2010年06月18日「しあわせのねだん」 角田光代著 晶文社 1470円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

『八日目の蝉』の角田さんですね。へえ、この人、家計簿つけてるんだ。ま、不思議じゃないか。つうか、家計簿つけてないほうが少数派なわけ? ♪どんぶりころころ、どんぶりこ♪ どんぶり勘定の私とは心がけが違いますな。

 で、本書は彼女の家計簿に記された、たとえば、「ひるめし977円」「電子辞書24000円」「ねぎそば390円」・・・といったデータを元に書かれたエッセーなのね。
 
 けどさ、基本的な疑問なんだけど、しあわせにねだんなんてある? ブライスレスちゃうの? カード会社の回し者じゃないけど、そう思う。
 そんなこたあ、角田さんもガッテンしてるわけでね。お金でいろいろしあわせになれる道具・手段を手に入れることはできる、けど、しあわせそのものはなかなか手に入らん。ま、そういうわけですな。

 「ひるめし977円」

「私はごはんを食べるのが好きである。グルメというのではなくて、ただ口がいやしいのである。
 最近気づいたのだが、私はほぼ1日じゅう、次の食事のことを考えてすごしている。」
 
 たとえば、8時に仕事をはじめる。すでにランチのことを考えている。小説を書きながら頭の隅で、今日の気分と、近隣の飲食店で供される食事のすりあわせを、懸命にしているのである・・・とのこと。

 わかりますなあ、この気持ち。私もまったく同じだもん。で、この人、めちゃくちゃ辛口だと。それも同じ。嬉しいなあ。同類項ですよ。

 けど、たぶん、違うのは、私の場合、「プチ・マイブーム」ちゅうのがしょっちゅうありまして、早い話が、どこかで食べた冷やし中華が美味かったとしましょう。すると、今日のランチに冷やし中華、夜に冷やし中華。で、翌日のランチも冷やし中華・・・続きはこちらからどうぞ。