2014年01月13日「マイ・バック・ページ」
カテゴリー中島孝志の不良映画日記」
成人の日がころころ移動するようになって何年経ったんでしょう。
昔はたしか1月15日だったんじゃないかなあ。で、年賀葉書の籤の当選発表とかね。まだ成人式なんてやってるんすね。
わたし? 行きませんでしたねえ。「どうする?」と訊かれたときも、「行かねえよ。あんなもん」と答えてましたから。
成人式は田舎の若者のため、とくに女性のためにある、と思ってましたからね。久しぶりに集まれる口実でしょ。で、見合い写真も撮れるし。一挙両得。
しょっちゅう駅や書店で鉢合わせしてるのにわざわざ会う必要もないしね。市長だかの話なんてまっぴらゴメン。いまどき、昔の元服の延長線にある。。。なんて話してもわからんだろうしね。
けど、やめたらいいとは思いません。成人式でメシ食ってる人たちもたくさんいるんでしょ。印刷屋さん、お菓子屋さん、写真屋さん。こればかりは素人のデジカメでは話にならんもんね。そうそう、美容院とか着物屋さんもかき入れ時でしょ。
この手のイベントは消費を喚起してGDPを増やすんです。だから経費削減する必要はない。ムダでもね。
タイトルはもちボブ・ディランの曲から。
20歳のころって何してたかなあ。大学生でしたけどね。たしか。
1年のほとんどではないけど、2カ月は船に乗ってましたからね。さくら丸。大島汽船。15000トン。外洋にも繰り出してね。だから台風でもぜんぜん酔わない。「明日から船乗りできる」とフィリピン人のコックから太鼓判押されたくらい。
4年間で台風は3回経験。1回は沖縄の本土復帰の年だからずいぶん昔の話ですわな。
20歳のころ、何やってたんだろ。
「オレはなんにでもなれる!」という根拠レスの自信。それと「なにもない」という劣等感。
この「なにもない」ということがどれだけ凄いことか、これだけで世間を渡っていける武器だと気づいたのは30歳過ぎ。もっと早く気づかなきゃ。
『マイ・バック・ページ』は大好きな松ケンと妻夫木さんが共演した映画。
「20歳までに左翼にかぶれるヤツは熱病だけど、20歳過ぎてまだかぶれてるヤツは小児病だよ」(これ、学生時代に吐いたわたしの言葉)
隙だらけの原発1つ押さえられないで革命ごっこやってるんだもんね。小児病患者だわな。
1971年の朝霞自衛官殺害事件。かかわった朝日新聞の記者は川本三郎さん。これで懲戒免職になっちゃう。『向田邦子と昭和の東京』とかお得意の映画本もずいぶん読ませていただきました。彼の自伝ですわな。
「ジャーナリストになり損なった男」と「革命家になり損なった男」の物語。
20歳なんてのはそういうものだと思う。イチローや本田選手のように、子どもの頃からぶれずに自分を信じて自分の道を歩き続けられる人はめったにいない。
ほとんどの人は。。。曖昧な夢。もっと曖昧な方法論。もっともっと漠とした計画性。んなものハナからない。それでいいんだと思う。
四国に鉄頭(かながしら)という魚がいるそうですね。あっちにぶつかり、こっちにぶつかり、で、頭かちかち。そんな魚。わたしたちも同じ。頭を叩かれながら軌道修正していくんだと思う。
お笑い芸人になりたい、小説家になりたい、映画監督になりたい。。。「映画監督? それはないな」と答えたのは『桐島、部活やめるんだってよ』の映画研究会の部長だったっけ?
