2009年07月01日「ピタゴラス流経営術」 加藤廣著 日本経済新聞出版社 892円
なんと今日から7月とは! あ〜あ、もう今年も半分過ぎてしまいましたよ。光陰矢のごとし。矢どころのスピードではありませんな。
さて、この8月からちょっと新しいサービスを考えています。
その名もズバリ、「聴いてから読むか、読んでから聴くか?−−中島孝志の 聴く!通勤快読」つうヤツ。
?MP3形式の音声ファイルで、毎朝(月〜金の平日)お届けします。
?アナウンサーではなく中島孝志の肉声です。
?1ランク上の仕事とより豊かな人生を創るため、中島孝志が「必読の書」を吟味します。経営や経済等のビジネス書だけでなく、小説(純文学、歴史、推理)やエッセーもカバーしますが、あくまでも「仕事に役立つ本」という切り口です。
?仕事のヒント、うんちくと教養、インテリジェンスだけでなく、なによりも「面白さ」と「感動」をお届けします。
?旬のベストセラー5割、ロングセラー3割、中島孝志イチオシのへんてこ本2割とお考えください。
?音声だけでなく、すべてテキストをつけます。
どうだろ? 聴きたい? 読みたい? 読みたくないと言ってもスタートしちゃうけどね。ケータイでも聴けるし、iPodでも聴けるよ。
さて、通勤快読です(「聴く!通勤快読」ではこういう原稿をそのまま読むんじゃなくて、本はあくまでもとっかかり。仕事のヒント、ここだけの話を、思うがまま、感じるまま、気づいたまま、あらゆる情報を出し切っちゃおうという企画です)。
著者は元々、金融機関に勤務していた人。で、50歳で退職後にコンサルタントをやり始めるわけ。そのかたわら、小説を書いたのね。それが『信長の棺』『秀吉の棺』『明智佐馬助の恋』。ベストセラーになりましたよね。
けど、本書は前職の分野についての考察です。
会社に入って簿記なるものをやらされたとき、なぜ、資産なのに借方にあるのか理解できなかったらしいですね。
で、先輩から呆れられてたらしいけど、その後、こういう素朴な疑問を徹底的に探求していくと、なんと、日本古来の「帳合いの法」では資産は貸方、負債や資本は借方と呼ばれていたことを発見。
つまり、戦後、大幅に変わったのよ。
いまはデフレではない!? 「CPI前年比1.2%下落。だからデフレ」・・・ではないのだ。
総務省がピックアップした商品のうち、物価が下落したのは3分の1。残りは現状維持か上昇している。ただ、この下落した3割の下落幅があまりにも大きすぎた。
では、この3割はどんな物価か?
1電話などの通信費(国際摩擦による下落)
2 電気製品(売れるから下がる。下がるから売れる)
3工場の海外移転による下落(日用雑貨・下着類)
4価格競争による下落。
どれ1つとっても「デフレ」にはあたらない。企業淘汰とともにCPI(消費者物価指数)が下がってしまった。これをデフレと勘違いしてはいけない。
そもそも日本は企業数が多すぎるのである。たとえば、99年時点での日米両国の建設業者数は、日本61万社、米国62万社である。国土は25倍、人口は2倍の差があるにもかかわらず、ほとんと同じとは(その後、日本の業者数は07年に51万社にまで減少しているが、それほどの差違はない)。
こうなった原因は2つ。
1つは、行政による異常なまでの過保護政策。もう1つは、大企業の末端価格介入政策にある。
パナソニックなど、小売価格統制をしていたことで有名だった。中小商店も大型スーパーもデパートも同じ値段だった。
ここに風穴をあけたのがダイエーである。以来、この2社の間では「仁義なき戦い」が繰り広げられたことは皆さん、ご存じの通り。
昭和末期になると形勢が変わります。
英国の鉄の女サッチャーが先頭になって、まずウィスキーの課税率を撤廃させた。あらゆる分野で役所と大手メーカーが結託して小売りの末端価格に介入していることに、国際的な批判が集中するわけですね。
ここでようやく公正取引委員会が動き出す。それまでは当然といえば当然なんだけど、税収を司る大蔵省が支配している役所だけに音無の構え。
さて、量販店は中小小売店と同じ価格で仕入れても、あとから高い利率のリベートで補填されます。つまり、仕入れ値のままでも多売できるというわけ。そうして零細商店の客層を奪う。
ただ、企業淘汰はあって当たり前。「あってはならない」と考えてはいけない。
