2003年05月26日経済もいま、大地震

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地震で酔いが覚めた

 大きな地震でしたね。

 実はわたしは都内のホテルで食事を済ませた後だったんです。

 「あれ、そんなに飲んでないのに。疲れてるのかな、身体が揺れてるな」

 すると、ボーイさんが「お客様、地震です」

 「えっ、地震?」

 ホントだ。シャンデリアがぶつかり合って、カタカタ音がするんです。

 わたし、地震、大嫌いなんです(好きな人、いないと思うけど)。

 早速、電話で確認すると、「震度3だって」とのこと。都内は震度3とのことですが、あれは震度3ではありません。

 ここしばらく、都内で地震が何回もありましたけど、これは震度5はあったはず。少なくとも4はありました。ボーイさんも「ここで5年働いてますけど、こんなに大きな地震はありませんでした。先週のよりずっと大きかったです」と言ってました。

 宮城、岩手方面は大変でしたね。余震にも悩ませられたことと思います。

 伊豆に住む友人に言わせると、「地震? しょっちゅうあるよ。だから、もう慣れっこ」と、こちらは地震とつきあって暮らすだけあって、落ち着いたものです。

 やっぱり、「慣れ」とはすごいものです。




経済ガタガタ!

 さて、日本経済も大地震です。

 でも、慣れっこだな、いまの日本人は。りそな銀行が実質的に国有化されましたけど、別に驚かないものね。おそらく、銀行株は売られますけど、外国人投資家としては、日本の銀行の1つや2二つ倒れるのは織り込み済みでしょう。

 もしかすると、「これで日本も本腰を入れるかな」とベースとしては期待感を持つかもしれません。

 けど、生保はこれから大変ですね。銀行問題と同時に、ダメな生保の処理もこれから本格的に表面化してきますよ。

 さて、「りそな問題」ですが・・・。

 自己資本比率が4%を割った為、実質的国有化の措置が取られた。

?なぜ「りそな銀行」で起こったのか?

1資本不足−−監査法人による「繰り延べ税金資産」の厳格化によって、「六%台前半」と見込んでいた自己資本比率が二%台に落ち込み、国内営業に必要な自己資本比率四%という数値を切ってしまうことが確定したため。

2赤字・無配の連続で経営改善が見られない。

3不良債権の損失が予想以上に増えた。

4株式市場の低迷で財務が不安定。

5将来の収益性が不確実。

 元々、金融庁の抵抗勢力グループは従来の計上方法により「資本不足」は回避させようとしていたんでしょうが、金融庁内の会議において、緊急対策チームのメンバーから、「金融庁は繰り延べ税金資産の計上について銀行に指導介入するのか?」という質問に対し、「(建前として)しない」と答えたことが、監査法人による資本査定の厳格化へと拍車をかけたようです。




繰り延べ税金資産とは?

 税効果会計によってバランスシートに組み込まれた資産のこと、ですね。

 具体的には、不良債権処理において、有税処理で払いすぎた税金を払い戻してもらうこと。もっとわかり易く言えば、「前年度は黒字だったけど、今年度は赤字に転落したんで前年度に払った税金を戻してくれる」という制度です。

 赤字会社であっても、翌年から黒字計上できるなら、「特例」として5年分を計上してもいいこと、となっているから、4大銀行グループでも自己資本の半分、あるいはそれ以上がこの繰り延べ税金資産なんです。

 早い話が、この制度を使って、「来年、黒字計上できる」などとだれも信じていないのに、「赤字は一時的な問題。来年からは黒字になる!」と銀行は言い張って、5年分、計上しているわけです。そこが実は、いちばんいい加減というか、銀行経営としては脆いから、竹中さんは監査法人に厳格に査定させたわけでしょう。すると、国内で営業できる自己資本比率4%を切ってしまった。

 おそらく、銀行幹部などはいつものように政治屋や金融庁内の抵抗勢力らを使ってあちこち駆け回ったと思うけど、「監査法人からいきなり言われた」から時間的に間に合わなかった。だって、決算発表1週間前だったんですものね。

 実際、破綻した長銀にしても、日債銀にしても、破綻後に蓋を開けてみれば、銀行側の資本額と実際のそれとは大きな開きがあった。その要素にこの「繰り延べ税金資産」があったんですね。

 ところで、国内営業4%、国際営業8%という自己資本比率規制はあくまでも預金者保護のため。銀行経営者のためにあるのではありません。銀行が破綻しても、預金の払い戻しができるように一定額を保全している、という制度なんです。

 結論としては、りそな銀行は蘇ると思いますよ。どの金融機関も環境、条件はそれほどりそなと違いはありません。今後、経営責任の明確化、処理方法を眺め、「優しい改革」と銀行が認識すれば、「公的資金投入申請」が相次ぐと思うな。

 日本の銀行改革は実質的に「申請主義」であり、公的資金にしても銀行側が「申請」しない限り、政府は手が出せないのが現状。ここにいちばんの問題点があるんです。