2015年08月28日創業の原点とはなにか。早川少年と西端青年。。。
カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」
つうわけで、シャープの講演もやんややんやの喝采でお開きになり、超ご機嫌です。2時間30分。。。ぜんぜん足りませんでしたね。せめて3時間やれば良かった。
大阪原原にもシャープ勤務のメンバーがいますけど、やっば、ここの社員、超優秀だわ。打てば響く。真摯。誠実。なるほどなるほど。早川徳次スピリット健在ですな。。。
私、早川徳次さん大好きなんす。シャープ創業時代の銀のシャーペン持ってます。銀製ですよ。特注。家宝です。
貧困の中、継母からいじめにいじめられ、食べるものも与えられないとき、近所に住んでた目の不自由なおばあさんに親切にしてもらった。実の母親以上に愛情を注いでくれ、あまりの仕打ちを見かねて奉公先まで世話してくれた。
幸之助さんより1つ上。奉公先より実家のほうが辛いし、帰るとこはないし、給金まであるんですから、仕事にも身が入ります。で、根っからのアイデアマン。技術屋。ここも幸之助さんによく似てます。
早川少年。後に視覚障害者のみならず、たくさんの福祉団体に匿名で寄付を続けています。この陰徳はご本人が亡くなってから判明すんだよね。
たぶん、いまとなっては、恩返ししたくてもできない。いまは亡きおばあさんへの御礼のつもりだったんでしょうね。
こういう原点を創業者は必ず持ってます。なければ偽もんだもんなあ。
かつて、ニチイという会社がありました。創業者は西端行雄さん。師範学校卒の先生ですよ。
「おまえ、これ、置いとけ」
言われたとおりにすると、みな、お金を置いていきます。
「商売って儲かるなあ。なんて楽な仕事なんだろう」
当たり前です。こいつはバカ正直だから終戦直後、生きていけないだろうと、友人が薪や炭をもってきてくれたんですね。山ほど積んだ前に座ってるだけで商売になる。元手ゼロですから儲かるに決まってますわなあ。
西端さん。勘違いして商売をやり出します。不器用な先生が商売人なんてなれるわけがありません。案の定、騙されるんです。
「これ、売れるから仕入れなさい」と大量に買わされます。カモですよ、カモ。
ぜんぜん売れません。途方に暮れた西端さん。売れない商品を背負って行商に出ます。しかしだれも買ってくれません。
大阪に飛田新地つう処があります。遊郭ですね。いわゆるチョンの間つうやつです。あんまり知らんけど。。。西端さん、そこに紛れ込みます。
「すんまへん。どこ行っても売れないんです。買うてくれませんか?」
どこでも売れないなら、ここでも売れるわけがありません。商売のノウハウなんてま〜〜ったくありません。けど懸命です。そりゃそうですよ。家に帰ればお腹を空かせた子どもたちが待ってるんですから。
「ちょっと来てごらん。アホが来てるよ」
お姐さんがみんなを呼んでくれます。
「あんた素人やな。商売、知らんね。なにやってたん?」
「教師をしてました・・・」
「そやろな。これ、騙されて買うたんか?」
「・・・」
男気のある姐さんでね。
「よっしゃ、みんな。このアホに免じて買うたげよ」
「ほんまや、アホやアホや」
「こんなん見たことないわ」
笑われながらも買ってくれたんですね。荷物がすべて空になりました。
商売は難儀なもんや。楽なもんやない。そりゃそうですよ。真冬にそうめん売ってたんですから。。。
これが西端さんの創業の原点になります。身体を売る女たちが損を承知で買ってくれた。その金で西端さん一家は生き延びることができた。。。
「社会の底辺にいる人たちを絶対に裏切らん商売をしよ。それがご恩返しや」
それから真剣に商売に身を入れるようになります。西端さんは、その後、ニチイというスーパーを創業します。
このニチイも西端さん亡き後、消えます。なんやわけのわからんスーパーに買収されます。商売人が商売の原点を忘れてマネーゲームにうつつを抜かした報いですな。
原点を知る者は創業者しかいません。創業者はこの原点を松明のように受け継いでもらいたいと願っています。これが「理念」なんですね。
形のないものですから、人によって千差万別。感性によって天地の差があるでしょうね。
知識、スキル、ノウハウ。。。ビジネススクールで勉強するものに理念なんて1つもありません。ジャック・ウエルチの「選択と集中」なんてくだらなくて話になりません。ありゃ、たんに成長率と収益率のマトリックスで数値化したもんを順番づけて、優先順に予算配分しただけのことじゃないっすか。
「こっから下は儲からんから売却!」
「この事業部の従業員は全員解雇!」
こんなもん銀行員でも経営できまっせ。けどね。MBAてのはこういう理屈を上手にプレゼンする方法を懸命にマスターするんです。いかにつまらん人間ができあがるかわかるっしょ?
