2005年07月25日「その人、独身?」「祖国なき独立戦争を楽しむために」「女子の生きざま」
1 「その人、独身?」
酒井順子著 講談社 1575円
「負け犬」という新しい使い方を提案した人ですな。
それにしても、あの「負け犬の遠吠え」はくだらなかった。というより、面白くなかった。
言葉が先走っていて、内容がついていかない。書きたくないけど、編集者からむりやり書かせられたという感じか否めませんでした。
それに比べれば、これはいい。なかなか面白いよん。
「3DK」って知ってる?
30代、独身、恋人なしの略なんだって。ということは、4DKもあるわけだ。
この年で結婚経験がない人っつてのは、やはり、不倫の罠にはめられたとか、「もう面倒だし」とか、「いまさら、つまらない男と結婚して、せっかく貯めたお金なくすの嫌だし」という人が多いと思う。
縁がない、というのではなく、そもそも、縁を遠ざけてるのよね。
けど、あとね、性格が悪くて結婚できないという女性も少なくありませんね。これは顔、見りゃわかりますよ。
「男は四十歳になったら自分の顔に責任持て!」といったのはリンカーンだけど、女性も同じ。
たとえば、わたしの知人のカメラマンの妹なんか、まさにそう。この女、46歳なんだけどね。とっくの昔に潰れた証券会社の秘書してたわけ。
小学校から私立女子校、で、大学はJALパックの一角。だから、わがままいっぱい。
二流証券会社なんだけど、秘書なんかやってるから、周囲の同世代の男が小物に見えてしょうがない。
まっ、倒産するような会社だからたかが知れてるんだけどさ。
で、バージンを失ったのも、四十歳の時。今どき、こんな天然記念物がいるんだね。
けど、よく考えれば、周囲の男はこの女性をよく見てた。だから、手を出さなかったってわけさ。
相手は宝石屋だって。けど、この男にしても財産はすべて奥さんに牛耳られてるから、一銭も自分の自由にならないの。
ホントにつまらない女性はつまらない男に引っかかるのよ。
この女、去年あたりから体調が悪くて、電車で倒れて救急車騒ぎ。子宮筋腫だったのね。
若ければ筋腫のみ取り除くけど、この年だから全摘が当然。
だけど、かたくなに拒否。
「身体に傷つけたくない」
「恋人もいないのに、なに言ってるの!」
「子どもが生めなくなる!」
「相手もいないのに、なに考えてるの?」
医師も看護婦も呆れた顔。
個室にしろ、食事がまずい、テレビが小さい・・・と文句ばかり。親兄弟も病院で赤っ恥。
「もういい。おまえなんか退院しろ」
この妹、休日にかると昼から一升瓶抱えて飲んでるわけ。で、独り言のオンパレード。
「昔はもっとましな見合い話があった」
「もっとイケメンを紹介しろ」
さすがに、いまではだれも見合い話などもってきません。だって、その男性が不幸になるのがよくわかるからですね。
性格の悪さは直りません。とくに、子どもの頃から底意地の悪い女性。これは最悪です。
国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、東京都では、女子の25歳〜29歳の未婚率は2000年度で65.3パーセント。
これが30年前だと27.9パーセント。ものすごい未婚率の伸びですよ。
当然、男性も同じですよ。30歳〜34歳の未婚率は20.5パーセントから54.2パーセントへとドカンと増えてます。
あと、「生涯未婚率」という用語があります。今後、15パーセントまで伸びると予想されてるんだけど、この言葉、すごいよね。
生涯未婚率。一生、結婚しないと決めちゃうわけ。しかも、その年齢が50歳の時点が確定しちゃうわけさ。
「あなた、50歳? 未婚なの? じゃ、一生、結婚しないのね」
データの上ではもう「結婚しない人」のグループに入れられてしまうわけ。
となると、例のカメラマンの妹もあと3年あまりでグループ入りかぁ。
たしかに、いい男ってさっさと結婚してるよなぁ。で、未婚の女性たちを恋人にしちゃってさぁ。ずるいよねぇ。
ルソーの「人間不平等起源論」てのを学生時代に読んだけど、このカノジョの数の不平等で説明してくれたらもっと面白く読めたんだけどなぁ。
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2 「祖国なき独立戦争を楽しむために」
鴻上尚史著 扶桑社 1365円
