2010年06月05日「RAILWAYS」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 いつからかなあ、富士山見なくなったのは。富士山見ないんだから、浜名湖なんてさらさら見ないんでね。

 いえね、新幹線ですよ。新幹線。

 人間の生活スピードというのは、もしかすると鉄道とか車に影響されるんじゃないでしょうかね。
 たとえば、田舎道。空いてるけど、軽自動車でトコトコトコトコ。亀。駅伝の練習してる高校生に負けちゃうほど。

 昔、四国の山ん中から上京してきた人がいましてね。山手線乗り遅れちゃった。あ〜あ1時間待ちかいな・・・と思ってたら、即、次の電車が来た。
「東京はすごいところなんだなあ!」
 嘘のようなホントの話。田舎のせっかち人間と都会のそれとを比較したらダンチだと思いますな。


この映画、ゆっくり、ゆったり、時が流れていきます。
 
 新幹線の中でもPCとにらめっこのエリートビジネスマン。富士山なんて見るヒマなし、
「うまい店予約しといたから今夜は一杯やろうや」
「悪いな、これから本社で会議なんだ」
 残念だけど、このやりとりが最後の会話になっちゃった。

 折から米国不況で工場閉鎖を余儀なくされてる大手家電メーカー。
 かたや取締役を目前にした経営企画室長。そのミッションは「リストラ」。かたや、いいものをコツコツ作ることが好き。骨の髄まで物作り命の工場長。2人は若い頃から夢を語り合う親友。だから、この工場の閉鎖だけは直接伝えたくてやってきたってわけ。

 わずか1週間で閉鎖のめどをつけてくれた。その工場長が交通事故に遭遇。遺されたのは、余命幾ばくもない1人息子と奥さん。そういえば、別れ際に、これ、あいつがベッドで彫ったんだ、とお守りをくれたっけ。
 しかも出雲に暮らす実母が心筋梗塞で倒れた。精密検査をすると胃ガンが見つかった。しかも悪性で3カ月の命だ、と。

「仕事人間」もここで考えた。

 俺の人生、俺の時間、俺の生き甲斐、俺の夢っていったいなんなんだ?

 夢=子どもの頃からやりたかったこと。なりたかったもの。男にとって、それは故郷を走る「ばたでん(一畑電鉄)の運転士」。

 大企業の役員が約束されてるのに運転士? なんの迷いもなく就職した会社。惰性でところてんの如く会社を選んだ。そこに「夢」はなかった。喜びはあるけど「夢」じゃないんだなあ。

「大企業の社長になる!」というのも立派な「夢」だと思うけど、こればかりは本人が決めることでねえ。
 御年49歳。最初にして最後の挑戦? そう、夢にトライするラストチャンス。叶わなくたってええんや。挑戦することに意義があるんや。

「大人が夢見てもいいんですね。」だって? 夢見てる間は「少年」だよ。けど、それでいいんじゃない? 余計な計算しないから。人生、計算通りにはいかないし、意外と計算のないところから実現したりすんだよね。「夢」ってさ。運の女神はロジカル・シンキングが苦手なんだよ、きっと。