2008年02月29日だから自衛隊はダメなんだろうね。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 最初のボタンを掛け違えると最後のボタンは掛けられない。
 ギョエテも面白いことを言ったもんですな。ギョエテ? そう、ゲーテのこと。

 ギョエテとは オレのことかと ゲーテ言い

 漁船清徳丸に衝突したイージス艦「あたご」。こんなヘタ打ってたら、こりゃ、あきまへんでぇ。現場監督である艦長はもちろん、海幕の責任者幕僚長、それに石破大臣のクビは飛ぶわな。

 本来、石破さんは腐りきった防衛省改革に乗り込んだつもりでしょうけど、これで終わりですな。な〜んだ、小池百合子さんでもよかったじゃん?てな風潮に流れつつありますよ。

 今回の事故を通じて、海自の致命的な欠陥が2つ露呈してしまいましたな。

 1つは、どこの世界にもありがちだけど、パニックに陥ると法律や社内規定、ルールを平気で破ってしまうということ。

 こういう大事に至ったときほど、実はコンプライアンスに則った動きをしなくちゃいかんのよ。にもかかわらず、上層部が考えたことは・・・大臣に迷惑がかかる。自衛隊が糾弾される。責任をとらされる。
 だから、清徳丸親子の救援活動よりも事故の隠蔽、責任回避の対策が優先されてしまうわけ。海上保安庁が怒るのも当たり前だわな、

 いくら隠したって、この情報時代になかなか隠しおおせるものではありませんよ。おかげで修正発言の連発。いま、辻褄の合わないことがどんどん出てますがな。
 
 今回の事故はたまたま起きたわけじゃなくて、起きるべくして起きた事故です。
 「ハインリッヒの法則=ヒヤリハットの法則」にあるように、1つの大事故の裏側には、大事故には至らなかったけど中程度のトラブルが29あり、その裏にはヒヤリハットする軽いトラブルが300あるんです。

 ホントは、見張りの連中はしょっちゅうヒヤリハットしていたはずだよ。けど、その情報が上まで届いていなかった。つまり、この艦長さんは「裸の王様」だったんだと思う。
 「こんなに漁船が多いとは・・・」なんて今頃言ってるのは、現場を知らない証拠。つまり、部屋に閉じこもって甲板なんかに出たことないんですよ、この人。

 なぜか? 官僚だからです。艦長、幕僚監部といったって、この人たち、戦士じゃありません。官僚なんです。
 背広組だよ? はいな、骨の髄まで官僚です。制服を着た役人です。

 一連のゴタゴタを見ていると、組織の看板は変わっても、役人根性という点ではどこも社保庁職員と変わらないんだ、ということがよくわかります。

 個人よりも組織を守るための隠蔽体質。民より官優位の思いこみ。なにより、いざというときの対応のまずさ。
 こんなセンスのない連中が戦争しても勝てるわけないわなぁ。

 アメリカは、戦後、日本の軍事力を増強してはきたけれども、旧軍が育んでいた軍人精神は目論見通りスポイルさせることに成功したようです。

 私ゃ大学4年間、毎年、自衛隊に体験入隊してましたけど、どこまでいっても、「戦争する軍隊」と「戦争しない軍隊」とでは上から下まで緊張感が違うのよ。
 世界でも例を見ない「戦争しなくていい軍隊=自衛隊」の現実がこれなんだろうね。
 
 さて、2つ目はこれ。情報伝達の致命的な遅さ。しかも、致命的な不正確さ。

 これ、世界中にさらしてしまいましたね。各国とも日本領海の防衛ラインは簡単に破れる、と判断したと思うよ。中国や北朝鮮はめちゃ喜んでるだろうなぁ。国益という点から考えると、これが最大の罪だったかもしれません。

 軍事アナリストの小川和久先生もおっしゃってますけど、普通、軍隊の危機管理では、第1報のブリーフィング(状況報告、説明)は3分以内。しかも、解決策を提案することも含んでね。
 で、それを受けて15分以内に責任者は判断することになってるわけ。

 当たり前でしょ。戦争してるんだから。敵からミサイル打ち込まれてるのに、いちいち、イロハのイから説明してる時間なんてないのよ。まして、会議なんてやってらんないわけ。戦争は現場で起きてるんだからさ。
 そんなこたぁ、織田裕二に言われなくてもわかってるでしょ?

 でも、今回の対応でおわかりのように、軍事官僚たちは情報伝達、状況把握、意思決定において、致命的に遅く、しかも致命的に不正確でした。

 残念だけど、これ、いまにはじまったことではございません。
 ハワイのえひめ丸事故、北朝鮮工作船事件、中国原潜の領海侵犯・・・たくさんあんのよ。

 海自なんて、海上保安庁に組み入れたらどう? イージス艦より海上保安庁にミサイル積ませたほうが北朝鮮や中国もおとなしくなるって。
 海保は工作船を攻撃しちゃうんだからさ。

 どんなに凄い武器持ってたって、使わない、使えないのなら、バカにされるだけよ。
 平和ぼけというより役人ぼけなんだと思うね。