2013年01月13日「とんび」

カテゴリー中島孝志のテレビっ子バンザイ!」

「東京に着いたら電話するけえ」
「せんでええ」
「ほしたら手紙書くけえ」
「書かんでええ」
「・・・」
「・・・」

 父と息子の会話ってのはそっけないもんですな。素直じゃないつうか、衒いがあるちゅうか。ま、複雑なんすよ、単純なくせにね。

 その点、母親と娘の会話っつうのはスムーズですな。裏で悪口山ほど言ってるくせに、本人と顔合わせると、ニコッと笑って、いくらでもおべんちゃらが言える。ま、如才ないつうか社交的つうか、社会的常識があるつうかずる賢いつうか、ま、これが「女」の武器ですわな。

 男ってのは、とっつきが悪いんです。初対面同士なんて挨拶もしないし、会話なんぞはさらにしない。見ず知らずの人でも話を合わせられる女性という種を見ると驚異の念ですな。こういう武器を男でもってるのは詐欺師か政治家くらいでしょう。


海外で賞をとりましたな。

 このドラマ、原作は重松清さん。去年の正月、NHKがドラマ化しましたよね。
 父親のヤス役は堤真一さん。息子のアキラ役は池松壮亮さん。不器用な父親の思いをきちんと息子に伝える飲み屋の女将がキョンキョン。それと坊主役の古田新太さん。古田さんの父親の住職を神山繁さんが演じてました。この住職が絶妙なタイミングで「人生」を教えてくれるんですね。

「おまえの母さんは俺を救うために身代わりになった。おまえには謝らんといけん」
「・・・」
「お父さんを恨んでもええぞ」
「・・・」

 アキラは小学6年のときにヤスから真実を聞きます。

 ヤスはトラック運転手として懸命にアキラを育てます。離れて暮らしたくないから、学費も生活費も出さんとだだをこねる始末。男手1つで育てただけにね。
 結局、「子どもの足を引っ張るような父親にはなりとうない」と気づくんですけど。幼い頃、父親に棄てられたんで、ヤスは父親としてどう息子に対していいかわからんのですよ。


TBSではヤス役が内野聖陽さん、アキラ役は佐藤健さん。常盤貴子さんが母親役だから、女将よりも母親とのからみがメインになるんでしょうな。

 東京で大学生活をおくるアキラは雑誌社への就職を決めます。ヤスは余命幾ばくもない実父に会いに上京します、その帰り、アキラがバイトしてるその雑誌社を訪れます。。。不在。応対してくれた編集長が入社試験の「作文」をヤスにこっそり見せてくれました・・・。

 それには。。。ま、ここらへんにしときましょう。これ以上書いたら営業妨害ですわな。

 親は子を育てる。子は親に育てられる。ちがいますな。逆ですな。子は親を育て、親は子に育てられるものですな。私がそうでした。ま、私の場合は本人からいつもそう言われてきましたけどね。

 父に似て 母に似て この子は 神の子 仏の子
 父に似て 母に似て この子は 神の子 仏の子

 親なんてものは、子どものためなら命なんていくらでも放り出せるもんですな。まして父親はヤスみたいに懸命に仕事せなあきまへんな。愛する子ども、愛する家族のためにね。

♪母ちぉんのためならエンヤコラ
 子どものためならエンヤコラ♪

 父親版「ヨイトマケの唄」ですな、これは。