2010年06月22日どういうセンスしてるんだろう?

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 財務省の役人に騙されたのか、それともバカ正直なのか、あるいはよっぽど自信があるのか・・・。

 いえね、消費税増税発言ですよ。

 菅さん、支持率V字回復はオレが総理になったからだ、と自信があるんだなあ。でないと、選挙直前にこんな発言しませんて。「ギリシャ問題は対岸の火事じゃありません。強い日本を作るためにも財政のチャージが必要です」なんて吹き込まれたんでしょうな。で、財界にも理解してもらいたいと行脚。
 
 う〜ん。アンビリーバブル。

 日本の景気、ホントに持ち直したの? たしかに成長率は上方修正したし、百貨店の売上も7月はプラスに転じそうだし、高級品が売れてきたし、日本の隠れ借金を解決するにはいまこのタイミングしかない、と考えたのかもしれません。

 で、「強い日本!」というスローガン。参院選でもスローガンにすると思うけど、これ、ケネディのキャンペーンのばくりじゃん。「強いアメリカ」ね。

 言うべきことを言い、やるべきことをやる。1億総協力態勢で乗り切るしかないんだ、ということですか?

 法人税は下げる。その分、消費税を上げる・・・だけでは済みませんね、きっと。なにしろ、消費税上げについては衆院解散、参院選のダブル選挙で民意を問うわけでしょう。
 それまで3年間あります。3回予算を組まなきゃならない。どこに原資があんの? 法人税収が増える? 法人税下げるんでしょ? 景気回復? いつ?
 
「消費税、消費税」とアドバルーンを上げてますけど、菅さんの頭の中にあるのは消費税だけではありません。法人税以外のすべての税という税を上げること。所得税、相続税、贈与税、固定資産税・・・すべてね。
 既定路線、時間の問題の消費税よりも、ホントはこちらのほうを上げたいから「消費税、消費税」とぶちあげて目を眩ましてるのかもしれませんな。

 財務省としては、お調子者の菅さんを持ち上げて、国民とメディアがどんな反応を示すか姿も音も消して見守っているはずですよ。

 いま、日本の所得税は超累進課税でダントツの世界一。これ以上上げても税収に効果があるとは思えません。
 あのね かつて、レーガン大統領は70%もの所得累進課税の最高税率をガクンガクンと引き下げました。
 ところが1993年、クリントン大統領は高額所得者の税率を28%から35%(超高額所得者は38%)へと引き上げたんです。しかも企業は重役報酬の100万ドル超部分を必要経費として控除できたんですけど、これができなくなりました。

 結果、企業は「ストックオプション」なるものを発明し、これで税金の抜け穴を作ったんですね(このストックオプション、ヘッジファンドやらなんやらで有名になりましたし、バブル時、日本でも有名になりましたよね)。
「上に政策あれば下に対策あり」はなにも中国の専売特許ではありません。アメリカだって、たぶん日本だって、「対策」を考えると思いますよ。

 それより前にすること山ほどあるでしょうが。事業仕分けの猿芝居。観客が素人ならやんやの喝采でしょうけどね。もう飽きました。レンホーさんの賞味期限も年末までもつかどうか。

 苛斂誅求に対する本能的な嫌悪感は、直感の鋭い女性を中心に菅さんのバブル人気もじりじりと、あるいはドカンドカンと下げることにつながるでしょうね。

 財務省にしてみれば、白い猫だろうと黒い猫だろうと増税を叶えてくれる猫はいい猫なんです。
 菅さん、モルモットにされましたな?

 さて今回、「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は、『カワサキ・キッド』(東山紀之著・朝日新聞出版)です。詳細はこちらからどうぞ。