2013年03月18日「便乗値上げ」と「便乗値下げ」

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 いやあ、花粉症が治ってしまいました。世の中には効く薬があるもんですな。
 1つは脳内サプリ。もう1つは漢方。水がないんで芋焼酎でごくごく服んでる最中、「これは効くな」と感じてしまいました。以来ピタッと咳が止まっちゃった。だから1回しか服用してないの。


「カラオケ(生オケ)で3曲も歌ったからじゃね?」と指摘する人もいますが、咳が止まったから歌えたわけでね。歌ったから咳が止まったわけじゃないのよ。

 ま、そういうこと。

 で、明日は東京原原です。テーマは「本当は失敗続きだった経営の神様 松下幸之助の経営道について語ろう」です。データ満載。直近経営者のケースまでカバーするつもりです。もち「時事放談」の後ね。
 22日の博多原原のテーマは「自分の頭で考える」です。経営事例満載でパワポが80枚にもなってしまいましたが、重要なテーマですのでケースを省いてもじっくりお話したいと思います。


 さて、「便乗値下げ」はダメなんだと。いえね、安倍政権のことですよ。「消費税還元セール」「8%割引サービス」なんて表示はいかん、とのこと。

 いつから日本は統制経済になったんでしょ。

「消費税増税に合わせた便乗値上げはダメ」というならわかりますよ。しかし逆。「便乗値下げはダメ」つうわけ。

 なぜ? ご存じのように、この内閣の売りが「デフレ退治」だからですよ。よっぽどデフレが怖いんですな。「値下げ」なんて聞いたら特高が飛んできそうな勢いですな。

「あそこの店は隠れて安く売ってるらしいですぜ」
「○○店はいったん店を閉め、裏口から客を入れて、消費税分下げて売ってますぜ」

 安倍内閣では消費税還元セールなどの「便乗値下げ」をする企業や店は懲罰として名前を公表するんだとさ。いいじゃないですか。いかに庶民の味方なのか、いい宣伝になりますから「消費税先取りセール 全品10%引き!」な〜んてがんがんやればいいのよ。
 政府が懲罰的に公表したら新聞で広告出せばいいの。「お客様のために値下げしてどこが悪い?」ってね。

 まあ、くだらない連中は税務署あたりを動かしていやがらせをするんでしょうな。言うことを聞かない政治家に財務省がよくやる常套手段ですからね。

 1973年に第1次オイルショックがありました。きっかけは原油価格の暴騰でした。けどインフレが激しくなったのは便乗値上げ。それをカバーするための賃金の大幅上昇だったんですね。

 74年には2回もベアがありました。「給料が増えた」と錯覚した人もたくさんいたでしょうね。たしかに額面の給料は増えました。でも物価のほうが先にドカーンと上がってた。「狂乱物価」と当時の大蔵大臣福田赳夫さんがこぼしたときですな。

 原油価格は3カ月でバレル3ドルから12ドルに暴騰。物価(消費者物価指数)は前年比21.2%もの上昇。でもいまほど苦しくなかった。給料もそのくらい上がってたからねえ。

 79年に第2次オイルショックがありました。イラン革命とイライラ戦争。で、原油価格は20ドルから40ドル。ほんの数年で13倍になっちゃった。このときの物価は前年比7,1%の上昇。
 リーマン・ショック直前の原油超高値(バレル147ドル)のとき、物価上昇率は2%未満。国内要因で物価が上がらない。賃金も上がらない。だから物価は頭打ち。どうしても上がらない。デフレですね。

 物価を上げたい。賃上げもしてほしい。でもね、たとえ給料が上がっても消費者はとくと吟味して買いますよ。比較して買いますよ。比較できないようにどれもこれも同一価格にするなら、これこそ統制経済。共産国家ですわな。

 安倍さんは知らないだろうけど、アベノミクスの学者さんたちは日本がインフレになんぞならないことにお気づきでしょ。インフレ云々ではなく、「新発国債の日銀引き受け」をさせたいのが本音。そうなれば役人は青天井でいくらでも予算を使えます。インフレにだってなります。ただし悪性インフレ。孫子の代どころか、いまの私たちにツケが回ってきます。


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