2008年09月05日DVD発売「北辰斜にさすところ」
カテゴリー中島孝志の不良映画日記」
ようやっとできあがりました。『北辰斜にさすところ』のDVDです。
多くの方々にご鑑賞頂いた映画ですね。去年4月にはシンポジウムにはたくさんの応援団にお越し頂きました。
この映画は現代版『フィールド・オブ・ドリームス』といっていいでしょう。
天才的なバカになれ! バカの天才になれ!
主人公は旧制7高野球部のエース(若き日の三國蓮太郎さんは俳優座の新人和田光司くんが演じます)。
戦争でかけがえのないチームメイトを次々に喪う中、「天才的なバカになれ!」と主人公に教えてくれた7高名物の先輩(緒形直人)と南方戦線で遭遇します。ただし、こちらは軍医、相手は傷病兵ですけどね。
戦況、日本に利あらず、いよいよ部隊は撤退しなければならなくなります。この恩ある先輩をも見捨てなければならない運命にさらされるんです。
「あまんさぁは生きろ。おいにかまわず・・・♪ほくしんななめにさすところ・・・」
「先輩、すみません!」
2006年11月3日は、明治から続く伝統の「7高−5高」の対抗野球試合。しかもちょうど100年目という記念すべきゲームです(これは事実!)。
学制変更でそれぞれ鹿児島大学、熊本大学と名前は変わってますけど、幕末以来の因縁にも則って、毎年、「挑戦状」をたたきつけては「戦争」をする記念行事。鹿児島と熊本の県境にある川上哲治記念球場には全国からOBが駆け付けてきました。
「今日の試合はじいさん連中が主役やけん、うちらは怪我せんように適当にやろや」
「了解、了解」
ところが、試合が進んでいくとじいさん連中の応援がすさまじい。その熱気が現役の大学生の心を突き動かしていきます。
「前言撤回! 命がけでやるど!」
主人公の孫がマウンドに立っています。しかし、怪我が響いてもう投げられない。
その時、胸にZマークのユニフォームを着た若者がマウンドに静に歩み寄ります。
「あれは上田勝雄じゃなかと? 上田先輩の弟たい」
戦死した主人公の弟。兄よりもスピードボールを投げた七高のエース。見れば、ファースト、セカンド、サード、ショート、レフト・・・そしてキャッチャーも、昭和19年のあのメンバーが守備位置についています。フィリピン・レイテ沖で死んだもの、南方戦線で行方がわからなくなったもの、ビルマで果てたもの・・・彼らはいまここで心の底から愉しんで白球を追っているのです。
♪戦争を知らない子供たちにとっては、戦争がチラッとでも出てくる映画、ドラマはすべてといっていいほど暗いものばかりです。
けど、そんなことはない。どんなに暗い時代だって、若者がいて、青春があって、スポーツがあって、恋をしたり、喜んだり、笑ったり、友との語らい、親子のふれ合いはあったはずなんです。
そうか、これは「昭和19年のプレイボール」ともいうべき熱血青春映画なんだ、とわたしは見ました。
いまどきの日本で、じいさんと孫が連れ立って見に行くようなことはないでしょうが、映画館ではそんな2人連れに何組もお会いしました。
若者には新鮮な感動が、リアルタイムで共感できる年輩の方には去りし日々への思いが、それぞれのメンタルスクリーンに浮かんでくるのではないでしょうか。映画って目の前のスクリーンじゃなく、心のそれに投影されたものを観てるんですもんね。
監督は『ハチ公物語』『遠き落日』『大河の一滴』『草の乱』などで知られる神山征二郎さん。記念すべき25本目の作品です。
出演は三國連太郎、緒形直人、林隆三、佐々木愛、大西麻恵、神山繁、北村和夫、織本順吉、鈴木瑞穂、犬塚弘、滝田裕介、土屋嘉男、三遊亭歌之介、高橋長英、斉藤とも子、河原崎建三、永島敏行、坂上二郎・・・の各氏。ナレーターには山本圭さん。
実力派揃い。ある意味、日本演劇界の総力をあげた一作ともいえますな。
とびっきりのお勧め映画。そうそう、「敬老の日」にプレゼントなんていかが?
