2014年08月27日地名はご先祖様からのメッセージ。。。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 これ、書こうかどうか迷ったのね。ほら、私だって嫌われたくないしぃ、できれば好感度上げたいしぃ。ま、このブログを読んでる方々は素直だと思いますが、世の中にはなんでも悪意に受け取る人もたくさんいますからね。

 「最近きれいになったね」
 「悪かったわね、いままでブスで!」

 さ〜て、誤解と顰蹙を覚悟の上で書いてしまいましょう。

 広島も礼文もたいへんな災害でした。ご関係者の皆様は悲しくて悔しくてたまらないと思います。「もっと早く気づいていれば。。。」と自分を責め続けている人は少なくないでしょうね。けど深夜。しかもあっという間の出来事でした。気づきようがなかったかもしれません。

 こういう悲惨な災害に巻き込まれないよう、祈りをこめてこんな独り言をしておきたいと思うのです。


 私、2週間に1回くらい床屋さんに行くんですけど、地元の元町じゃなくてわざわざ鎌倉に行ってるんです。そば屋が好きですし、知り合いも多いし、湘南の海は大昔しょっちゅう舟やら出して遊んでたとこですからね。葉山も江ノ島も「庭」です。事実、どんなに混んでいようと友達のとこに車を停められますしね。

 「鎌倉」というとどんな印象をお持ちでしょうか? 頼朝。源氏。北条氏。大仏。長谷寺。高級住宅地、文化人。。。まあいろいろあると思います。

 さて、自宅のすぐ近くに「関内」があります。オフィス街ですね。県庁も市庁舎もスタジアムもここです。昔は新田でした。文字通り、新しく開発された田んぼ。みなとみらいと同じで埋め立て地なんです。埋め立て地ですから地盤が緩い。みなとみらいは凄い技術で、阪神淡路大地震クラスの地震に襲われても六甲アイランドで見られた液状化現象は起こらないらしいですよ。

 関内の馴染みの店は「新田」といいます。東京原原の忘年会でよく行きましたね。元々は「ヌッタ=沼田(ぬった=ぬまた)」という意味です。出雲の仁多米の「仁多」とか「仁田」も同じです。参考までにアイヌ語でも「湿地」を意味してるんですよ。

 東京の神田も新田です。「しんでん」に「神田」という字を当てました。安全を祈願して明神さんを祀りました。
 大阪の梅田も元々は「埋め田=埋め立て地」です。梅が咲いていたわけではありません。天神さんのパワーを拝借してこれまた安全祈願のために「梅田」にしたわけです。
 たいていの埋め立て地は洪水とか土石流でできたから地盤が緩いんです。もしその上に家を建てたら地震とか水害には弱いでしょうね。

 全国に船越という地名がありますね。船が越えてしまうわけです。どうやって船が越えたのでしょうか。津波ですよね。
 広島には津浪という地名もあります。過疎地域ですが、元々は津波。土石流などの「山津波」です。語弊があるから津浪にしたのでしょう。。。

 東日本大震災のとき津波に襲われた原発があったのは浪江町でしたね。浪とは海が陸地に食い込んだ地形のことです。津波のパワーがもっとも集中しやすい地形です。東電はそんなところに原発を建てていたのです。
 福島第2原発は波倉にあります。浪の倉です。倉とは「急峻な角度」という意味です。行ったことはありませんが、たぶん尖った地形ではないかと思います。

 三重県には「川底」とか「池底」という地名もありました。どうしてこんな地名を残したかといえば、「ここはそういうとこだよ」「気をつけて暮らしなさい」という子孫へのメッセージだからです。

 ところが昭和の市町村合併で安易に地名を変えてしまいました。おかげで「○○が丘」「○○台」という地名がめちゃくちゃあります。私のオフィスなど駅は○○台、住所は○○が丘です。暮らしやすさよりも、高級住宅地を連想させるビバリーヒルズにあやかろうという宅地造成業者の都合、すなわち、洒落てて売りやすいネーミングからでしょう。

 行政も相変わらずいい加減で、災害が起こると、「もっと早く伝達や指定を早めればよかった」と渋面をつくるより、そもそも危険な地域に造成許可などしてはいけないんです。訴訟にならないか、そちらのほうが心配でしょう。業者の接待攻勢で許可したわけではないことを祈りたい、と思います。

 ほとんどの建て売り業者はお客様第一だと思いますが、ごくごく一部には、建築残土を山ほど廃棄し、地表1メートルだけを山土で覆っただけ、というひどいケースもあるようです。もちろん地盤沈下必至です。家が傾きます。
 歴史的に地滑りや山津波などが起きている地域かどうか、なんて業者は百も承知です。プロですから調べに調べ、叩きに叩いて買収します。安く買って相場で売るだけでボロ儲けです。

 そういう地域には「住むな」「さわるな」「暮らしてはならん」とご先祖様は遺しました。残念ながら30年も経てばみなさん忘れてしまいます。地名ロンダリングなどされたら終わりです。

 さてさて、私はいつも鎌倉に行くとき、なにかあったらどこに逃げるか決めながら歩いています。なんといっても「カマ」と「クラ」ですからね。
 カマとは「噛マ」です。津波が食い込んだ地形を意味します。事実、ここはいままで何度も何度も津波に襲われてきました。東日本大震災のときなど、烏帽子岩のずっと向こうまで海が干上がり、まる1日戻りませんでした。

 東大寺の大仏さんは大仏殿が焼けたあと、家光が再建してくれましたけど、鎌倉の大仏さんはいまだにむき出しです。「明応の大地震」で大仏殿が波にさらわれてしまいました。むき出しでいいんです。「油断するなよ。津波はここまでくるぞ」というメッセージですからね(さすがに東大寺には津波は来ないでしょう)。

 広島と礼文。少なくとも広島のケースでは激甚災害に指定するだけでなく、業者と行政に「製造物責任」を課すべきです。すなわち、あの地域一帯を廃棄してほかに住宅地を用意するか、山津波が起きたときにうまく誘導する「道」をつくるかです。

 古来、日本では「井戸は神の出入り口」と言われました。
 京都の六道珍皇寺にある井戸は「冥界へ通じる入口」と昔から言われてきました。平安時代の小野篁は毎夜ここからあの世に行ってたそうです(出口はまた別のところにあります。詳しくは原原でお話しします)。
 同様に、河川を埋め立ててはいけない。埋めてもいずれ暴れ出す。地鎮祭は荒ぶる神を鎮魂するために行われているのです。それは水神ですよ。

 「日本には川がない。あるのは滝だけだ」

 幕末明治に訪れたお雇い外国人の発言です。ヨーロッパの川など流れているか止まっているのかわからないくらいです。日本は山紫水明の国ですが、実はいつも水不足でした。台風が来ても雨は地を叩き、ほとんど海に流れてしまって、地下にたまらないからです。

 自然はおっかないですね。素直に畏怖の念を抱かないとしっぺ返しがありますね。科学と技術の力でおさえこめると思い上がってはいけないのですね。

 地名はご先祖様のメッセージです。自分が住んでいるところがどういう地名なのか、地名だったのか、あまり神経質になる必要はありませんが、チラッと勉強しておいてもいいのではないでしょうか。。。


 さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『イスタンブールを愛した人々』(松谷浩尚著・中央公論社)です。詳細はこちらからどうぞ。