2013年12月29日「バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 「数歩の距離だけど難しい。歌唱力の問題じゃない。」と語るのはブルース・スプリングスティーン。
 バックコーラスからセンターまでの距離はわずか20フィート。これが長いのよ。

 けどさ、センターにたどり着いたらどうなんの? カネは入ります・・・同時に、いつかヤクでおっ死んじまうって寸法。

 オーディションからいきなり「スター」になる幸運なヤツもいます。ホントに、この世界でモノを言うのは「運」なわけ。

 名もなきシンガーたちの波乱の人生を描いたドキュメンタリー? ご冗談を。すでに有名な人たちばかりですよ。名もなきシンガーなんてのは掃いて捨てるほどいるんだから・・・。



 プレスリーやシナトラ、ディオンヌ・ワーウィックのバックコーラス「ブロッサムズ」で活躍したダーレン・ラヴなんて、仕事がなくなってしばらく家政婦で凌いでたわけ。でも、ある家で掃除してたらテレビから自分が歌った「ひとりぼっちのChristmas』が聞こえてきたのよ。
 
 「あっ、わたし、こんなとこにいちゃいけない」
 で、西海岸からNYに舞い戻るわけ。この歌は有名だからみなさん知ってると思う。「ホーロアローン2」の主題歌といえばわかるかな。

 ストーンズでミック・ジャガーと一緒にリードボーカルをつとめてたのはリサ・フィッシャー。この人、グラミー賞とってますからね。
 で、レイ・チャールズのバックコーラス「レイレッツ」のメリー・クレイトン。

 マイケルのコンサートツアー「This is it」のバックシンガーとして抜擢されたのは日系のジュディス・ヒル。急死した彼にかわって「♪ヒール・ザ・ワールド」を歌ったでしょ。10億人が見てるとは知らなかったらしいよ。
 
 私が大好きでよく覚えてるのはアイク&ターナーのバックシンガーをしてたクラウディア・リニア。
 ティナ・ターナーですからね。ティナの『♪プラウド・メアリー』の踊りは迫力ありましたわな。
 そういえば、『ティナ』つう映画もええでっせ。アンジェラ・バセットが筋トレしてティナを完璧コピー。Angela Bassett の『Shake Your Tail Feather』です(クリックすると聴けますよ)。

 バックで歌うか、センターで歌うか。

 バックは名前は出ないけど、ほかのシンガーとハモる。自分だけが・・・というわけにはいかないかんね。

 デビット・ボゥイとかスティーヴィー・ワンダーはバックコーラスの価値がわかってるから必ず採用するけどね。機械でごまかすケチな連中が多いわけ。で、なかなか仕事がないのよ。このドキュメンタリーに登場するディーバはきつい生存競争に勝ち残った人たちですよ。

 「自分の才能を活かすために努力したのが私の人生ね」(ダーレン・ラヴ)
 「歌うことはシェアすること。競うものじゃない」(リサ・フィッシャー)
 「声より素敵な楽器はないわ」(シェリル・クロウ)
 「この業界は公平な勝負で決まるわけじゃないんだ」(スティング)
 「楽しいからといって自分の夢を捨ててはいけない」(スティーヴィー・ワンダー)

 しっかし、40年ぶりに会ってリハ無しでいきなりアカペラ。それが完璧にできちゃうってのはやっぱ凄い。「楽譜がないと歌えない」では生きていけない世界なんでしょうな。

 まったくノーマークでした。いきなりKindle1位。『30代は仕事に狂いなさい!』です。


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