2008年07月19日「ポゼッション 抱擁」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 な〜んだ、『ゲゲゲ』しかやってないのかよ。ここしばらく映画館に行くこたぁないな。
 私、あまり上映中に出てくることないんでけど、「ゲゲゲ」だけは20分が限界だったな。ま、元々、目玉親父のストラップが欲しくてチケ買っただけだから文句言える筋合いじゃないんだけどね。

 こりゃ、DVDをチェックしたほうがええわな。で、これ。

 不倫のほうが純愛じゃないか・・・と思える佳品ですな。
 場所はロンドン。19世紀を代表する詩人ランドルフ・ヘンリー・アッシュの研究をしてるアメリカ人ローランド(アーロン・エックハート。『エリン・ブロコビッチ』ね)。

 大英博物館でアッシュの本をチェックしてたら、なんと自筆の手紙が挟まってた。「マダム・・・」で始まるそれは、どうも妻以外の女性におくられたラブレター! 世紀の大発見。

 というのも、アッシュは英国で大人気の詩人だから。日本で言えば、たぶん、竹久夢二とう中原中也みたいなもんか。オークションでも高値がつくほど。

 しかも彼は超愛妻家という定評があっただけに、もしこれが真実なら文学史を変える・・・。
 こうなりゃ、研究者としてはやる気満々。好奇心、知識欲、野心がビピンパになっちゃうわな。



 調べ始めると、その不倫相手というのはクリスタベル・ラモット(ジェニファー・イーリー。メリル・ストリープくりそ!)という女流画家では? そうなると、これまた大変。というのも、彼女はレズビアンとしてスキャンダラスな噂に包まれた女性だった。

 で、ローランドはクリスタベルと血がつながるモード・ベイリー博士 (グウィネス・パルトロウ。『恋に落ちたシェイクスピア』よりディケンズ原作『大いなる遺産』のほうが良かったのぉ) に協力を依頼。

 そんなこんなで100年前の2人の恋の足跡を追いかけるわけ。

 ビクトリア朝。英国でも倫理と規律にいちばんうるさかった時代の純愛物語。それが現代の恋愛と同期し始めちゃう。

 過去と現在の恋愛物語が同時進行する中、大学の研究者同士の嫉妬、競争、裏切り、野望・・・人間の欲望。レズの相手ブランチ(仲間由紀恵とくりそ!)の自殺。そして、アッシュとラモットそれぞれの秘密・・・。

 なんとなく『マディソン郡の橋』を連想しちゃうな。どちらも大人の純愛を描いた作品ですわな。

 けどさ、2人にとっては純愛なんだろうけど、周囲から見れば不倫にしか見えないわな。でも、自分に正直であり、なおかつ相手に誠実であることが純愛の条件だとすれば、不倫は立派な純愛なのかもしれませんな。

 イザベル・アジャーニ主演で同タイトルの作品『ボゼッション』があります。で、実はそちらのほうが有名なんだけど、こっちのほうが断然お勧め。