2008年02月23日「旅の重さ」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 「ママ、びっくりしないで、泣かないで、落ついてね。そう、わたしは旅にでたの。ただの家出じやないの、旅にでたのよ。
 四国遍路のように海辺づたいに四国をぐるりと旅しようと思ってでてきたの。さわがないで。さわがないでね、ママ。いいえ、ママはそんな人ではないわね」

 16歳の少女が男出入りの多い母との生活が嫌になって飛び出しちゃうわけ。で、四国でお遍路さんになっちゃうのね。
 で、痴漢にあったり、旅芸人と出会ったり、行商人のところに泊まり込んだり、レズビアンを体験したり、死にそうになったり、恋したり・・・多感な少女に自己発見の旅?


なんだかなぁ。

 なんだかねぇ。これ、私が高1の時に観た映画。ませてた? いえ、全然。汚れを知らない少年ですよ。

 女優の高橋洋子さんのデビュー作。健康的なヌードが良かったよね。オーディションでたしか2位だった秋吉久美子さんが本名で出演してたんじゃないかな。
 「ないかな」って、DVD、チェックすればいいんだけの話なんだけどね。

 今回はちと話があっちこっちに飛びますから。

 これ、三國連太郎さんが出演してたのね。恥ずかしながら、ココだけの話。全然気づきませんでした。
 どうしてだろ? 高橋悦史さんが強烈な印象だったからかな。

 この映画ではトンだドジたくさん踏んでまして、まず去年の4月に(もう1年近く前だね)『サンダカン八番娼館』を紹介してるのね。
 で、この映画の主役も高橋洋子さんだから、この『旅の重さ』についてもチラッと描いてるわけ。ところが、それが完全なる勘違い。主題歌は「旅の宿」と言い切ってるわけね。

 これ、間違い。「今日からそして明日から」なんだよね。どちらも拓郎さんの唄だよ。けど、なんと35年間、勘違いしてたっつうわけよ。
 なんだかなぁ(阿藤快さん?)。

 原作も読んでてね。当時、「文藝」「群像」とかを定期購読するほど小説好きだったのね。で、これ、筑摩だったと思うけど、すぐ読んだわけ。覚えてますよ。黄色い装丁の本でね。
 小説というより書簡みたいでさ。だって、主人公からママへの手紙が延々と続く作品なんだもの。原作は素九鬼子さん。この人、『大地の子守歌』も書いてるの。これは原田美枝子さんか。
 ちいとも知らなんだ。

 それと恥ずかしながら、脚本が知人の石森史郎さん。これまた気づきませんでした。参ったなぁ。勘違いと無知で二重三重にドジ踏んでるわけです。
 ホントになんだかなぁ。

 あれやこれやで、いちばんショックだったのは『旅の宿』ですよ。
 だって、この映画と二重写しになるじゃないの?

♪浴衣の君は 薄のかんざし
 熱燗とっくりのクビ つまんで♪
 なんてさ。このシーンあんだもの。で、『旅の重さ』と『旅の宿』似てんじゃん? で、拓郎さんの唄なんだもの。間違えるよね?
 えっ、間違えない? あっ、そう。とにかく、思い込みは怖いよ。35年間・・・このほかにもたくさん勘違いしてんだろうね。

 というわけで、拓郎さんの唄でいちばん好きなのはこれです。外は白い雪の夜です。