2010年10月17日「十三人の刺客」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 必見です。文句なく愉しめます。見どころは殺陣ですよ。史実に沿ったストーリーは注目できるけど、やっぱ、見どころはね。50分間もあったとは思えないほど、変化に富んだ殺陣がいい。
 わくわくどきどき。いまじゃ考えられないけど、男の子はみなチャンバラで遊んでたものでして、自分なりに見得切ったりするわけよ。
 面白いですなぁ時代劇は。外人が夢中になるのもわかりますな。

 この映画。もちろん、リメイクです。47年前に片岡知恵蔵主演で大ヒットしたんですね。しかも53人を斬って斬って斬りまくるという、映画の殺陣史上の記録が残ってるくらい。今回は13人VS200人超ですからね。記録更新というわけですな。

 でも、そんなことより殺陣を愉しむ。これが映画の醍醐味ですよ。

 それにしても、松方弘樹さん、さすがに年季が入ってますな。68歳ですよ。
 松方さんだけじゃなく、東映出身の俳優さんは、たいてい、チャンバラは鍛えられてるんです。萬屋錦之介さんみたいに、殺陣を勉強してるうちに奥義を極め、居合い術、抜刀術の達人と呼ばれるようになる人もいますしね。

 その中でも、日本の映画史上いちばん殺陣の巧い人、だれかご存じですか?

 近衛十四郎さん(「素浪人月影兵庫」とか知ってるかなぁ)。そう、松方さんの親父。血は争えませんな。



 ストーリーは単純です。来年、残虐非道の殿様(SMAPのゴローちゃん!)が幕府老中に就任することが決定。無辜の民の恨みだけではなく、藩はもちろん、幕府瓦解の危機でもあるわけ(これ、史実にもそうありましてね。とんでもない輩だったようですよ)。

 で、どうするか? 暗殺するわけですよ。

 暗殺者は12人の侍と1人の野人。どんな人物でも殿は殿。ゴローちゃんを守る家老(市村正親さん)以下の侍。



 天下太平の世の中で人を斬ったこともない侍ばかり。人数がどれだけいても、実戦の経験がないヤツは役に立たない。「最後は命を捨てた者が勝つ」とね。

 それにしても、この映画の主役は役所広司さん。12月にまたいい映画があんの。1つは『武士の家計簿』。もう1つは『最後の忠臣蔵』。後者の主役がこれまた役所広司さん。売れてますなぁ。

 ところでさ、賭場シーンがあるんですよね。山田孝之さん(『白夜行』に出てたでしょ?)がはじめて出てくるシーンなんだけど、隣の隣に座ってた素浪人。あれ、福本清三さんじゃない? 『ラストサムライ』の。
 『どこかで誰かが見ていてくれる』『おちおち死んでられまへん』の福本さん。「5万回」という東映の斬られ役俳優ね。ちゃうかなぁ。
 パンフ見ても名前出てないの。けど福本さんに似てるなぁ。