多くの方々にご鑑賞頂いた映画ですね。去年4月にはシンポジウムにはたくさんの応援団にお越し頂きました。
この映画は現代版『フィールド・オブ・ドリームス』といっていいでしょう。
天才的なバカになれ! バカの天才になれ!
主人公は旧制7高野球部のエース(若き日の三國蓮太郎さんは俳優座の新人和田光司くんが演じます)。
戦争でかけがえのないチームメイトを次々に喪う中、「天才的なバカになれ!」と主人公に教えてくれた7高名物の先輩(緒形直人)と南方戦線で遭遇します。ただし、こちらは軍医、相手は傷病兵ですけどね。
戦況、日本に利あらず、いよいよ部隊は撤退しなければならなくなります。この恩ある先輩をも見捨てなければならない運命にさらされるんです。
「あまんさぁは生きろ。おいにかまわず・・・♪ほくしんななめにさすところ・・・」
「先輩、すみません!」
2006年11月3日は、明治から続く伝統の「7高−5高」の対抗野球試合。しかもちょうど100年目という記念すべきゲームです(これは事実!)。
学制変更でそれぞれ鹿児島大学、熊本大学と名前は変わってますけど、幕末以来の因縁にも則って、毎年、「挑戦状」をたたきつけては「戦争」をする記念行事。鹿児島と熊本の県境にある川上哲治記念球場には全国からOBが駆け付けてきました。
「今日の試合はじいさん連中が主役やけん、うちらは怪我せんように適当にやろや」
「了解、了解」
ところが、試合が進んでいくとじいさん連中の応援がすさまじい。その熱気が現役の大学生の心を突き動かしていきます。
「前言撤回! 命がけでやるど!」
主人公の孫がマウンドに立っています。しかし、怪我が響いてもう投げられない。
その時、胸にZマークのユニフォームを着た若者がマウンドに静に歩み寄ります。
「あれは上田勝雄じゃなかと? 上田先輩の弟たい」
戦死した主人公の弟。兄よりもスピードボールを投げた七高のエース。見れば、ファースト、セカンド、サード、ショート、レフト・・・そしてキャッチャーも、昭和19年のあのメンバーが守備位置についています。フィリピン・レイテ沖で死んだもの、南方戦線で行方がわからなくなったもの、ビルマで果てたもの・・・彼らはいまここで心の底から愉しんで白球を追っているのです。
♪戦争を知らない子供たちにとっては、戦争がチラッとでも出てくる映画、ドラマはすべてといっていいほど暗いものばかりです。
けど、そんなことはない。どんなに暗い時代だって、若者がいて、青春があって、スポーツがあって、恋をしたり、喜んだり、笑ったり、友との語らい、親子のふれ合いはあったはずなんです。
そうか、これは「昭和19年のプレイボール」ともいうべき熱血青春映画なんだ、とわたしは見ました。
いまどきの日本で、じいさんと孫が連れ立って見に行くようなことはないでしょうが、映画館ではそんな2人連れに何組もお会いしました。
若者には新鮮な感動が、リアルタイムで共感できる年輩の方には去りし日々への思いが、それぞれのメンタルスクリーンに浮かんでくるのではないでしょうか。映画って目の前のスクリーンじゃなく、心のそれに投影されたものを観てるんですもんね。
監督は『ハチ公物語』『遠き落日』『大河の一滴』『草の乱』などで知られる神山征二郎さん。記念すべき25本目の作品です。
出演は三國連太郎、緒形直人、林隆三、佐々木愛、大西麻恵、神山繁、北村和夫、織本順吉、鈴木瑞穂、犬塚弘、滝田裕介、土屋嘉男、三遊亭歌之介、高橋長英、斉藤とも子、河原崎建三、永島敏行、坂上二郎・・・の各氏。ナレーターには山本圭さん。
実力派揃い。ある意味、日本演劇界の総力をあげた一作ともいえますな。
とびっきりのお勧め映画。そうそう、「敬老の日」にプレゼントなんていかが?