なったつもり、なれるつもり。あっちにぶつかり、こっちにぶつかりで、カーナビ以上にさりげなく鮮やかに軌道修正。それが20歳の特権ではないかしらん。
主人公は革命家気取りの男に騙されて新聞社を免職。挫折感と被害者意識で意気消沈。
けど、この男がラストで遭うのは焼鳥屋のオヤジ。むかし裏社会を取材するために騙した元チンピラ。
「おいおい、おまえ、どうしたんだ。久しぶりだな」
「・・・」
「覚えてないのか。ガード下で一緒にうさぎ売ってただろ?」
「ああ、あのときの」
「あの頃は楽しかったよな。マスコミに入りたいって言ってたけど夢かなったか?」
「・・・いいえ」
騙したオレがアイツに騙された。いや、あのときのオレと同じで、アイツは騙したんじゃない。「始めてしまえば革命家になれる」と信じて見切り発車したんだ。新聞社と警察はアイツを思想家でなく殺人者と見なした。オレは思想家として取材源を守らなければいけなかった。アイツを最後まで理解してやれるのはオレしかいなかったんだ。。。
「泣く男なんて男じゃない」
「わたし、泣ける男がいいと思う」
週刊誌の表紙を飾った読者モデル。21歳で死んだ彼女はそう言ってた。
最後の最後、焼鳥屋の隅で泣き崩れます。年齢的には20歳をとっくに超えてたけど、「♪強いばかりが男じゃないと いつか教えてくれた人♪」(「浅草の唄」)。
自分の弱さに気づくのが大人への第1歩なのかもしれませんな。
映画の中で松ケンがギター片手に歌ってましたね。中2のとき、深夜放送ではじめて聴きました。Rod Stewartの「雨を見たかい(Have You Ever Seen The Rain)』です(クリックすると聴けますよ)。
もちろん、オリジナルはCCR。1971年のベトナム戦争末期の曲ですからね。「rain=ナパーム弾」と連想してる人が多いけど、んなもんじゃないっつうの。
権力者ってのは勝つか負けるか、裏切るか裏切られるか、の二者選択しかできない単細胞ですから、アメリカで放送禁止になるのもわかりますな。
♪ずっと昔 だれかがいってた
嵐の前の 静けさ
わかってる
嵐が過ぎれば 晴れてるのに 雨が降ってる
わかってる
雨のように 光って落ちてくる
雨を見たかい?
雨を見たかい?
晴れた日に降る雨を♪
これじゃ、ニクソンは怒りますわな。
20歳に贈る電子書籍。
韓国で25万部突破。全冊回収されてるだろうなあ。
これは完全書き下ろしです。
最新刊です。Kindle初登場でいきなりベスト5入り。ただいまベスト50に6冊ランクインです。
昔はたしか1月15日だったんじゃないかなあ。で、年賀葉書の籤の当選発表とかね。まだ成人式なんてやってるんすね。
わたし? 行きませんでしたねえ。「どうする?」と訊かれたときも、「行かねえよ。あんなもん」と答えてましたから。
成人式は田舎の若者のため、とくに女性のためにある、と思ってましたからね。久しぶりに集まれる口実でしょ。で、見合い写真も撮れるし。一挙両得。
しょっちゅう駅や書店で鉢合わせしてるのにわざわざ会う必要もないしね。市長だかの話なんてまっぴらゴメン。いまどき、昔の元服の延長線にある。。。なんて話してもわからんだろうしね。
けど、やめたらいいとは思いません。成人式でメシ食ってる人たちもたくさんいるんでしょ。印刷屋さん、お菓子屋さん、写真屋さん。こればかりは素人のデジカメでは話にならんもんね。そうそう、美容院とか着物屋さんもかき入れ時でしょ。
この手のイベントは消費を喚起してGDPを増やすんです。だから経費削減する必要はない。ムダでもね。
タイトルはもちボブ・ディランの曲から。
20歳のころって何してたかなあ。大学生でしたけどね。たしか。
1年のほとんどではないけど、2カ月は船に乗ってましたからね。さくら丸。大島汽船。15000トン。外洋にも繰り出してね。だから台風でもぜんぜん酔わない。「明日から船乗りできる」とフィリピン人のコックから太鼓判押されたくらい。
4年間で台風は3回経験。1回は沖縄の本土復帰の年だからずいぶん昔の話ですわな。
20歳のころ、何やってたんだろ。
