2013年01月21日アベノミクスってどうなるの? 第5弾

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 今週はまたまた雪が降るらしいですね。

 この1月14日の成人式の日。首都圏でも大雪に見舞われて交通が完全に麻痺してしまいました。
 私なんぞ、ようやくタクシーをつかまえたところ、普段ならワンメーターで着くところが、なんと1200円。で、電車に飛び乗ると、これが動かない。ぜんぜん動かない。

 5分後。新子安−鶴見間の架線に枝がかかってただいま除去作業中。。。という放送。
 この間、ずっと読書中。だからいくら待たされても気にはならないわけでね。
 ところが30分後。川崎−蒲田間で架線が切れましたので、しばらく動きません。。。だと。

 さすがに乗客はドッと降りますわな。で、タクシー乗り場は超混雑。並んでもぜんぜん来ない。
 ようやく私の番になったんだけど、さらに来ない。後ろは地方から来た3人連れ。関内でイベントがあるんで急いでるらしい。

 なら、先、いいよ。もう歩いていくよ。

 不思議なもんですな。3分くらい歩いてたら、空車のタクシーが停まってるの。どうやら坂が上がれないで戻ってきたみたい。運よくこれに乗れましてね。ようやく仕事場に戻れた、というわけ。

 この間、2時間半。駅との往復。芯から冷えましたな。

 その日、すなわち、1月14日というのは東京電力管内のピーク需要が、この冬最大だった日ですね。
 大雪で暖房需要が一気に膨らんだわけです。17時台に4652万キロワット(速報値)。供給キャパは最大4919万キロワットですから、使用率94%。「安定供給に支障はなかった」と東電は発表してましたけど、薄氷を踏む思いだったでしょうな。

 ブラックアウト寸前ですな。これ、ぎりぎりですよ、現実的にはね。

 日本には資源がありません。もち、メタンハイドレートなんてのは山ほどあるらしいけど、まだ実用化は先のことだもんね。日本のカントリーリスクは「とりあえず」「自前」の資源がないことですな。

 原発停止・再稼働阻止なら、高いエネルギーを買う覚悟をしなけりゃならんわな。メタンハイドレートなどが実用化されるまでは我慢しなくちゃ。太陽光発電、風力発電は高コストですから、天然ガスを買ったほうがまだ安上がりですな。一挙に停止・廃炉は現実的には無理でしょ。

 電力会社だけでなく、トータルのエネルギーで考えると、家庭生活用はせいぜい1〜2割程度。あとは産業使用なんですね。
 アベノミクス=円安で企業のエネルギーコストはさらに悪化します。インフレで電力費も上がって家計も圧迫されます。総括原価法式ですから、電気代は鰻登り。太陽光なんて始まるとさらに悪化。あれは税金の塊ですからね。

 日本は、韓国のように電力会社をつねに赤字にし、企業には「隠れ補助金」、その負担を国民につけ回す仕組みはありません。電力費を税金で賄ってるんですから、サムスンが儲かるのも当たり前ですな。

 で、安倍さんには「原発」を巧く活用してもらいたいわけ。「原発を利用する」という意味は、なにもすべての原発をいますぐ再稼働しろ、というわけではありません。「再稼働もありうるよ」という選択肢を否定するな、ということです。

 というと、「原発も反対派」は怒り心頭でしょうが、「原発再稼働はなし」と決めてしまうと、代替エネルギーを自前でもたない日本は、がりがり亡者たちから足下を見られてしまうんですね。

 イスラエル以外にイランとの戦争はありえません。ホルムズ海峡を封鎖しても3〜4日で終わり。んなこたあ、イランは先刻承知。どんな理屈であろうと、産油国とメジャーは原油価格上昇は願ったり叶ったり。で、あるはずのない戦争不安をメディアを使って盛り上げて、いまなお、原油は高値で張り付いたまま。

 世界中が不景気。とくに中国経済が急停止してますから、原油価格は上がるはずがありません。シェールガスが本格化する前に大儲けしとこう、という腹づもりでしょう。

「そんなに原油が高いなら石炭でいいよ」と代替資源を持つ中国は原油や天然ガスの価格交渉にも強気で臨めます。けど、日本はねえ・・・。

 最近、話題のシェールオイル(正確にはタイトオイル)にしても、中東にも中国にもたくさんあります。日本では秋田県で採掘されましたけど、全国どこにでもあるわけではありません。
 テレビのコメンテーターたちが、「中国のシェールオイルは場所が悪い。峻厳な山地だから採掘困難」な〜んてコメントしてますけど、これ、嘘っぱち。

 シェールオイル、シェールガスの採掘には、水を大量に使用します。アメリカでもタンクローリーが大量にピストン輸送してますけど、採掘したオイルを輸送してるわけではなく、採掘時に使う水を運んでるんですね。その水が中国にも中東にもない。あっても、原油よりもずっと高価。だからシェールガスを採掘する気なんてさらさらないの。。。

「燃える水」より「飲める水」が欲しいんだから。これが現実。日本は水が豊富にありますからね。シェールオイルが採掘できるならどんどん水を使いたい、ところでしょうな。

 景気が回復すれば、当然、電力使用量も激増します。アベノミクスの円安が家計にはボディブローのように響いてきます。
 原発が停止し、火力発電に振り替えたために、LNG(液化天然ガス)の輸入量は前年比18%増(8318万トン)で過去最高。LNGは世界の3分の1を輸入してるおかげで31年ぶりの貿易赤字。
 すると、またまた、評論家は「アメリカやドイツなどよりはるかに高い価格で調達してますからね」とコメントします。日本が輸入するLNG価格は100万BTU(英国熱量単位)あたり16ドル。これはアメリカの輸入価格2ドルの8倍ですからね。2ドル・・・イエメンから船積みするときはこんなに安いんです。

これだけ値段がちがうのは、LNGの価格決定方法にあります。

 欧米は国内の需給関係で価格は素直に決まりますが、LNGは「商習慣」で原油価格と連動した長期契約になってるんですね。日本は「石油連動価格」になってます。すなわち、バレル80ドル(たぶん今年の最低価格はこれでしょう)とすれば、LNGは6分の1=13ドルくらいでしょう。

この価格方式は「しきたり」ですから、変更しようと思えばできるでしょう。もち、産油国やメジャーはみすみす損になることはしません。

「損しても取引して欲しい」という状況にどうすれば持っていけるか。これからは真剣に考えないとね。
 円で叩く。これでは安くはなりません。高く吹っかけられるだけです。技術供与などとの交換する。これはありますし、いままでもやってきました。ODAという裏金を渡す。これもありです。けど、これは日本国民に価格転嫁してるのと同じですね。

 東京ガスと住友商事はアメリカのLNG生産会社と契約して「アメリカ価格」で輸出するとか。FTA(自由貿易協定)締結国向けに限られてますよね。これは、

 日本の弱みである資源とTPPが絡み合わせて、安倍さんはオバマに強く要求されるんでしょうな。

 いちばん効果的なことは「代替エネルギー」を自前でもつことです。それが高いエネルギーを安くする方法ですわな。大東亜戦争と構図は変わりません。アメリカに引きずられないで済むように、ほどほどに「自前資源」「自前ルート」を持たないとね。

 ところで、「原油連動価格だから高い」と評論家はわけしり顔でコメントしてますが、さあてどうなりますか。もしこの「商慣習」を変更して需給関係で価格を決定する欧米流に変更した途端、「原油連動価格のほうが安い!」とならないとも限りませんよ。

 というか、私は安くなるだろう、と考えています。理由? 原理原則研究会でお話しましょう。そのうち本にでも書きましょうかね。

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