けど、最近の大店舗でも言えることだけど、棚別の交差比率まで分析できるからナンバー1とナンバー2メーカーの商品しか棚には残らない。3位以下の商品ははじき飛ばされてしまうんです。
さて、昨今の米国のていたらくについてひと言。
元々、アメリカ人は「ガジェットマインデッド・アメリカン」と言われるほど物作りが好きな国民だった。精神的にもピューリタンであり勤勉だったと思う。それが戦後の豊かさの中でいつの間にか失われていった。
米国の双子の赤字が酷くなった80年代以降、日本をはじめ、西ドイツ(当時)など海外の対米輸出超過国は余剰資金をそのまま米国債に再投資して環流させてしまった。これが間違いの元。
そのため、双子の赤字が続いても米国のドルは収縮しないどころか、むしろ資金が潤沢になったために金利上昇にもつながらなかった。
それでいて、戦争で一時的にドル危機に陥ると、日本と西ドイツを脅かしたり、時には泣きを入れたりして資金援助を求める。なにかといえばこればかり。で、70年代末からインフレと失業率の上昇に悩んで減税と高金利政策をとるわけですが、結果、80年代になってドル高となるわ、貿易赤字が膨らむわで、結局、各国にドル安誘導を求めるわけ。竹下大蔵大臣がニューヨークに飛んだプラザ合意がこれですよ。
この演出とと主役を演じたのがレーガンでしたね。当時の日本の総理は「アメリカの最強の同盟国。日本は浮沈空母です」と大見得を切ったものでした。
双子の赤字にまったく反省と対策のない米国とのとつきあいについて、産油国が有り余る石油代金を米国で運用しはじめたこの頃、一線を画すべきチャンスだったかもしれません。
このとき、米国は国際競争力を回復するために資金を産業金融に投入するとか、国内製造業の復活と強化に心がけるとかすべだったにもかかわらず、余裕資金を個人ローンや住宅ローン、低所得者向けのサブプライムローンなどに振り向け、皆さんご存じの通り、いまのていたらくがあるわけです。300円高。
さて、この8月からちょっと新しいサービスを考えています。
その名もズバリ、「聴いてから読むか、読んでから聴くか?−−中島孝志の 聴く!通勤快読」つうヤツ。
?MP3形式の音声ファイルで、毎朝(月〜金の平日)お届けします。
?アナウンサーではなく中島孝志の肉声です。
?1ランク上の仕事とより豊かな人生を創るため、中島孝志が「必読の書」を吟味します。経営や経済等のビジネス書だけでなく、小説(純文学、歴史、推理)やエッセーもカバーしますが、あくまでも「仕事に役立つ本」という切り口です。
?仕事のヒント、うんちくと教養、インテリジェンスだけでなく、なによりも「面白さ」と「感動」をお届けします。
?旬のベストセラー5割、ロングセラー3割、中島孝志イチオシのへんてこ本2割とお考えください。
?音声だけでなく、すべてテキストをつけます。
どうだろ? 聴きたい? 読みたい? 読みたくないと言ってもスタートしちゃうけどね。ケータイでも聴けるし、iPodでも聴けるよ。
さて、通勤快読です(「聴く!通勤快読」ではこういう原稿をそのまま読むんじゃなくて、本はあくまでもとっかかり。仕事のヒント、ここだけの話を、思うがまま、感じるまま、気づいたまま、あらゆる情報を出し切っちゃおうという企画です)。
著者は元々、金融機関に勤務していた人。で、50歳で退職後にコンサルタントをやり始めるわけ。そのかたわら、小説を書いたのね。それが『信長の棺』『秀吉の棺』『明智佐馬助の恋』。ベストセラーになりましたよね。
けど、本書は前職の分野についての考察です。
会社に入って簿記なるものをやらされたとき、なぜ、資産なのに借方にあるのか理解できなかったらしいですね。
で、先輩から呆れられてたらしいけど、その後、こういう素朴な疑問を徹底的に探求していくと、なんと、日本古来の「帳合いの法」では資産は貸方、負債や資本は借方と呼ばれていたことを発見。
つまり、戦後、大幅に変わったのよ。
いまはデフレではない!? 「CPI前年比1.2%下落。だからデフレ」・・・ではないのだ。
総務省がピックアップした商品のうち、物価が下落したのは3分の1。残りは現状維持か上昇している。ただ、この下落した3割の下落幅があまりにも大きすぎた。
では、この3割はどんな物価か?
