2013年01月24日小津映画のすごさ。。。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 今日は大阪原原。で、新幹線。仕事場を離れるとき、玄関にたしかに4冊置いといた。けど、結局、鞄に入れたのは高橋治さんの書いた小津本。
 ま、いずれ「通勤快読」でご紹介するとして、車中、仕事するつもりが、ずっと読書。。。

 無理もありません。『風の盆恋歌』の著者ですからね。まさか、この人が小津映画。しかも大傑作の『東京物語』の助監督してたなんて。。。しかも初日、小津と喧嘩してこれっきりだとは。

 そういう人が書いた評伝。まいりました。冷めた目でありながら熱い文章。映像屋でなければ気づかない演出の凄さ。活字屋では無理です。
 
 つうわけで、結局、新大阪まで無我夢中。



「欲をいや切りゃあにゃあが、まぁええほうじゃよ」
「ええほうですとも よっぽどええほうでさ。わたしらぁ幸せでさあ」

『麦秋』『晩秋』そして『東京物語』。。。詳しくは後でお話しまょう。紀子3部作ですな。

 小津安二郎のDVDが格安で発売されましてね。実はこれ観まして。で、いろいろ調べて、やはり高橋治本を読みたいと思ったわけ。

 この老夫婦、子どもに会いに上京。これがたぶん最後になるという暗黙の了解が老夫婦にはあります。けど、子どものほうはそんなことには無頓着。現役というのはそういうことですよ。ですから、夫婦は東京見物や名勝などにホントは関心なんてないんです。

 親というのはいつもそうです。

「東京であんたんとこへ泊めてもろうて、いろいろ親切にしてもろうて……」
「いいえ、なんにもおかまいできませんで……」
「いやぁ、おかあさん言うとったよ。あの晩がいちばんうれしかったいうて。わたしからもお礼を言うよ。ありがと」
「・・・」
「妙なもんじゃ。自分が育てた子どもより、いわば他人のあんたのほうがよっぽどわしらにようしてくれた。いやぁ、ありがと」

 戦死した次男の嫁の心遣いがなにより嬉しかった。「優しさ」が見えたからですね。

「あたし、ずるいんです」
「いやいや、正直じゃよ」
「そんなことありません。ずるいんです」

 いやいやいやいや、性についてさりげなくやりとりされてるわけ。私、朴念仁なんで小津の仕掛けに気づきませんでした。あかんなあ。。。生身の女。それをきちんと読み取らんとなあ。


 さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『母性』(湊かなえ著・新潮社)です。詳細はこちらからどうぞ。