2003年12月22日「わが人生に刻む30の言葉」「最初の一言をどうかけるか?」「最後のY談」

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」


1 「わが人生に刻む30の言葉」
 牛尾治朗著 致知出版社 1200円

 著者はハロゲンランプなど、特殊照明機器の有力メーカーとして知られるウシオ電機の創業者。
 山あり、谷ありの七十年の人生。
 その中で心に刻んだキーワード、キーフレーズ。いわば、座右の銘といったものをまとめたのがこれ。月刊「到知」の巻頭言として連載されたものが一冊になりました。

 その多くは安岡正篤さんの言葉ですな。

 けど、著者は最初、安岡さんを毛嫌いしていたそうです。
 理由は、「古色蒼然」の一言。たしかにそうかもしれません。東洋哲学なんて、古色蒼然ですものね。
 牛尾さんは戦中、軍事教練の軍人が嫌で嫌でしょうがなかった。むやみやたらと威張って暴力をふるっていた。
 それが戦後、自宅が進駐軍に接収される際、米軍の下士官が来た時の明るさと礼儀正しさ、そしてユーモア精神。なんといっても、その豊かさに感動するんですね。
 いわば、安岡さんに抱くイメージとは対極にあったわけです。

 安岡さんがどうして牛尾さんと縁があったかというと、牛尾さんの祖父と親交があったのです。
 「若いのにすごい人間がいる!」と、自宅に招いていたりしたのです。祖父はその後死ぬと、この人脈は父親に引き継がれます。
 そして、父親は牛尾さん人間の薫陶を受けさせたいと考えますが、逃げ回ってしまうわけ。

 ある時、父親は自宅に泊まった安岡さんが本を読みたい、と言う。そこで、本を安岡さんのところに持って行かせた。
 「これらの本を選んだ理由は?」
 「適当に選びました」
 「・・・」
 親の心子知らず。
 
 そんな牛尾さんでも、就職するという緊張感の中、父親から安岡さんに会ってこいと言われて素直に従います。

 「to do good.を考える前に、to be good.を目指しなさい」

 この一言で目から鱗が落ちます。
 なぜか。牛尾さんはいつも「to do good.」を考えていたからです。
 「あれをしたい、これをしたい。ああなりたい、こうなりたい」と考えてばかりいた。
 しかし、自分を修めることがどれほど大切か。
 何をやるにしても、その基盤となるのは「人間」です。人物ができていなければ、なんにもならないのです。
 毛嫌い、食わず嫌い。それが目から鱗が落ちた瞬間、夢中になります。

 人との縁というのはそんなものかもしれません。
 出逢った瞬間に仲良くなれる人もいますけど、こんなこともあるのです。
 もし、牛尾さんが最初の頃に「to be good.を目指しなさい」なんて言われても、ピンと来なかったでしょう。やはり、コップの中の水をからにしたからこそ、すんなり安岡さんの言葉をたっぷりと受け容れることができた。そう考えるべきでしょう。

 ということは、この出会いもまた、偶然ではなく必然でしょうな。

 安岡さんは陽明学者とも言われました。
 同じ陽明学者に昔、張詠という人がいました。
 「ことに臨むに三つの難あり。能く見る、一なり。見て能く行う、二なり。まさに行うべくんば必ず果決す、三なり」

 訳せば、こんなことになりましょうか。
 「どんなことでも成功させようと思えば、三つのハードルを越えなければならない。一つは対象をよく見ることにある。情報力、観察力を駆使してじっと見る。次に、それらを総動員して行動する。実践しなければ、何も生まれないではないですか。
 そして、さらに重要なことは果決だ」というのです。

 果決とは何か?
 