「ドン・キホーテのピアス」のシリーズ何冊めだろう。
これ、全部、読んでるのよね。
鴻上さんてさ、視点がいいし、生きるスタンスがいいよね。バランス感覚とか哲学がいい。
もちろん、芝居も面白いしね。
でもって、イラストが抜群。このテイスト、大好きです。
森雪之丞さんて作詞家に芝居の音楽プロデューサーを依頼したわけ。
この人、布袋さんとかヒムロさんの作詞も手がけます。で、「君たち、キウイ・パパイア・マンゴだね」もそう。
「この曲をはじめいて聞いた時、腰が抜けました。これを作詞した人は天才か仕事を舐めきっている人だ」だって。
いまのJポップの95パーセントは「曲先」です。曲のほうが先にできてて、詩が後なのね。
「意味わかんないけど、ノリがいいね」
「なんだか格好いい」
これは曲の力です。
鴻上さんが芝居をする理由は、「死なないため」らしいよ。
芝居でもしないと、このままだと、確実に自分を傷つけてしまうという懸念があったわけ。だから、芝居という活動は「死なないためのリハビリ」なんだって。
1998年から自殺者は年間3万人を越しています。多いね。ものすごく多い。
で、20代、30代では死因のトップが自殺。40代はガンが一位。
男女比では、男性7割、女性3割。で、自殺未遂は女性のほうが多いんです。
「本当な死にたい」と思っている人。
これは心因性の病気ですね。気の持ちようとか考えずに、薬とか病院で治療することが大切ですね。
心因性だから、頭痛、腹痛、下痢などなんでも起こります。自殺したいという願望も心因性の病気です。
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3 「女子の生きざま」
リリー・フランキー著 小学館 560円
前回に引き続いて、リリーさんの本。
内容は「東京タワー」とはダンチ。
まいったねぇ・・・けど、おかしかった。一度、ラジオ、聞きたいねぇ、この人の。
さて、女子がなにかを考えているのか、よっく知ってるねぇ、この人。ところで、女子なんて言葉、小学校以来使ったことないなぁ。
「人は見たまんまの人、というのがいちばん魅力がありません。外見との対比のある、スイートなセリフ。これこそが、女子が幸せに暮らすためのモテ技術」なんだとか。
たとえば、スーパーモテモテのチャーミングな女子Y子さん。恐がり屋で失禁寸前と思えるほどの悲鳴をあげていたそうな。
だれかがいたずらして、怖い話をして部屋の電気を消した時、彼女はびっくりして椅子から転倒。起きあがると、たまたま横にいたリリーさんにしがみついてきた。
まっ、ここまではよくある話。
この瞬間、彼女が言った言葉。
「ねぇ・・・背中さすって・・・」
「アタシ、怖いことがあると、だれかに背中さすってもらわなきゃダメなの・・・」
リリーさんは一生、この人の背中をさすっててもいいとまで思ったそうでっせ。
こういうナイスなセリフを吐ける女子を「いい作家がついている」とか「電通が入ってる」と表現します。
男子の世界でおばさんが暗躍するケースはめったにありません。
けど、女子の世界ではオヤジとの関係は切っても切れませんね。「えっ、オヤジ? 気持ちわっるい!」とかなんとかいいながら、ベッドではしっかりいがみついてたりしてね。
「もし、オジサンとつき合うなら岩城滉一みたいなシブイ人だったら考えてもいいかな」
ありえません! 世の中のオジサンの岩城度は全体0.01パーセント。あとは全部、安部譲二や桜金造です。
最悪は女子校とかに入って、若い男性教師と恋仲になるってタイプかな。
女子の視界って狭いんだよね。せいぜい前方3メートル。だから、その視界に入るのが男性教師ってなわけ。
街中でみれば、たんなるオッサン。だけど、視界不明だからオッサンでも「いい男」に見えちゃうのよね。
いわゆる、「勘違い」。
「キムタクそっくり」と言うからどんなヤツかと思ったら、ハムカツみたいな顔してたりさ。「菜々子ちゃんそっくり」が実は「菜っぱのヘタ」みたいな女だったりしてね。
恋なんてみんな勘違いからスタートするのよね。だから、救われるんですよね。
しかし、よかったなぁ、女子校の教師にならないで・・・。
けど、女子大って線はまだありそうだしなぁ・・・。困った、困った。ホントに困った。
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