「オレはなんにでもなれる!」という根拠レスの自信。それと「なにもない」という劣等感。
この「なにもない」ということがどれだけ凄いことか、これだけで世間を渡っていける武器だと気づいたのは30歳過ぎ。もっと早く気づかなきゃ。
『マイ・バック・ページ』は大好きな松ケンと妻夫木さんが共演した映画。
「20歳までに左翼にかぶれるヤツは熱病だけど、20歳過ぎてまだかぶれてるヤツは小児病だよ」(これ、学生時代に吐いたわたしの言葉)
隙だらけの原発1つ押さえられないで革命ごっこやってるんだもんね。小児病患者だわな。
1971年の朝霞自衛官殺害事件。かかわった朝日新聞の記者は川本三郎さん。これで懲戒免職になっちゃう。『向田邦子と昭和の東京』とかお得意の映画本もずいぶん読ませていただきました。彼の自伝ですわな。
「ジャーナリストになり損なった男」と「革命家になり損なった男」の物語。
20歳なんてのはそういうものだと思う。イチローや本田選手のように、子どもの頃からぶれずに自分を信じて自分の道を歩き続けられる人はめったにいない。
ほとんどの人は。。。曖昧な夢。もっと曖昧な方法論。もっともっと漠とした計画性。んなものハナからない。それでいいんだと思う。
四国に鉄頭(かながしら)という魚がいるそうですね。あっちにぶつかり、こっちにぶつかり、で、頭かちかち。そんな魚。わたしたちも同じ。頭を叩かれながら軌道修正していくんだと思う。
お笑い芸人になりたい、小説家になりたい、映画監督になりたい。。。「映画監督? それはないな」と答えたのは『桐島、部活やめるんだってよ』の映画研究会の部長だったっけ?
なったつもり、なれるつもり。あっちにぶつかり、こっちにぶつかりで、カーナビ以上にさりげなく鮮やかに軌道修正。それが20歳の特権ではないかしらん。
主人公は革命家気取りの男に騙されて新聞社を免職。挫折感と被害者意識で意気消沈。
けど、この男がラストで遭うのは焼鳥屋のオヤジ。むかし裏社会を取材するために騙した元チンピラ。
「おいおい、おまえ、どうしたんだ。久しぶりだな」
「・・・」
「覚えてないのか。ガード下で一緒にうさぎ売ってただろ?」
「ああ、あのときの」
「あの頃は楽しかったよな。マスコミに入りたいって言ってたけど夢かなったか?」
「・・・いいえ」
騙したオレがアイツに騙された。いや、あのときのオレと同じで、アイツは騙したんじゃない。「始めてしまえば革命家になれる」と信じて見切り発車したんだ。新聞社と警察はアイツを思想家でなく殺人者と見なした。オレは思想家として取材源を守らなければいけなかった。アイツを最後まで理解してやれるのはオレしかいなかったんだ。。。
「泣く男なんて男じゃない」
「わたし、泣ける男がいいと思う」
週刊誌の表紙を飾った読者モデル。21歳で死んだ彼女はそう言ってた。
最後の最後、焼鳥屋の隅で泣き崩れます。年齢的には20歳をとっくに超えてたけど、「♪強いばかりが男じゃないと いつか教えてくれた人♪」(「浅草の唄」)。
自分の弱さに気づくのが大人への第1歩なのかもしれませんな。
映画の中で松ケンがギター片手に歌ってましたね。中2のとき、深夜放送ではじめて聴きました。Rod Stewartの「雨を見たかい(Have You Ever Seen The Rain)』です(クリックすると聴けますよ)。
もちろん、オリジナルはCCR。1971年のベトナム戦争末期の曲ですからね。「rain=ナパーム弾」と連想してる人が多いけど、んなもんじゃないっつうの。
権力者ってのは勝つか負けるか、裏切るか裏切られるか、の二者選択しかできない単細胞ですから、アメリカで放送禁止になるのもわかりますな。
♪ずっと昔 だれかがいってた
嵐の前の 静けさ
わかってる
嵐が過ぎれば 晴れてるのに 雨が降ってる
わかってる
雨のように 光って落ちてくる
雨を見たかい?
雨を見たかい?
晴れた日に降る雨を♪
これじゃ、ニクソンは怒りますわな。
20歳に贈る電子書籍。
韓国で25万部突破。全冊回収されてるだろうなあ。
これは完全書き下ろしです。
最新刊です。Kindle初登場でいきなりベスト5入り。ただいまベスト50に6冊ランクインです。