2009年11月25日「田村はまだか」 朝倉かすみ著 光文社 1575円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 田村はまだか? 「ホームレス中学生」の田村のこと? 漫才師の麒麟のあの田村?
 ぜんぜん違いました。先日、「聴く!通勤快読」でご紹介した『ともしびマーケット』のあの著者の出世作なんですね。

 田村? だれ、そいつ?

 構成自体は、ある意味、サミュエル・ベケットの戯曲『ゴドーを待ちながら』風だし、ある意味、『20世紀少年』風でもあるし。
 ま、どちらでもないんだけど。

 同窓会。いいですねえ。焼け棒杭に火がついて・・・という下心も少しあったりして。えへん。そうではなくて、いまの地位も年齢も背景も、金持ちか貧乏人か、やくざか詐欺師かなんてことも関係なく、「あの頃」に一気に帰れる。
 現住所がどこにあろうと、「本籍地」はここだ。心のふるさとはここにある・・・みたいなものが「同級生」なんでしょうね。

 とくにそれが小学校の同窓会ともなると感慨もひとしおでしょうな。

 で、今宵、日付がかわりそうな深窓になろうというのに、ここ、札幌はすすき野の小さなスナックに、同窓会で28年ぶりに合ったという5人の男女がふらりと訪れたわけであります。ま、そこには当然のように、訳ありのマスターなんかもいたりしましてね。

 で、彼らが時々、思い出したように口にする台詞が・・・

 「田村はまだか」

 いったい、田村ってだれよ? 小学生にして「孤高の男」として記憶に残っている田村・・・田村の思い出話・うわさ話をしながら、それぞれ事情を抱えた5人が語り始めます。
 
 どうでもいいけど、いったいぜんたい、田村は来るのかいな?・・・続きはこちらでお楽しみください。