2009年09月06日「ぼくの大切な友だち」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 人生でいちばん大切なものは?
 ダントツで家族でしょうね。愛する子供、奥様、旦那様、父親、母親、兄弟姉妹・・・もちろん、血がつながっているかどうかは関係ありません。「家族なるもの」ですよね。

 その次は仕事と言う人もいるでしょうし、お金という人もいるでしょう。そうそう、ペットも大切な家族です。

 友だちだ、という人もいると思います。


ルコントの作品、わたし大好きですね。

 さてこの映画。いきなり葬儀シーンから始まります。かといって『おくりびと』ではありません。

 『仕立て屋の恋』『髪結いの亭主』で知られるパトリス・ルコントの作品。わたしの大好きなフランス映画です。

 美術商としてバリバリ働くフランソワ。商売敵の葬儀に参列するとそこにはほとんど参列者がいません。「あれだけの仕事をしてたのに」という意外な思いを自分の誕生パーティでつい話したことから「事件」が起こります。

「おまえの葬式には1人も来ないよ」
「バカいうな。そんなことはないよ。今日だってともだちだから来てるんだろう?」
「オレはともだちじゃないからね」
「私も」

 ショックを受けたフランソワは、悔しさのあまり、共同経営者のカトリーヌと賭けをしてしまいます。

 10日以内に親友を連れてくること。負けたら? この前、落札したばかりの20万ユーロの壺を差し出すこと。
「よし、受けた」と自信満々のフランソワ。勇躍、リストアップした友人を訪ね歩くのですが・・・これが空振りの連続! だれ1人として彼を友人と認めてくれません。古いアルバムを眺めて訪ねた幼馴染みからは、「おまえがいちばん嫌いだった」と捨て台詞まで投げられる始末。

 金に物を言わせて遊ぶ女ともだちはいても、お金を介在しない人間関係の形があることを知らないフランソワ。

 友人探しに疲労困憊すると今度は、友人作りの参考書と首っ引き。マニュアル書をいくら読んでもピンと来ません。
 そこで、喫茶店で歓談する2人連れをつかまえては友人になったきっかけをしつこく聞き出したり・・・このけなげな姿。いつの間にか必死になってるんです。

 そんな時、フランソワはタクシー運転手ブリュノと知り合います。如才ない彼はだれとでも親しくなれる才能の持ち主。
「よし、彼を友人作りの家庭教師にしよう」と、彼の指南の元、いろんなことにトライします。でも、なかなかうまくいきません。

 ところで、一見、明るくてフレンドリーなブリュノですが、実は心の中は孤独感に苛まれていたんです。
 子供の頃から大のクイズ好き。「クイズ命!」でこれまで生きてきました。だから、彼も親友など1人もいなかったんです。クイズの正解をすべて知ってるくらい博識だけど、極度の上がり症で予選すら突破できません。

 いよいよ友人との賭勝負が決まる日、フランソワは一計を案じてブリュノを罠にかけます。
 これが大誤算。深くブリュノを傷つけるばかりか、「こんなボクじゃともだちなんてできなくて当たり前だ」と、フランソワはすっかり自己嫌悪に陥ってしまいます。

 せめてもの罪滅ぼしにと、フランソワは壺の元々の持ち主だったテレビプロデューサーに交換条件を持ち出します。それは「クイズ$ミリオネア」に出演させること。あれれ、『スラムドッグ$ミリオネア』ですかあ?

 最後の最後、ブリュノにもわからない問題が・・・「友人に電話できる」というライフラインを使うしかありません。けど、いったいだれに聞けば?(まぁわかると思いますが) そして、この2人はどうなるの?

 人間、なんのために仕事をしているのでしょうか? 食べるため? 成功するため? リッチになるため?
 さぁて、あなたはどう考えますか? あなたにとっていちばんの幸福とはなんですか?