 安岡流に解釈すれば、こうなります。
 果実の木に花が十輪、開いたとしましょう。これらのすべてが受粉すれば、数は多く取れます。しかし、どれも小さな果実ばかりとなってしまうでしょう。
 では、どうするか。一つだけを残して、あとは間引いてしまうのです。
 すると、一つだけは栄養分を独占できますから立派な果実として成長します。いったいどれを選択するか。これが果決だというわけです。

 目利きでなければ選べず、また勇気がなければ実行できない。
 決断と実行・・・かつての田中角栄さんの政治スローガンみたいですが、リーダーにとってもっとも重要なポイントですよね。
 150円高。購入はこちら


2 「最初の一言をどうかけるか?」
 草加大介著 幻冬舎 1200円

 著者はナンパ塾塾長。「彼女いない歴ン十年」という塾生相手に講義と実践を指南して、成功率七割を超えるというナンパの極意を伝授しているらしい。
 いいねぇ・・・こういう人。憧れるなぁ。

 というのも、いつか本にも書いたと思うけど、わたしって元々、人付き合いがそんなにうまいほうじゃないでしょ。というより、下手。口下手で引っ込み思案・・・。
 そんなわたしが何とか人前で話ができるようになったのは、ひとえに青木匡光さんのおかげで。で、一念発起してキーマンネットワークという勉強会を開催するようになったわけですよ。
 それがたしか、25〜6歳の時。
 それまでは相手から話されない限り、自分からはけっして話しかけられなかったものね。
 まして、それが女性となると、まるっきりダメ。まして、相手がいい女だとしたら、まるっきりそう。借りてきたネコみたいになっちゃうもの。

 だから、ホストとかナンバの得意な人っていいなぁ、と憧れちゃうわけ。

 ところで、どうしてこの本を手に取ったか。実はいま、「モテる男 モテない男」をテーマにした本をプロデュースしてるんですよ。わたしの著書ではないんですよね。人の本なんですが、一応、質問項目を探すという意味で、この手の企画を三十冊ほどチェックしたわけです。
 参考までに、「モテる話術」「モテる技術」という本は呆れるほど詳しかったな。ホントに呆れちゃったもの。
 で、わたし自身の結論は、「モテる男は一緒にいて時間を忘れてしまう人」「もっと一緒にいたい人」ってなところかなぁ・・・。これが亭主だと一緒にいてもワクワクしないだろうし、「恋」というのはちと感覚が違うな。

 そういえば、三十代の主婦に「いま、いちばんやってみたいことは?」というアンケートをとると、ダントツで多い回答が「恋」なのよね。これ、わかるね、この気持ち。みんな、ときめきたいんだよね。

 もう一つ、結論がありました! それはたくさんの普通の女にモテる必要などまったくない、ということ。焦ることもない。だって、もっと重要なことは「とびっきりのいい女」にモテることでしょ? あちらの女、こちらの女にモテる必要なんてないのよ。「このいい女1人」でいいわけです。
 いってみれば、「マス」を相手にモテることなどナンセンスなわけ。「オンリーワン」でいいんです。

 そういう意味では、モテない男(わたしも仲間ですけど)は「美女と野獣」という組合わせを信じることです。
 はっきり言って、「とびっきりのいい女」ほど、男の好みが変ってますからね。自分が美女、超カワイイと言われ続けているから、「イケメン」にはほとんど関心がありません。芸能人でも好きなタイプを聞くと、柄本明とか、せいぜい役所広司。外面よりも内面、才能とか能力とかをじっと見てるのよね。
 会社にもいるでしょ。わが社のマドンナを射止めた男はとても女にモテるタイプじゃないけど、仕事がバリバリできるヤツ。で、結局、こういう男が実は「いい女」にはモテてたりするわけ。
 だから、外面的なことで不特定多数の「どうでもいい女」にモテたってしょうがないじゃん。それより、「とびっきりのいい女」を狙おうよ、ご同輩。

 著者にしても、元々、ナンパがうまかったわけではありません。数々のバイト経験の中、エステのキャッチセールスをしたことから、ナンパの極意を修得したみたいです。
 よく考えれば、「すみません、ちょっと」といいながら街中で話しかけてる人いるよね。あれ、ナンパなんだ。だって、キャッチするわけだからね。

 ナンパってのは、度胸がいりますよね。
 自信家なら別だけど、ここの塾生は「彼女いない歴ン十年」という人たちが多いから、女性に対して自信がない。
 というよりも、自分に対しても自信がないのかもしれません。
 「どうせ、声かけたって断られるもの」
 「そんな惨めな目に遭うくらいなら、最初からしないほうがいい」
 てなわけで、彼女いない歴がどんどん更新されていくわけですよ。当たって砕けろということがなかなかできません。だれだってプライドというものがあるものね。

