2015年01月23日原油暴落が止まらないホントの理由

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 この水曜日に大阪で講演しましてね。時間が足りなくて(いつもだけど)お伝えできなかったことがあります。原油価格の暴落について。。。

 そこでちょいと書いておきたいと思います。ま、ブログをごらんの皆様には釈迦に説法なんですけど。

 原油暴落が止まりませんね。夏にはバレル100ドル超だったのに、いまや40ドルそこそこ。
「40ドルを切っても減産するつもりはない」とOPEC首脳が発言してますから、さらに下落してもまったくおかしくないわな。
「アメリカとOPECが一致協力したロシア潰しだ!」とメディアは大騒ぎしてますが、真相は真逆ではないかしらん。

 正解は「シェール革命潰し」にある、とわたしはにらんでいます。

 理由は3つ。それは・・・とお話する前に、そもそも原油暴落ではない。天然ガス暴落に引きずられて原油価格が下がってるわけ。天然ガス暴落が原因。原油価格暴落は結果。

 で、理由の1つめは。そもそも値段は需要と供給で決まりますね。たとえば人気商品。売れ行きがいい、みなが欲しい、だから価格はどんどん上がります。オークションで値段がつり上がるのと同じ現象ですね。
 ところが「もっと売ろう」とメーカーが増産したとたん、急に売れ行きが止まっちゃう。「あの商品、どこでも買えるよ」となれば希少価値がなくなりますからね。

 原油も天然ガスも同じ。量が増えれば値段は安くなる。量が減れば高くなる。OPECという組織は原油価格の産出量=販売量を増やしたり減らしたりして、自分たちが儲かるように調整しているわけです。

 OPECにしてもロシアにしても、売り物は原油と天然ガスのみ。だから1円でも高く、1リットルでもたくさん売りたい。もちろん、安くしなければたくさん売れない。たくさん売りたければ安くする。けど、損してまで安売りはしない。

 それが商売ですわな。

 こんだけ価格が暴落してるなら、OPECもロシアも減産したほうがいいよね? 産出量=販売量を減らせば値段は上がるんだもん。ところが、そうはしない。つまり、OPECとロシアは経済原則を無視してるわけ。

 どうしてでしょう?

 経済原則を無視する、つうことは、経済よりも大切なことがあるからですね。つまり政治の事情。政治的目的を損得勘定よりも優先したんですな。

 では、みすみす損してまでも(実際には損なんてしてませんけど)優先したい政治目的はなんなのか?
 それが2つめの理由。
 ロシアもOPECもアメリカのシェール革命を潰したいんです。どうしてアメリカいやシェール革命を潰したいのか?

 そもそも、わたしはシェール革命については、5年前、日本を代表する石油アナリスト(藤澤治さんと『これから日本経済は途方もなく凄いことになる』という共著があります)に話を聞いたときから、「アンビリーバブル」と思ってました。あの国お得意のいかさまでしょ。サブプライムローン金融商品と同じ。それが証拠に、シェールバブルがはじけつつあります。いま市場で流通してるのは「採掘権」「株式」「債券」という紙っぺらだけ。

 アメリカは中東原油の8パーセントしか輸入してませんね。シェールガス、シェールオイルのおかげで、もう中東との原油取引は停止してもいいと考えてるわけ。そうすれば、中東を守るコストも不要になるしぃ。今後10年間で軍事費を1割ずつ削減する、つう議会との約束も果たせるかも(どうせ無理でしょうけど)。第5艦隊はいらなくなるのね。実際すでに縮小してるもんね。
 こうなるとOPECは困る。どうして? イスラエルとイランという不倶戴天の敵がいるからね。アラブにとって前門の虎後門の狼。

 中東から手を引きたいアメリカをつないでおくにはどうすればいい?
1アメリカに中東原油を買わせる仕組みを温存しておくしかない。
 そのためには?
2アメリカを原油不足にするしかない。
 そのためには?
3シェール革命を潰せばいい。
 そのためには?
4シェール採掘を採算割れに追い込めばいい。
 そのためには?
5天然ガス価格、原油価格を暴落させればいい。
シェールさえ潰せば第5艦隊は安泰です。OPECの思惑はこういうこと。

 では、ロシアのほうはどうしてシェール革命を潰したいの?
 天然ガス埋蔵量・産出量で世界一の座を、シェール革命のおかげでアメリカに奪われてしまいました。これは戦略的にロシアは痛いですよね。だから潰したい。
 ロシアとOPECはどちらも自分たちの国益のみを追求した結果、アメリカのシェール革命潰しという一点で手を握ったわけ。

 幸いOPECは露天掘りですから原油採掘リグはとっくの昔に減価償却済み。バレル2ドルでも損しない。40ドル割れなど痛くもかゆくもありません。

 で、3つめの理由をお話しておきましょう。

 ロシアはシェールのおかげで原油とガスの埋蔵量がアメリカに抜かれたといいますが、あくまでも米系調査機関のデータ。ロシアは化けの皮を剥いでやるつもりで踏ん張ってます。ロシアは米国債を叩き売り、せっせと金を購入しています。そして天然ガスの売り先をヨーロッパ、中国、日本にシフトしようとしています。アメリカはそれはさせじとロシアに対する経済制裁をユーロと日本にも強要しています。

 ここでどう出るかです。ヨーロッパ、とくにドイツとフランスはロシアに大きく投資をしています。だからオバマには面従腹背しています。多国籍企業のエクソンモービル、GMもロシアに大きな権益を持ってます。だから、オバマの言うことなんて聞かないと思うよ。「自分だけは例外にしろ」とロビイストを使って切り抜けるはず。いつもそうしてきたんだもん。

 アメリカにしたって、原油安で庶民は助かってるのよ。7割も消費量が減っちゃったんだからさ。車社会アメリカでは原油高はかなり困るのよ。

 安倍首相もしたたかにロシアとパイプライン創設を進めればいいんです。オバマは戦争のできない大統領。中国と北朝鮮を牽制するためにもプーチンの力を利用すべき。オバマという非力な男が大統領してるいまが絶好のチャンスなんやけど。

 
 今日のメルマガでご紹介する本は「死に支度」(瀬戸内寂聴著・講談社・1512円)です。

 いよいよスタートです! 「博多原理原則研究会(第3期) と 出雲原理原則研究会(第2期)」は膨大な映像とデータを駆使してますますパージョンアップします!乞うご期待!「中島孝志のスピリチュアル研究会」も始まりま〜す。