2016年01月21日「の・ようなもの のようなもの」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 ま、『の・ようなもの』、あの続きはどうなってんだ。『30年後の俺たちの旅』みてえなノリだよね。
 で、客はジジィばっか(私も含めて)。つまんねえ映画つくりやがって。あくびが出てくらあ。。シナリオが悪いね。で、最近の落語はもっとリズミカルなんだよ。こんな昭和のリズムじゃねえっつうの。マツケンも仕事選べよな。

 わが学生時代に観たあの『の・ようなもの』とは雲泥の差だね。

 でだよ。最後に志ん魚(しんとと)が夜明けの東京を、アサヒビール吾妻橋工場から仁丹塔、国際劇場へと、「黄金餅」を演りながら道中づけしていく、あのラストシーンはいってえどこで演んだよ、っつうの。

 ・・・てなことを思いながら観てました。


森田芳光は日芸の落研だったもんね。先輩があの高田文夫さんだよ。

 で、ですな。後半、その「黄金餅」をこんな形で入れたんでげすよ。

 なるほどねえ。。。で、マツケン演じる志ん田(しんでん)が新作をこれまたこういう形で演じるわけ? 思わず涙が流れましたよ。

 ええぞ、ええぞ〜。そうこなくっちゃ。これ、最高っす。また見るっす。

♪よっ、たっぷり!

 そうか、そうだったのか。。。この映画、観客のためにつくったんじゃねえな。こりゃすべて亡き森田芳光監督のためにつくったんだな(劇場デビュー映画だもんな)。

 早い話がオマージュってやつ? だから、『の・ようなもの のようなもの』ってわけ?


マツケンの「初天神」なかなかのもんだよ。。。『の・ようなもの』封切りの4年後だよ、マツケン生まれたの。

 キャストも森田監督に縁のある人ばっか。秋吉久美子さん演じたソープ嬢のエリザベスには出てもらいたかったね。あの鈴木京香さんのやってた煎餅屋の女将さんなんてぴったしじゃん。コサキンも出たら良かったのに。もちジジィのオカマ役。どうして出ないんだよ。。。

 観客も私と同じように、『の・ようなもの』が好きだったんだろうなあ。傑作だったもん。何度観たかわからんわいな。

 で、尾藤イサオさんやっぱ歌巧い。
♪だ〜れのせいでもありゃしない みんな おいらが悪いのか♪
 この人、元もと、芸人だかんね。奇術やってたのよ。声質なんざ、志の輔さんかと思いましたよ。

 で、マツケン、落語、巧い。なんたって声がいい。いままで噺家役やった俳優たくさんいますけど、ダントツに巧い。資質的に相性がいいっす。

 志ん水役のでんでんさん、志ん肉役の小林くん。激やせしてたけど太ったから、あの頃にくりそ。無理して太ったんかなあ。桂子師匠は相変わらずだしねえ。

 志ん魚役の伊藤克信さん。たまに旅番組レポーターなんかやってるけど、この人、老舗旅館の跡取りでしょ。キャステイングのために『全日本落語選手権』を見てたら、ドンピシャの学生がいたのね。有名保険会社に就職が決まっててさ、監督、申し訳なくて、「映画に出てくれ」と切り出せなかったらしいよ。

 で、伊藤さん。「なんの用ですか?」と聞いて、ようやく、「実は・・・」と話し出したのね。

 私、映画観たとき、こいつ、ホントに役者か? この北関東の訛りはどうにかなんねえの? と思いましたよ。ま、以来、芸能界にいるわけでさ。人間、一寸先は闇つうけど光でもあるわけよ。

 ほんわか、ゆったり、肩の力をすとんと抜いて観られるね、こりゃ。