2012年11月09日アメリカはどんどん日本化している?
カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」
予想以上の大差で再選したオバマ大統領。ミット・ロムニーをどうして選ばなかったのでしょうか?
ま、10月からQE3を繰り出した現職の強みはありますわな。オバマって、巷間、言われているイメージとちがって、政治献金額の75%が金融機関からでしょ。GMなどの自動車産業を公的資金投入で救済した張本人ですしね。
政府がGMの株持ってるわけですからね。ロムニーの「小さな政府」はこんなことは許さないでしょう。
「自己責任、成果主義、自由競争の原則」は正しいかもしれないけど、有権者はもうたくさん、という意思表示をしたんでしょうね。「小さな政府」ではなく、セイフティネットのある「少し大きな政府」をアメリカ市民は求めてるんでしょう。
じゃ、日本と似てきた? とんでもない。
オバマはGMなどの自動車産業を公的資金投入で救済しました。政府はビッグスリーを破綻させ、その後、大量の公的資金を注ぎ込んで復活に躍起になってきました。景気対策法案に「バイアメリカン条項」を入れるなどなりふりかまわない動きをしてきました。
政府がGMの株式を5億株も所有しています。総発行株式の26パーセントですよ。
GMは創業100年の節目に倒産しました。負債額は1728億ドル(当時17兆2800億円)。それでも経営者リック・ワゴナーが受け取った退職金はなんと1000万ドル(当時9億円)。経営不振で解任された経営トップがこれだけ巨額の退職金を受け取れるだけでなく、生涯年金として74000ドルが上乗せされています。日本語では、「盗人に追銭」と糾弾されるでしょうね。
いかにアメリカの破産法が気楽に倒産させ、倒産しても敗者復活が楽で、何度もチャレンジできるかがわかります。こういう経営者に何度もチャンスを与えるのがアメリカの活力の秘密なんでしょうね。
個人保証を余儀なくされる日本の中小企業経営者とは「身分」がちがうようですね。
一方、37万人を超える従業員はどうかといえば、大規模なレイオフのあと、いままで無料だった医療保険を打ち切られ、年金は一律6割カットされました。強力な労働組合に守られていたとはいえ、これがアメリカの現実ですね。
では、再生GMはほんとに再生したかと言えば、破綻と同じ失敗を繰り返しているようです。売行き好調かと思いきや、販売ディーラーへの押し込み疑惑。メーカー在庫を圧縮したり整理したりでは粉飾紛いと言われるでしょう。
経営者はボーナスやストックオプションをたくさん欲しいから、自分が経営トップにいる間になんとか株価を釣り上げたい。利益操作などお手の物かもしれません。
元もと本業の自動車製造販売よりも金融子会社で儲けてきましたか。いまでも40パーセントの利益は金融で稼いでいます。いったんマネーゲームを覚えてしまうと、ものになるかならないかわからないような研究開発や技術開発を続けることなどバカらしくなりますよ。
開発にはコストがかかります。コストがかかれば利益が減ります。いくら3〜5年後に花開くかもしれないとはいえ、自分がCEOの間に回収しなければボーナスをとれない。後任のために、コストをかけてまで種まきなどだれがするか。だから、GMにかぎらず欧米の製造業は凋落したんでしょう。
2010年に入ってアメリカの自動車メーカーは絶好調でした。大不況にもかかわらず、中国市場で自動車やオートバイが売れに売れました。GMも中国での売上がアメリカのそれを超えました。
ところが、ここに来て中国のバブル崩壊で生産が一挙に激減。こうなると、風とともに去りぬ、ですな。
かつて倒産法第11条(チャプター・イレブン)で再建に着手した。1000億ドル(9兆円)もの税金を投じた結果は? 2009年6月に破綻したGMは公的資金の負債を完済。よっぽど嬉しかったのか、政府の借金は利子をつけて返した、とCMで流したほど。
GM再建の最大の貢献はトヨタ自動車をめぐる一連のリコール・キャンペーンでしょう。ビッグスリーは一瞬息を吹き返しただけで本格的改善とはとてもとても。環境問題、エネルギー問題、中東をめぐる政治問題、なによりもガソリンからハイブリッド、電気、水素へと進化する代替エネルギー開発技術の問題のどれをとっても明るい未来はないのでは。
リコール疑惑は結局、ドライバーの運転ミスという結論でちゃんちゃん。つまり、濡れ衣だったわけです。GM復活のために、リコールを工作して、2年間のハンデをプレゼントしたわけです。こんな敵失でもなければ改善できないのが現実ですね。
アメリカの株価が絶好調とはいえ、GMの株価は暴落したまま。オバマはこれだけ暴落していると保有株を売却することはできません。このまま塩漬けですね。
それとも、2度目の破綻の責任をとって、2年くらいしたら突然、辞任するんでしょうか。
さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『人と超人・ピグマリオン』(ジョージ・バーナード・ショー著・白水社)です。詳細はこちらからどうぞ。
ま、10月からQE3を繰り出した現職の強みはありますわな。オバマって、巷間、言われているイメージとちがって、政治献金額の75%が金融機関からでしょ。GMなどの自動車産業を公的資金投入で救済した張本人ですしね。
政府がGMの株持ってるわけですからね。ロムニーの「小さな政府」はこんなことは許さないでしょう。
「自己責任、成果主義、自由競争の原則」は正しいかもしれないけど、有権者はもうたくさん、という意思表示をしたんでしょうね。「小さな政府」ではなく、セイフティネットのある「少し大きな政府」をアメリカ市民は求めてるんでしょう。
じゃ、日本と似てきた? とんでもない。
オバマはGMなどの自動車産業を公的資金投入で救済しました。政府はビッグスリーを破綻させ、その後、大量の公的資金を注ぎ込んで復活に躍起になってきました。景気対策法案に「バイアメリカン条項」を入れるなどなりふりかまわない動きをしてきました。
政府がGMの株式を5億株も所有しています。総発行株式の26パーセントですよ。
GMは創業100年の節目に倒産しました。負債額は1728億ドル(当時17兆2800億円)。それでも経営者リック・ワゴナーが受け取った退職金はなんと1000万ドル(当時9億円)。経営不振で解任された経営トップがこれだけ巨額の退職金を受け取れるだけでなく、生涯年金として74000ドルが上乗せされています。日本語では、「盗人に追銭」と糾弾されるでしょうね。
いかにアメリカの破産法が気楽に倒産させ、倒産しても敗者復活が楽で、何度もチャレンジできるかがわかります。こういう経営者に何度もチャンスを与えるのがアメリカの活力の秘密なんでしょうね。
個人保証を余儀なくされる日本の中小企業経営者とは「身分」がちがうようですね。
一方、37万人を超える従業員はどうかといえば、大規模なレイオフのあと、いままで無料だった医療保険を打ち切られ、年金は一律6割カットされました。強力な労働組合に守られていたとはいえ、これがアメリカの現実ですね。
では、再生GMはほんとに再生したかと言えば、破綻と同じ失敗を繰り返しているようです。売行き好調かと思いきや、販売ディーラーへの押し込み疑惑。メーカー在庫を圧縮したり整理したりでは粉飾紛いと言われるでしょう。
経営者はボーナスやストックオプションをたくさん欲しいから、自分が経営トップにいる間になんとか株価を釣り上げたい。利益操作などお手の物かもしれません。
元もと本業の自動車製造販売よりも金融子会社で儲けてきましたか。いまでも40パーセントの利益は金融で稼いでいます。いったんマネーゲームを覚えてしまうと、ものになるかならないかわからないような研究開発や技術開発を続けることなどバカらしくなりますよ。
開発にはコストがかかります。コストがかかれば利益が減ります。いくら3〜5年後に花開くかもしれないとはいえ、自分がCEOの間に回収しなければボーナスをとれない。後任のために、コストをかけてまで種まきなどだれがするか。だから、GMにかぎらず欧米の製造業は凋落したんでしょう。
2010年に入ってアメリカの自動車メーカーは絶好調でした。大不況にもかかわらず、中国市場で自動車やオートバイが売れに売れました。GMも中国での売上がアメリカのそれを超えました。
ところが、ここに来て中国のバブル崩壊で生産が一挙に激減。こうなると、風とともに去りぬ、ですな。
かつて倒産法第11条(チャプター・イレブン)で再建に着手した。1000億ドル(9兆円)もの税金を投じた結果は? 2009年6月に破綻したGMは公的資金の負債を完済。よっぽど嬉しかったのか、政府の借金は利子をつけて返した、とCMで流したほど。
GM再建の最大の貢献はトヨタ自動車をめぐる一連のリコール・キャンペーンでしょう。ビッグスリーは一瞬息を吹き返しただけで本格的改善とはとてもとても。環境問題、エネルギー問題、中東をめぐる政治問題、なによりもガソリンからハイブリッド、電気、水素へと進化する代替エネルギー開発技術の問題のどれをとっても明るい未来はないのでは。
リコール疑惑は結局、ドライバーの運転ミスという結論でちゃんちゃん。つまり、濡れ衣だったわけです。GM復活のために、リコールを工作して、2年間のハンデをプレゼントしたわけです。こんな敵失でもなければ改善できないのが現実ですね。
アメリカの株価が絶好調とはいえ、GMの株価は暴落したまま。オバマはこれだけ暴落していると保有株を売却することはできません。このまま塩漬けですね。
それとも、2度目の破綻の責任をとって、2年くらいしたら突然、辞任するんでしょうか。
さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『人と超人・ピグマリオン』(ジョージ・バーナード・ショー著・白水社)です。詳細はこちらからどうぞ。