2008年07月11日「マネーの未来、あるいは恐慌という錬金術」 松藤民輔著 講談社 1680円
NYダウの下落が止まりませんな。典型的な右肩下がり。あっという間でしたね。
昨日など236ドルの下落。06年8月以来。なんと2年ぶりの安値水準ということです。特に金融株のダメージつうか信用不安は致命的なレベルにまで来てますな。
潰れるべき金融機関が潰れない。いや、潰せない。なぜなら、ドミノ倒しの・・・金融恐慌に至るからですね。それが証拠に、バーナンキと投資銀行のセイフティネットを延長すると発表しました。
実はアメリカは万策尽きてると思いますよ。ありとあらゆる策を講じました。ヨーロッパもインフレに火が付かないようにぎりぎりの協力をしてます。
日本は? 隠し金庫に手を突っ込みたいアメリカを瀬戸際でなだめすかしている姿が見て取れますね。
さて、本書は「恐慌」に対するアメリカ必死の攻防をユニークかつ独自の視点から浮き彫りにしています。
恐慌? えっ、ホント? 恐慌って1929年のあれ? そうなのよ。恐慌というのはその最中には気づかないもんよ。当時のフーバー大統領だって、次のフランクリン・ルーズベルト大統領だって、タイミングを誤ったんですからね。
ここだの話、恐慌以前の株価に戻るのは1951年でっせ。つまり第二次世界大戦後なのよ。「もはや戦後ではない」という日本の経済白書の名文句は実はアメリカのことだったのよ。
さて、本書のフレームワークはそこらへんのエコノミストでは書けない内容ばかり。面白いのは、サブプライム問題の総括をかつての名門UBSとベアスターンズを比較検証しながら展開していること。そして、オリンピック後の中国経済をかなり冷徹な目で見通していること。なにより、いま、世界でいちばん景気がいいと思われている中東(原油が出る中東)が実はそうではなく、投資に失敗して真っ赤っかであること。
じゃ、中東の政府ファンドはなぜあんなに欧米の金融機関にポンポン出資できるの?
答えは簡単。いま、彼らにバンザイされたら、いままで出資した虎の子の資金は全部パーになっちゃうから。つまり・・・「出資」じゃなくてホントは「追い証」なのよ。ほら、こんなこと、テレビの人気コメンテーターもエコノミストも知らないでしょ?
いま、実は日本の金融機関が深く潜行して欧米の金融機関を下支えしてます。でもね、ドメスティックな金融頭脳じゃ、UAEみたいに外資の連中にやられるだけよ。ここはしたたかな金融頭脳を持った連中に任せないとね。
財務省はまったくスキルも知識も・・・そして残念ながら最先端の金融理論もわかっちゃいません。なぜなら、あの組織で出世するのは「法律畑」であって「経済畑」じゃないからね。この点は「さらば財務省」等、高橋さんの著書をチェックしてみるといいでしょうな。
これから20年、マクロに歴史を鑑みて、アメリカ・中国・中東・ロシア等の成り上がり資源国・・・そして日本の金融がどのように動いていくか。
なにより、著者は実はいまこそ投資の大チャンスなんだ、と断言してます。えっ、いったいどうすりゃいいの? それは・・・詳細は本文を読んでね。著者のシナリオは説得力というか迫力がありまっせ。
たぶん、好評の「終わりのシリーズ3部作」を凌駕する内容だと思います。500円高。
昨日など236ドルの下落。06年8月以来。なんと2年ぶりの安値水準ということです。特に金融株のダメージつうか信用不安は致命的なレベルにまで来てますな。
潰れるべき金融機関が潰れない。いや、潰せない。なぜなら、ドミノ倒しの・・・金融恐慌に至るからですね。それが証拠に、バーナンキと投資銀行のセイフティネットを延長すると発表しました。
実はアメリカは万策尽きてると思いますよ。ありとあらゆる策を講じました。ヨーロッパもインフレに火が付かないようにぎりぎりの協力をしてます。
日本は? 隠し金庫に手を突っ込みたいアメリカを瀬戸際でなだめすかしている姿が見て取れますね。
さて、本書は「恐慌」に対するアメリカ必死の攻防をユニークかつ独自の視点から浮き彫りにしています。
恐慌? えっ、ホント? 恐慌って1929年のあれ? そうなのよ。恐慌というのはその最中には気づかないもんよ。当時のフーバー大統領だって、次のフランクリン・ルーズベルト大統領だって、タイミングを誤ったんですからね。
ここだの話、恐慌以前の株価に戻るのは1951年でっせ。つまり第二次世界大戦後なのよ。「もはや戦後ではない」という日本の経済白書の名文句は実はアメリカのことだったのよ。
さて、本書のフレームワークはそこらへんのエコノミストでは書けない内容ばかり。面白いのは、サブプライム問題の総括をかつての名門UBSとベアスターンズを比較検証しながら展開していること。そして、オリンピック後の中国経済をかなり冷徹な目で見通していること。なにより、いま、世界でいちばん景気がいいと思われている中東(原油が出る中東)が実はそうではなく、投資に失敗して真っ赤っかであること。
じゃ、中東の政府ファンドはなぜあんなに欧米の金融機関にポンポン出資できるの?
答えは簡単。いま、彼らにバンザイされたら、いままで出資した虎の子の資金は全部パーになっちゃうから。つまり・・・「出資」じゃなくてホントは「追い証」なのよ。ほら、こんなこと、テレビの人気コメンテーターもエコノミストも知らないでしょ?
いま、実は日本の金融機関が深く潜行して欧米の金融機関を下支えしてます。でもね、ドメスティックな金融頭脳じゃ、UAEみたいに外資の連中にやられるだけよ。ここはしたたかな金融頭脳を持った連中に任せないとね。
財務省はまったくスキルも知識も・・・そして残念ながら最先端の金融理論もわかっちゃいません。なぜなら、あの組織で出世するのは「法律畑」であって「経済畑」じゃないからね。この点は「さらば財務省」等、高橋さんの著書をチェックしてみるといいでしょうな。
これから20年、マクロに歴史を鑑みて、アメリカ・中国・中東・ロシア等の成り上がり資源国・・・そして日本の金融がどのように動いていくか。
なにより、著者は実はいまこそ投資の大チャンスなんだ、と断言してます。えっ、いったいどうすりゃいいの? それは・・・詳細は本文を読んでね。著者のシナリオは説得力というか迫力がありまっせ。
たぶん、好評の「終わりのシリーズ3部作」を凌駕する内容だと思います。500円高。