2009年06月08日「資本主義崩壊の首謀者たち」 広瀬隆著 集英社 756円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 広瀬さんといえば、やっぱ、「赤い盾(ロースシルト=ロスチャイルド)」ですかね。世界の政治経済のパワーゲームを「人脈」という切り口でアプローチして解明する、という画期的な著作を次々にものしてますな。

 で、今回の金融危機を引き起こした張本人はだれか? このテーマに絞って語ってます。
 で、だれなの? ユダヤ人。これが広瀬さんの結論。

 ユダヤ人・・・とひと言いってもねえ。世界人口1400万人。で、いろいろあるんです。
 昔、ユダヤ人にはヨーロッパに住んでるスファラディ・ユダヤと、中東に住んでるミズラヒム・ユダヤと2種類あると聞いたことがあんのね。
 前者は商売人、医師、会計士、音楽家、メディア等で活躍。ま、公務員や政治家、土地を所有する農民にはなれないからね。
 日本人のイメージとしては、ヒトラーに迫害された悲劇の民? 「アンネの日記」とか「ライフ・イズ・ビューティフル」なんて感動したもんなあ。「シンドラーのリスト」もね。ノーベル賞をたくさんもらってる民族。科学者はめちゃ多い。

 けど、ちょっと引いてみると、「ベニスの商人」の守銭奴シャイロック。あれもユダヤ人です。

 広瀬さんもいいとこ見てますよ。
 08年9月15日のリーマン・ショック直後、米国5大証券会社が消滅しました。

1ゴールドマン・サックス
 08年9月21日、銀行持ち株会社に移行。FRBの規制と保護を受ける銀行になる。
2モルガン・スタンレー
 08年9月21日、銀行持ち株会社に移行。FRBの規制と保護を受ける銀行になる。
3メリル・リンチ
 08年9月15日、バンク・オブ・アメリカに買収される。
4リーマン・ブラザーズ
 08年9月15日、破産申請。
5ベア・スターンズ
 08年3月16日、J・P・モルガン・チェースに買収される。

 CEOはみなユダヤ人。広瀬さん、鋭い。つうか、金融の世界はユダヤ人が牛耳ってることは世界の常識だもんね、当たり前といえば当たり前だわな。

 リーマン・ブラザーズなんて破綻の前年、「もっとも賞賛されるべき証券会社第1位」と「フォーチュン誌」で持ち上げられてたのよ。

 そういえば、AIGも「優良保険会社第1位」と高評価受けてたなあ。
 この会社、05年に5億ドルの粉飾決算してるわ、保険・証券法違反容疑でSECに摘発されるわ、とてもとても。税金投入による救済が発表された直後、重役たちが揃って温泉、ゴルフ、ハンティングなどの豪華旅行三昧に興じていたことはご存じの通り。総額15兆円以上もぶち込んでるんですからね。
 全米市民も怒るわなあ。

 シカゴ・カブズを所有するシカゴ・トリビューン社が破綻しましたけど、これ、不況で新聞広告が激減したからではありません。オーナーのサミュエル・ゼルは不動産王なのね。で、彼の事業拡大による借財膨張のために連鎖破綻したってわけ。彼もユダヤ人。

 ユダヤ人というより、「金融ユダヤ人」といったほうが正解かもしれませんな。300円高。