理念は数字ではありません。理念は数値化できません。とっても次元が高いモノだから「単位」がないんです。人間は「単位」で評価なんてできないんですよ。
だって「心」をもっているから。いつか大化けするから。突然、化けるんです。
愚直、バカ丁寧。鈍くさい。まったくスマートじゃない。けど、お客さんをけっして裏切らない。こんな心の姿勢は勉強して学ぶモノではありません。知識じゃないの。頭で理解するもんじゃないの。
細胞の1つひとつに染み込んでいるものなの。密教みたいなもんなのよ。MBAもいいけどさ。丁稚奉公がとっても大切なのよ。朝起きたら自然とみながやっている。だから私もやっている。「どうして?」「なぜ?」と聞かれたってわからない。だって、ずっとそうやってきたんだから。
これが社風です。価値観です。理念です。毎日毎日いろんなことに具現化されています。
その1つを見て、ああ、この店はこういう店なんだな。この会社はこういう会社なんだな、とだれにもはっきり伝わる空気のことです。
社是社訓なんてたんなるお題目です。どれだけ魂が入ってるかなんすよ、大切なことは。立派な仏つくったところで魂が入ってなきゃたんなる木です。
「あのね、ほんとうに大切なものは目には見えないんだよ。だから心の眼で見るしかないんだよ」(『星の王子様』)
いま、創業者がいたらどうするだろう? こんなとき、あの人ならどうするだろう?
たまにそう考えてみませんか。迷ったとき、困ったとき、雑な仕事をしてしまいそうなとき、お客さんが理不尽に思えたとき。。。
「ごめんなさい。無茶なこと言ってごめんね」
何も言ってないのに、お客さんのほうから謝ってくる。こんな奇跡が起こりますよ。私、たっくさんそういう経験してきましたから。
さて、今日のメルマガでご紹介する本は「大統領を殺す国韓国 後半」(辺真一著・KADOKAWA/角川書店・864円)です。
大阪原原にもシャープ勤務のメンバーがいますけど、やっば、ここの社員、超優秀だわ。打てば響く。真摯。誠実。なるほどなるほど。早川徳次スピリット健在ですな。。。
私、早川徳次さん大好きなんす。シャープ創業時代の銀のシャーペン持ってます。銀製ですよ。特注。家宝です。
貧困の中、継母からいじめにいじめられ、食べるものも与えられないとき、近所に住んでた目の不自由なおばあさんに親切にしてもらった。実の母親以上に愛情を注いでくれ、あまりの仕打ちを見かねて奉公先まで世話してくれた。
幸之助さんより1つ上。奉公先より実家のほうが辛いし、帰るとこはないし、給金まであるんですから、仕事にも身が入ります。で、根っからのアイデアマン。技術屋。ここも幸之助さんによく似てます。
早川少年。後に視覚障害者のみならず、たくさんの福祉団体に匿名で寄付を続けています。この陰徳はご本人が亡くなってから判明すんだよね。
たぶん、いまとなっては、恩返ししたくてもできない。いまは亡きおばあさんへの御礼のつもりだったんでしょうね。
こういう原点を創業者は必ず持ってます。なければ偽もんだもんなあ。
かつて、ニチイという会社がありました。創業者は西端行雄さん。師範学校卒の先生ですよ。
「おまえ、これ、置いとけ」
言われたとおりにすると、みな、お金を置いていきます。
「商売って儲かるなあ。なんて楽な仕事なんだろう」
当たり前です。こいつはバカ正直だから終戦直後、生きていけないだろうと、友人が薪や炭をもってきてくれたんですね。山ほど積んだ前に座ってるだけで商売になる。元手ゼロですから儲かるに決まってますわなあ。
西端さん。勘違いして商売をやり出します。不器用な先生が商売人なんてなれるわけがありません。案の定、騙されるんです。
「これ、売れるから仕入れなさい」と大量に買わされます。カモですよ、カモ。
ぜんぜん売れません。途方に暮れた西端さん。売れない商品を背負って行商に出ます。しかしだれも買ってくれません。
大阪に飛田新地つう処があります。遊郭ですね。いわゆるチョンの間つうやつです。あんまり知らんけど。。。西端さん、そこに紛れ込みます。
「すんまへん。どこ行っても売れないんです。買うてくれませんか?」