 しかし、著者はナンパは慣れと訓練と喝破。平均十五回も繰り返せば、「心のブレーキ」は外れます、だと。
 飛び込みセールスみたい。
 「金やルックスに頼らない」というのも、著者のスタンスです。

 そうそう、そういえば、男にしても女にしても、顔って変りますね。とくに男はそう。勢いがある男って、顔が良くなるんだよ。
 「あいつ、最近、いい顔してるな」
 そう感じる人間は、必ず仕事とか私生活で張りがあるんだよ。気が漲っています。オーラが漂ってますよ。
 逆に、くすぶってるヤツはダメ。
 「あいつ、貧相な顔してるなぁ。どうしたの?」みたいなね。

 「相手の心理を読み、できれば深層心理まで把握しろ」
 「その上で、相手の意思を尊重して、相手の要求を叶えてやれ」
 これはいずれも、ナンパに対して心理学者サイドからのアドバイスですけど、こんなことできるわけありません。
 心理を読んでいるうちに、逃げちゃうものね。深層心理なんて、よっぽど話してないとわかりませんよ。いや、わかんないな。わからないから、離婚が多いんでしょ。
 相手の意思を尊重? 要求を叶える?
 そうかなぁ。

 一般に声をかけられて、待ってたほい、とついていくような女性はいません。
 理由は、「安っぽく思われたくない」というプライドもあるし、「こいつ、大丈夫?」という保身本能がありますもの。
 ナンパは強引さが必要なんですね。相手の心など考えない。こちらの心理をあくまでも最優先するわけです。
 相手に合わせていれば失敗するんです。よく思われようとする男の心理、これがくせ者なんです。

 著者は「ホテルに誘う」「新幹線」「テニスクラブ」「クラブ」といったようにシチュエーションに分けて対策を解説しています。
 「ホテル、行こうよ」という直接的な表現もあるでしょうね。でも、あまり多くはないと思います。
 「ホテル、いい?」というような許可制の表現も少ないかもしれません。こんな質問して、「待ってた、ほい」と答える女性も少ないと思います。やっぱり恥じらいとかを見せなくちゃ、という心理が働きますもの。
 この段階になったら、それこそ深層心理を読まないといけないわけ。
 どんな仕草をすれば、OKなのか。そこを探らなければいけません。これは雰囲気でわかるわけですが、そこまで辿り着くには場数がポイント。
 「えーーーっ!」といいながらもOKなのか、ホントに殴られるほどダメなのか。そこら辺はなかなかわからないと思います。

 わたしなんて、朴念仁ですからさっぱりわかりません。
 ここで世の中の女性陣にお願いがあります。もし、わたしとそんなシチュエーションに遭遇した場合、ぜひとも明確に、それこそデジタル表現でお願いします。できれば、メモに書いて渡して頂けると幸いです。
 そこんとこ、宜しく! ホント、オ・ネ・ガ・イ。
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3 「最後のY談」
 岩井志麻子・森奈津子・中村うさぎ著 二見書房 1500円

 いきなりだけど、こんな本、出していいのかなぁ。この人たち、もう○○○○言葉のオンパレードで、ホント、マニアにはたまりませんなぁ。

 登場するは、ホスト狂い、ブランド狂いのうさぎセンセ、官能小説の森センセ、そして最近はテレビ出まくり(さんまの番組によく出てる。しかし、わたしもよく見てるねぇ)の岩井センセ。
 岩井センセって、ベトナムとかタイとかフィリピンに、ボーイズを囲ってるらしいね。凄いなぁと思ってたら、最近、OLでもたくさんいるんだってね。

 けど、いくらエッチなこと言っても、あまりにもあっけらかんとしてるから、まったく卑猥感がありません。そういう意味で、セクシー度〇の人たちです。
 女性のセクシー度というのは、羞恥心と比例するってことが再確認できましたよ。

 うさぎさん、いま、整形にはまってるんでしょ。鼻変えて、胸にシリコン入れて、薬飲んで、アンドロイドみたいになっちゃってるものね。これでホストクラブに言ってもててるわけ。
 「こんな嘘、いつまで続くのか」だって。根が正直だから罪の意識に苛まれてるわけ。で、胸が萎んでからまた出かけてカミングアウトしたりしてる。
 ホストも目が点になるよね、そりゃ。
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