2008年09月10日「青い凧」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 最近、急にニュースを聞かなくなった国がありますね。
 中国です。

 あれれ、消えちゃった? んなわけないか。けど、北京オリンピック開催中の8月はペキン、ペキンと爆竹鳴らしたように賑やかでしたよね。
 それがばったり。テレビから消えちゃった。

 総理が辞めちゃった。北の湖理事長も辞めちゃった。ロシアの相撲取りはクビになっちゃった。汚染米が出回ってた。社保庁職員がやっぱり年金データを改ざんしてた。次から次へと飛び出る国内不祥事。
 この陰に隠れたというわけじゃないでしょうけど、中国関連のニュースが消えちゃった。せいぜい毒餃子問題くらい。

 大陸ではウイグル自治区やチベット自治区への弾圧は相変わらず続いてると思うのね。同時に、テロ行為も続いてると思うわけ。
 こりゃ、オリンピック後も報道規制してると考えた方が正解かもしれませんな。

 さて、いけいけどんどんの中国でしたけど、どうやら、かなり財布のひもを締める事態となってるようですな。

 中国国家開発銀行がドイツのドレスナー銀行買収を検討してるが8月に報道されました。「ほんまけ?」と耳を疑いましたけど、結局、ドイツのコメルツ銀行に買収されることに決定。

 当局から「待った」がかかったわけね。

 中国開発銀は英バークレイズ等に出資してることで知られてますよね。
 どうせ投資指南は中東産油国同様、アメリカの投資銀行の連中がやってるわけ。「いい買い物だよ」と唆されてその気になってたのにね。
 中東産油国の国富ファンドなんてこの手でやられちゃったんだろうけど、「もう騙されない」と政府が介入してきた。
 
 失敗続きでさすがに学習効果となった? いえいえ、もう米櫃にカネがないのよ。
 世界一の外貨準備は? あれ? あれは見かけ。あれ、なくしたらすってんてん。これから厳しくなるのわかってるしぃ。節約しなくちゃ・・・というわけで、米国は中国を騙せなくなっちゃった。
 というより、今までのような「金融協力=戦略的対話」は期待しないほうがいい。

 韓国産業銀行もリーマンに出資するつもりが、当局から「待った」がかかっちゃった。
 もうあちこちで「待った」の声。こりゃ、「バズーカ砲」を発射したばかりのポールソンさんも、二の矢、三の矢を放てるかどうかわかりませんな。

 それが8〜9日の株価上昇、そして反落という状況に現れてるような気がします。 
 ポールソンは日本の個人金融資産が欲しくてたまらんやろね。

 さて、北京オリンピックでは華々しい演出を展開した中国ですけど、奇しくもその実態を天下にさらけ出す結果となったことはご存じの通り。

 「ああ、やっぱり中国は中国だった」と感じた方も多いのでは?


かつて中国国内で上映されず、東京国際映画祭(93年)でグランプリ受賞。監督=田壮壮。脚本=肖矛。

 中国共産党は文化大革命の誤りを認めてますけど、それ以前の誤りは正当性が損なわれるために認めていません。この作品は、1950年代、北京の小学校教員と図書館員の2人の夫婦を通じて、毛沢東体制下の中国を赤裸々に描いてます。

 けど、あれれ、いまの中国と本質的には変わらないんじゃないの、と気づくと思います。
 党と政府のために忠誠を強制する。裏切りと密告だけが自分を守る手段。家族以外はだれも信じない。いや、家族ですら密告する。

 イデオロギーは人を狂わせますね。イデオロギーは人を対立させます。
 イデオロギー第一主義の国というのは怖いですな。
 中国政府はなにより人民が怖いと思うね。どこの軍隊よりも恐ろしいはず。だから、人民解放軍があるわけですね。

 DVDにならないのが惜しい傑作。