2008年12月04日ビッグスリーの未来、日本車の未来。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 日経ウェブ連載中の「社長の愛した数式」が連日15万人ものアクセスが集中し、配信している日経サイドがビックリ。しかも前回9万人から一気に急増。リーマン破綻までは読者が3万人しかいなかったんですから、本人がいちばん驚いてます。
 隔週水曜日に更新してます。今回のテーマは「ポルシェの戦略」です。ここだけの話がテンコ盛り。ぜひご一読くださいませませ。

 さて、ビッグスリーの命運もここ数日で決まりますね。

 労組との蜜月期が長かったために、過度の退職者特権が存在して再建の足を引っ張ってます。この制度をストップするには破産申請するっきゃない。けど、破産申請したら社債はパー。債券マーケットに甚大な影響を及ぼす。あちらを立てればこちらが立たず。
 
 救済無しならダウ6000ドル・日経平均6000円に突入するかもしれません。超ドル安・超円高で、ますます負のスパイラルにはまっちゃう?
 とりあえず救済したら? 砂漠に水を撒くようなもの。でも時間稼ぎのために「なんらかの仕組み」を作るしかありません。が、どんなものが飛び出てくるのか・・・。

 フォードは売れるものはすべて売ろうとボルボ(スウェーデン)売却を発表。ジャガーはすでにインドのタタに、ランドローバーはBMWに売却済み。あんさん、もうフォドフォドにしときや。これですっからかん。裸一貫から出直しや。
 GMは? 「ごめんな。もう売るもんないんや」の頭文字。クライスラーは? 経営陣がcryすらぁ。まるで小林旭の「自動車ショー歌」でっせ。

 賢明な政治家ならビッグスリーの支援にOKはしない。とても飲めないような条件を出して自然消滅させたら? リーマンの二の舞になる?

 「社長の愛した数式」に登場するポルシェのしたたかな経営と比較すると、ビッグスリーは労使ともに「井の中の蛙」。内側しか見ずに経営してきたツケ。金融危機があってもなくてもいずれ消える業界だったかもしれません。

 が、倒産すると300万人ずつ失業者が出ます。けど、米国は不況になったらレイオフという文化があります。私の知人のSE会社など、毎月300〜500人単位のリストラがありますよ。だから驚かない。

 自動車産業は裾野が広い。それは部品関連企業だけでなく、広告代理店からテレビ局までに影響が及びます。たとえば、今回のロス・シカゴのモーターショーに日産と三菱は参加しません。コストがバカにならないからね。

 テレビCMのスポンサー契約も降りざるをえません。GMがタイガー・ウッズとの契約を更新しないように、さまざまな冠イベントからも撤退するでしょう。もちろん、演劇や映画、音楽会等のスポンサーも激減。せちがらい世の中、味気ない世の中、カラーから白黒へと彩りの少ない世の中になりかねません。

 けど、そんなニュースだけでなく、日本企業には少し明るい展望もあるんです。
 この10月の自動車販売高は日本メーカー27%減。GMは47%減です。ビッグスリーがビッグツーとかビッグワンになれば、販売台数もシェアも各メーカーの分捕り合戦になるでしょう。ポイントは「ローン対策」ですけどね。

 他人の不幸は蜜の味。意外とトヨタやホンダ等の日本メーカーにとって「神風」となるかもしれません。いまは在庫が滞留して厳しいけど、来年の夏頃、「ホンダ、北米でフル操業・・・」というニュースが流れているんじゃないかな。