2015年02月12日「紀ノ川」
カテゴリー中島孝志の不良映画日記」
「金沢ツアーのレポはまだっすか?」というメールがわんさと来そうですが、ちょいと映画のお話。
「紀ノ川、やるけど」と電話。
「映画? 司葉子と岩下志麻の?」
「そう」
「へえ、どこで?」
観に行きましたがな。このくそ忙しい中。締切3冊も抱えてるのに、編集者が聞いたら怒るだろうなあ。少なくとも皮肉は言われそうですな。けど、観ないとストレスで爆発しそうだしぃ。
DVDは持ってますよ。でも、これ、超大作ですからね。やっぱスクリーンで観たいっすよ。
場所は横浜の都市センタービル9階ホール(そごうのビルね)。超満員でしたな。ジジババばっかし(ま、私もそのうちの1人ですけどね)。。。
「お前はんのお母さんは、それやな。ゆうてみれば紀ノ川や。悠々と流れよって、見かけは静かで優しゅうて、色も青うて美しい。やけど、水流に添う弱い川は全部自分に包含する気や。そのかわり見込みにある強い川には、全体で流れ込む気魄がある。なかには、弱いと見せて、包含されない鳴滝川のような細い川もある。お前はんとわしのような・・・」
これ、義弟役の丹波哲朗と主人公の娘で文緒役の岩下志麻さんのやりとり。この場合の「紀ノ川」とは主人公である花(司葉子さん)のことですな。
平素はなだやかな流れ。いったん暴れ出すと手に負えない。ま、日本の河川はどこもそうです。紀ノ川はしょっちゅう氾濫してたんですよ。
豊かな川を豊か使わないから水の神様が怒ってる。。。わけでね。
夫は24歳の村長さん。以来、村のため、お百姓のために治水灌漑事業を政策にします。
日本版「女の一生」ですな。これだけの一代記をこれだけの予算をかけてつくることはもうないでしょう。
原作は1959年連載。映画は66年制作。司さんは当方の看板女優。この映画は松竹作品です。レンタルされたわけね。当時32歳ですよ。その司さんが22歳から72歳までを演じます。
最初、東宝は大反対。清純派女優が年寄りの役をムリにやって失敗したら大変ですからね。けど、やりたかった。2年前に亡くなった母親の世代を演じたかった。。。
「若い頃の時代は3分の1しかない。あとは年を重ねていく。観てわかったのは、若い頃より年を取ってからのほうが演技が巧い」
司さん、私らと一緒に観てたんですよ。ちいとも気づきませんでした。81歳。でも、周囲のジジババとはだんち。当たり前だけど。ご主人(元政治家)もいらしてて95歳。芸能界では司さんにしか電話をしてこない原節子さんは97歳。。。
映画は、いきなり、紀ノ川を舟で嫁入りするシーンから始まります。なんともいえないはんなりとした方言がいいですなあ。京言葉のようですな。
紀ノ川の上流九度山村。村一番の美貌と謳われた花。育ててくれた祖母が決めた男に嫁いでいきます。舅姑に孝養を尽くし、夫を支え、子を育てます。祖母の見込み通り、夫は出世。和歌山県政の第一人者になります。
その中で、岩下志麻さん演じる文緒はハイカラなフェミニスト。明治、大正、昭和と「家」を守ってきた花とは対極です。なにかにつけて反抗するわけ。
けど、日清、日露、大東亜戦争。敗戦。時代の荒波。なにより生まれたばかりの男の子を肺炎で亡くす。女の苦労を重ねて母親の気持ちがわかるようになります。
あのね。シングルマザーおおいに結構。子供はいたほうがいいっすよ。とくに女の子は長じてから話し相手、相談相手になります。少子化対策でいちば大切なことはシングルマザーへの補助。そして偏見をなくすことです。シングルだろうが、ダブル、トリプルだろうが大賛成。応援してあげなくちゃ。
文緒の娘華子は著者の有吉佐和子さんがモデルらしいですね。
172分があっという間。なんと、映画が終わると拍手。久しぶりですなあ。そのあと、司葉子さんのトークショーもありました。そうか、だから混んでたのか。。。いやいや、『紀ノ川』観たかったんだと思うな。
