2011年08月12日S&Pが米国債を引き下げた理由

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 債務上限引き上げ法案のすったもんだで、今月頭からニューヨークダウの乱高下が止まりませんな。

 S&Pが米国債の格付けを下げたことがトリガーなのに、なぜ米国債の価格が上がって、ダウが下がらなければいけないの?

 なんのことはない、格下げ発表直前にダウのほうが先に暴落しちゃったから。

 結論だけ述べれば、アメリカ政府にとってダウなんてどんなに暴落しようが腹は痛まない。ドル毀損を避けドル価値を防衛するほうがよっぽど重要なの。

 ダウは企業の成績表、国債=ドルは国家の成績表。どちらが大切かといえば後者に決まってる。アメリカはユーロや日本、中国をペテンにかけたことが何度もあります。

 そのお先棒を担いでたのが格付け機関。

 S&Pにしたところで、いつもお手盛り評価ばかりしてた米国債に比して、今度こそユーロ(もちろん日本の国債も!)の国債をきちんと格付けなければ、イタリアやフランスから訴えられる。その動きをつかんで先に動いたというわけ。

 ユーロは不当に国債を下げられて叩き売られ、結果としてドルをかなり助けてきましたからね。怒り心頭。ユーロにとって格付け機関なんて親の敵も同然。
 あいつらのおかげで景気が悪くなった・・・と責任転嫁したくなるのもわかりますわな。

 で、本来ならリーマン・ショック直後に格下げしておくべき米国債を遅ればせながら「定位置」にしただけ。近々あと1ランクは下がると思うよ。

 格付け機関は公正無私のアンパイアではありません。独善と偏見の塊。
 かつて日本国債はボツワナと同格でした。スポンサーから代金を頂戴して格付けさせてもらってるんだもの。お手盛りになるに決まってます。こんなものを正義の味方と錯覚してはいかんのよ。


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