から、これらのテーマに言及しておりますな。
社長就任時、伊藤忠の経営は最悪で真っ赤かだったのね。で、この人は給料返上で再建するわけ。4000億円の債権を一括処理しちゃうんだから、豪腕ですな。
金融機関からは倒産しちゃうから止めなさいと言われてたらしいけどね、背水の陣、不退転の決意で臨んだ大勝負でしたよね。
この時、私、この会社は復活するぞと確信しましたよ。やる気が伝わってきますよ。逃げ腰じゃなくて本腰を入れた経営するんだ、というメッセージですな。
さて、今後、日本が投資すべき分野はやはり技術革新です。資源と言えるものは人と技術しかないんだもの。
だが、この点について世界を凌駕しているかどうか? とてもとても、まだまだだというのが著者の判断。
私はかなりいい線行っていると思います。たとえば、京大チームの「万能細胞」は今後、どれだけクローズアップされるかわからない研究ですよ。
問題は政府がどれだけ理解してバックアップする気があるかどうか・・・かつての人ゲノム研究のように、先行してたのにアメリカに抜かれるような失態をしてはならんのです。すぐに予算を計上するようなフットワークがなけりゃ、先端技術は海外にもってかれますよね。
研究者にとって、日本でやらなきゃいけない理由なんてこれっぽっちもないんだからねぇ。
もし、アメリカの政府や大学、シンクタンク、企業の研究所がポンと大金出してくれたら、こっちのほうが研究が進むぞ、と判断するのは当たり前。
だって、世界中で鎬を削ってるわけだよ。死に物狂いで研究してるわけだから、環境のいいほうに移るのは当たり前。
1企業、1大学の枠を超える研究は国レベルでバックアップしなけりゃダメよ。
残念ながら、役所は文化系の人間ばかりだかんね。とくに財務省なんかそうだもの。
アメリカの研究開発費は7割がライフサイエンス、3割がヘルスケア、医療・介護の分野です。今後この分野が大きくビジネスとして花開くことになるんでしょうな。
武田薬品でも、新薬開発のためにアメリカに研究所を移しています。
日本だと規制が厳しすぎて開発ができないんだよね。たとえば、試験段階の薬を日本人の被験者にのませる。で、死んだり、調子が悪くなったり、事故なんか起きたらどうすんだ? で、実験ができないわけ。
「外国人ならいいのか?」という問題もあるけど、アメリカではリスク無しに開発なんかできるわけがない、と腹を括ってるからね。
また、事故が起きたら保険もあるし、金で解決しちゃうという風土もあるからなぁ。
どこの自動車会社だったか忘れたけど(ホントは知ってるけど)、リコールすべき欠陥があったのよ。でも、リコールしなかった。理由は、コンピュータでシミュレーションしてみたら、リコールコストのほうが事故の賠償金よりも高くつく、というデータが出たから。
ところが、結果は全米で不買運動が起きちゃって、リコールコストをはるかに超える大損だったのね。
けど、こういうリスクでも計算尽くでテイクするってのが、アメリカの風土。石橋を壊してからようやく渡ろうとする日本の役所とは違いますな。
すでに水戦争が始まっている、というのが著者の意見。
「麦1キロを育てるのに2トンの水が必要なんです。米1キロで3トン、牛肉1キロで20トンです。これらの食糧を輸入しているということは水を輸入していることと同じですよ」
いわゆる、バーチャルウォーターのことですな。
水戦争を考えると、中国とインドは危険水域ですよ。
世界1のダムだかなんだか知らないけど、近郊の村は地盤ごと呑み込まれるわ、むやみやたらに山を開発したせいで水が溜まらないわ、元もと、水質がめちゃくちゃ悪いわ・・・で、いずれ北京が周辺から水を「輸入」してるように、海外から水を輸入するようになるかもしれませんな。
シンガポールはマレーシアからパイプラインで水を輸入してるわけ。「これから値段を倍にします!」と言われて愕然としたらしいよ。
商社のトップとしては、資源ビジネスはものすごく大きいですよね。ここ1年、商社がボロ儲けできたのは、原油ビジネス、鉄、レアメタル等の資源が大きく貢献してるもんね。
資源と環境問題はコインの裏表なのね。資源問題を追究すればするほど、環境問題、エネルギー問題に食い込んでいくのは当然ことですな。
ビジネスの話より、こういう環境問題、技術問題のほうが面白かったな。250円高。