1電話などの通信費(国際摩擦による下落)
2 電気製品(売れるから下がる。下がるから売れる)
3工場の海外移転による下落(日用雑貨・下着類)
4価格競争による下落。
どれ1つとっても「デフレ」にはあたらない。企業淘汰とともにCPI(消費者物価指数)が下がってしまった。これをデフレと勘違いしてはいけない。
そもそも日本は企業数が多すぎるのである。たとえば、99年時点での日米両国の建設業者数は、日本61万社、米国62万社である。国土は25倍、人口は2倍の差があるにもかかわらず、ほとんと同じとは(その後、日本の業者数は07年に51万社にまで減少しているが、それほどの差違はない)。
こうなった原因は2つ。
1つは、行政による異常なまでの過保護政策。もう1つは、大企業の末端価格介入政策にある。
パナソニックなど、小売価格統制をしていたことで有名だった。中小商店も大型スーパーもデパートも同じ値段だった。
ここに風穴をあけたのがダイエーである。以来、この2社の間では「仁義なき戦い」が繰り広げられたことは皆さん、ご存じの通り。
昭和末期になると形勢が変わります。
英国の鉄の女サッチャーが先頭になって、まずウィスキーの課税率を撤廃させた。あらゆる分野で役所と大手メーカーが結託して小売りの末端価格に介入していることに、国際的な批判が集中するわけですね。
ここでようやく公正取引委員会が動き出す。それまでは当然といえば当然なんだけど、税収を司る大蔵省が支配している役所だけに音無の構え。
さて、量販店は中小小売店と同じ価格で仕入れても、あとから高い利率のリベートで補填されます。つまり、仕入れ値のままでも多売できるというわけ。そうして零細商店の客層を奪う。
ただ、企業淘汰はあって当たり前。「あってはならない」と考えてはいけない。
けど、最近の大店舗でも言えることだけど、棚別の交差比率まで分析できるからナンバー1とナンバー2メーカーの商品しか棚には残らない。3位以下の商品ははじき飛ばされてしまうんです。
さて、昨今の米国のていたらくについてひと言。
元々、アメリカ人は「ガジェットマインデッド・アメリカン」と言われるほど物作りが好きな国民だった。精神的にもピューリタンであり勤勉だったと思う。それが戦後の豊かさの中でいつの間にか失われていった。
米国の双子の赤字が酷くなった80年代以降、日本をはじめ、西ドイツ(当時)など海外の対米輸出超過国は余剰資金をそのまま米国債に再投資して環流させてしまった。これが間違いの元。
そのため、双子の赤字が続いても米国のドルは収縮しないどころか、むしろ資金が潤沢になったために金利上昇にもつながらなかった。
それでいて、戦争で一時的にドル危機に陥ると、日本と西ドイツを脅かしたり、時には泣きを入れたりして資金援助を求める。なにかといえばこればかり。で、70年代末からインフレと失業率の上昇に悩んで減税と高金利政策をとるわけですが、結果、80年代になってドル高となるわ、貿易赤字が膨らむわで、結局、各国にドル安誘導を求めるわけ。竹下大蔵大臣がニューヨークに飛んだプラザ合意がこれですよ。
この演出とと主役を演じたのがレーガンでしたね。当時の日本の総理は「アメリカの最強の同盟国。日本は浮沈空母です」と大見得を切ったものでした。
双子の赤字にまったく反省と対策のない米国とのとつきあいについて、産油国が有り余る石油代金を米国で運用しはじめたこの頃、一線を画すべきチャンスだったかもしれません。
このとき、米国は国際競争力を回復するために資金を産業金融に投入するとか、国内製造業の復活と強化に心がけるとかすべだったにもかかわらず、余裕資金を個人ローンや住宅ローン、低所得者向けのサブプライムローンなどに振り向け、皆さんご存じの通り、いまのていたらくがあるわけです。300円高。