2009年08月05日「すごい読書!」

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

「きみ、本読みになったらあかんで」
 松下幸之助さん(パナソニック創業者)がよく言っていた言葉です。
本読みという意味は、本の虫。物知り博士。博学。歩く辞書。動く百科事典。とにかく本をたくさん読んでてなんでも知ってる人のことです。
 なんでも知ってる人はえらいです。すごいです。もちろん、そんな人になったらいけないというわけではなく、「それ止まりではあかんで」という意味だと思うんですね。
 あなたの周囲を見渡しても、「これどういう意味?」と聞けばすぐに教えてくれる。まさに「歩くウィキペディア」という人がいるでしょう。にもかかわらず、これが仕事となるとからっきしダメ。
 「そんな使えん物知り博士になったらあかんで」「大切なのは実学やで」と、小学校4年で中退した経営の神様は言いたかったのです。

 詳細は本文に譲るとして、本書のいちばんの特長を先に述べておきたいと思います。 それは・・・

?仕事に使える読書
?お金が儲かる読書
?ひとまわり人間が大きくなる読書
 であることです。

 なぜわざわざこんなことを述べるかというと、書店に並んでいる「読書本」の多くも、「結果が大事」「アウトプットがいちばん重要」と述べながらも、読書を通じてどのように具体的な結果や成果、アウトプットを導き出すのか、という方法論がなにも提案されておらず、せいぜい速読法や整理法、検索法(PCを活用した利用法)の紹介でお茶を濁しているからです。
 本書は、この3点にできるだけ留意しながらまとめました。
 
 さて、いま、書店にはたくさんの読書論、読書術、読書法の本がところ狭しと並んでいます。下手をすると、小説よりも読書論のほうが多いのではないかと錯覚するほどです(もちろん、そんなことはありませんけど)。読書ブームというよりも読書論ブームのようです。
 それだけ読み方を極めたいというニーズが多いのでしょう。言い換えれば、効率的に読書をしたい。仕事にも人生にもムダなく応用したいということだと思います。
 わたし自身、『キラー・リーディング』(実業之日本社)、『インテリジェンス読書術』(講談社)を出版しました。おかげさまで、書店に並ぶ前に増刷が次々と決まるなど、ブームの恩恵を受けました。また、「中島孝志の毒書人倶楽部」を主宰して、わたしなど問題にならないほど、より多く、より深く、より愉しく、読書をしている仲間を発見し、新鮮な刺激と感動を受けました。これも読書のおかげです。
 ですから、本書では既刊の2冊には書かなかったこと、書けなかったことを中心に、わかりやすく、おもしろく、そして、できれば、「人間的にひと皮剥けたな」と感じられるような仕掛けをあちこちに施してあります。
 ぜひ、この「罠」を満喫しながら読み進めていただければありがたいと思います。500円高。