2009年10月14日「探偵稼業」 福田政史著 幻冬舎ルネサンス 1260円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 探偵というと、明智小五郎とか小林少年、金田一耕助、シャーロック・ホームズ、あるいは名探偵コナンくらいしか思い浮かびません。
 つまり、漫画とか小説のなかに出てくる人物で、てんで具体的な人間を知らないということです。
 いま、テレビドラマでも、探偵というより刑事でしょ? 拳銃持てないし逮捕できないしね。松田優作さんとか浜マイクは別でしょうけど。

 でも、探偵を知らないってことは、たぶん幸福なんでしょうね。

 やっぱり、調べたり調べられたりというのは、あまり気分がいいもんじゃありませんもの。そりゃ「家政婦は見た」の主人公のように、人の噂を好奇心満々で探るのが大好きな人もいるかもしれませんけど。

 本書の帯コピーにこんな文章があります。
「探偵とは、人の不幸に立ち会う職業である。」と。やっぱり・・・。どうも気が進まないわけですよ。

 ところが、この本、なんともいえない味と深みがあります。ペーソスっていうんですか。「なるほどなあ」とつい感心したり、「う〜ん」とホロリときたり、なんともせわしいんですよ。
 ま、それだけ人間ドラマがつまった佳品ということでしょう。・・・この続きはこちらからどうぞ。