今日のメルマガでご紹介する本は「TPP反対が国を滅ぼす 農水省・JA農協を解体せよ!」(中川八洋著・PHP研究所・1620円)です。
「紀ノ川、やるけど」と電話。
「映画? 司葉子と岩下志麻の?」
「そう」
「へえ、どこで?」
観に行きましたがな。このくそ忙しい中。締切3冊も抱えてるのに、編集者が聞いたら怒るだろうなあ。少なくとも皮肉は言われそうですな。けど、観ないとストレスで爆発しそうだしぃ。
DVDは持ってますよ。でも、これ、超大作ですからね。やっぱスクリーンで観たいっすよ。
場所は横浜の都市センタービル9階ホール(そごうのビルね)。超満員でしたな。ジジババばっかし(ま、私もそのうちの1人ですけどね)。。。
「お前はんのお母さんは、それやな。ゆうてみれば紀ノ川や。悠々と流れよって、見かけは静かで優しゅうて、色も青うて美しい。やけど、水流に添う弱い川は全部自分に包含する気や。そのかわり見込みにある強い川には、全体で流れ込む気魄がある。なかには、弱いと見せて、包含されない鳴滝川のような細い川もある。お前はんとわしのような・・・」
これ、義弟役の丹波哲朗と主人公の娘で文緒役の岩下志麻さんのやりとり。この場合の「紀ノ川」とは主人公である花(司葉子さん)のことですな。
平素はなだやかな流れ。いったん暴れ出すと手に負えない。ま、日本の河川はどこもそうです。紀ノ川はしょっちゅう氾濫してたんですよ。
豊かな川を豊か使わないから水の神様が怒ってる。。。わけでね。
夫は24歳の村長さん。以来、村のため、お百姓のために治水灌漑事業を政策にします。
日本版「女の一生」ですな。これだけの一代記をこれだけの予算をかけてつくることはもうないでしょう。
原作は1959年連載。映画は66年制作。司さんは当方の看板女優。この映画は松竹作品です。レンタルされたわけね。当時32歳ですよ。その司さんが22歳から72歳までを演じます。
最初、東宝は大反対。清純派女優が年寄りの役をムリにやって失敗したら大変ですからね。けど、やりたかった。2年前に亡くなった母親の世代を演じたかった。。。
「若い頃の時代は3分の1しかない。あとは年を重ねていく。観てわかったのは、若い頃より年を取ってからのほうが演技が巧い」
司さん、私らと一緒に観てたんですよ。ちいとも気づきませんでした。81歳。でも、周囲のジジババとはだんち。当たり前だけど。ご主人(元政治家)もいらしてて95歳。芸能界では司さんにしか電話をしてこない原節子さんは97歳。。。
映画は、いきなり、紀ノ川を舟で嫁入りするシーンから始まります。なんともいえないはんなりとした方言がいいですなあ。京言葉のようですな。
紀ノ川の上流九度山村。村一番の美貌と謳われた花。育ててくれた祖母が決めた男に嫁いでいきます。舅姑に孝養を尽くし、夫を支え、子を育てます。祖母の見込み通り、夫は出世。和歌山県政の第一人者になります。
その中で、岩下志麻さん演じる文緒はハイカラなフェミニスト。明治、大正、昭和と「家」を守ってきた花とは対極です。なにかにつけて反抗するわけ。
けど、日清、日露、大東亜戦争。敗戦。時代の荒波。なにより生まれたばかりの男の子を肺炎で亡くす。女の苦労を重ねて母親の気持ちがわかるようになります。
あのね。シングルマザーおおいに結構。子供はいたほうがいいっすよ。とくに女の子は長じてから話し相手、相談相手になります。少子化対策でいちば大切なことはシングルマザーへの補助。そして偏見をなくすことです。シングルだろうが、ダブル、トリプルだろうが大賛成。応援してあげなくちゃ。
文緒の娘華子は著者の有吉佐和子さんがモデルらしいですね。
172分があっという間。なんと、映画が終わると拍手。久しぶりですなあ。そのあと、司葉子さんのトークショーもありました。そうか、だから混んでたのか。。。いやいや、『紀ノ川』観たかったんだと思うな。
今日のメルマガでご紹介する本は「TPP反対が国を滅ぼす 農水省・JA農協を解体せよ!」(中川八洋著・PHP研究所・1620円)です。