どこでも売れないなら、ここでも売れるわけがありません。商売のノウハウなんてま〜〜ったくありません。けど懸命です。そりゃそうですよ。家に帰ればお腹を空かせた子どもたちが待ってるんですから。
「ちょっと来てごらん。アホが来てるよ」
お姐さんがみんなを呼んでくれます。
「あんた素人やな。商売、知らんね。なにやってたん?」
「教師をしてました・・・」
「そやろな。これ、騙されて買うたんか?」
「・・・」
男気のある姐さんでね。
「よっしゃ、みんな。このアホに免じて買うたげよ」
「ほんまや、アホやアホや」
「こんなん見たことないわ」
笑われながらも買ってくれたんですね。荷物がすべて空になりました。
商売は難儀なもんや。楽なもんやない。そりゃそうですよ。真冬にそうめん売ってたんですから。。。
これが西端さんの創業の原点になります。身体を売る女たちが損を承知で買ってくれた。その金で西端さん一家は生き延びることができた。。。
「社会の底辺にいる人たちを絶対に裏切らん商売をしよ。それがご恩返しや」
それから真剣に商売に身を入れるようになります。西端さんは、その後、ニチイというスーパーを創業します。
このニチイも西端さん亡き後、消えます。なんやわけのわからんスーパーに買収されます。商売人が商売の原点を忘れてマネーゲームにうつつを抜かした報いですな。
原点を知る者は創業者しかいません。創業者はこの原点を松明のように受け継いでもらいたいと願っています。これが「理念」なんですね。
形のないものですから、人によって千差万別。感性によって天地の差があるでしょうね。
知識、スキル、ノウハウ。。。ビジネススクールで勉強するものに理念なんて1つもありません。ジャック・ウエルチの「選択と集中」なんてくだらなくて話になりません。ありゃ、たんに成長率と収益率のマトリックスで数値化したもんを順番づけて、優先順に予算配分しただけのことじゃないっすか。
「こっから下は儲からんから売却!」
「この事業部の従業員は全員解雇!」
こんなもん銀行員でも経営できまっせ。けどね。MBAてのはこういう理屈を上手にプレゼンする方法を懸命にマスターするんです。いかにつまらん人間ができあがるかわかるっしょ?
理念は数字ではありません。理念は数値化できません。とっても次元が高いモノだから「単位」がないんです。人間は「単位」で評価なんてできないんですよ。
だって「心」をもっているから。いつか大化けするから。突然、化けるんです。
愚直、バカ丁寧。鈍くさい。まったくスマートじゃない。けど、お客さんをけっして裏切らない。こんな心の姿勢は勉強して学ぶモノではありません。知識じゃないの。頭で理解するもんじゃないの。
細胞の1つひとつに染み込んでいるものなの。密教みたいなもんなのよ。MBAもいいけどさ。丁稚奉公がとっても大切なのよ。朝起きたら自然とみながやっている。だから私もやっている。「どうして?」「なぜ?」と聞かれたってわからない。だって、ずっとそうやってきたんだから。
これが社風です。価値観です。理念です。毎日毎日いろんなことに具現化されています。
その1つを見て、ああ、この店はこういう店なんだな。この会社はこういう会社なんだな、とだれにもはっきり伝わる空気のことです。
社是社訓なんてたんなるお題目です。どれだけ魂が入ってるかなんすよ、大切なことは。立派な仏つくったところで魂が入ってなきゃたんなる木です。
「あのね、ほんとうに大切なものは目には見えないんだよ。だから心の眼で見るしかないんだよ」(『星の王子様』)
いま、創業者がいたらどうするだろう? こんなとき、あの人ならどうするだろう?
たまにそう考えてみませんか。迷ったとき、困ったとき、雑な仕事をしてしまいそうなとき、お客さんが理不尽に思えたとき。。。
「ごめんなさい。無茶なこと言ってごめんね」
何も言ってないのに、お客さんのほうから謝ってくる。こんな奇跡が起こりますよ。私、たっくさんそういう経験してきましたから。
さて、今日のメルマガでご紹介する本は「大統領を殺す国韓国 後半」(辺真一著・KADOKAWA/角川書店・864円)です。