2016年09月29日超高齢社会になった理由。。。
カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」
昨日のブログについてあちこちから質問がありました。昨日、版元の編集長たちとも会ってたんすけど、彼らもいろいろ言ってましたなあ。
「世界一の高齢社会で財政破綻すんじゃね?」
「孤独死(孤老死)が他人事じゃありませんよ(未婚なんだって)」
「いつからこんなになっちまったんだか」
ま、いろいろ意見と質問が飛び交っておりましてね。で、原原の「まくら」あたりでお話しようかと思ったんすけど、米国大統領選、ドイツ銀行危機、そんな時間ありそうにないしね。
日本人の平均寿命って世界一高いもんね。男80.5歳(銅メダル)、女86.8歳(ぶっちぎりの金メダル)。トータルでは83.7歳で金メダル。ダントツの超長寿国なのよね。
けど、1950年当時は先進国最低つうか最短だったんすよ。なんと50歳だもん。
♪人生わずか50年・・・。謡曲「敦盛」にある通り。もち、こんだけ短いのは乳児死亡率が高かったから。年間20万人も死亡してたのよ。
1900年、アメリカは平均寿命47歳。40年は63歳、42年は64.8歳。対して、日本は男性50歳、女性54歳(1947年)だったのよ。
どうしてこんな短期間でごぼう抜きできたんすか? ちょいと考えてみてくださいよ。
・医学が発達したからじゃね。
・栄養価の高いものを食べられるようになった。
・スポーツとかで健康になったからじゃね。
・衛生観念が普及した。
・きれいな国になった。
ま、いろんな意見がありますよね。けど、元もと山紫水明の国で美しいじゃないすか。日本は。
それはマクロで見るとそうなんだけど、細菌等々、ミクロで眺めるとそうでもないんすよ。乳児の死亡率が高かったのも、母胎の栄養が低いつうことより、やっぱ、不衛生だからですよね。
いまでこそほとんど出産は産婦人科でしょ。けど、50年代はほとんど自宅出産でした(東京でも76%が自宅でした)。
水道水にしてもどこまで煮沸していたか。煮沸しても洗面器そのものが除菌できていたか。包帯とかタオルの除菌はどうか。乳児の赤痢疫痢つう問題もありましたしね。
そうなんす。水道水を塩素消毒しはじめたのが1922年なんです。井戸を使ってたご家庭もたくさんあったでしょうけどね。
塩素消毒することになったのは、以前、原原でお話したことがありますね。1917年のロシア革命に介入したシベリア出兵。この時、日本軍は毒ガス開発を研究してました。それが塩素ガスなわけ。当時の外務大臣は後藤新平。元もとは医師ですよ。台湾時代に遭遇した総督府長官児玉源太郎元帥に抜擢された人ですね。
シベリア出兵はあっという間に終わっちゃった。で、使えなくなった塩素ガスが余っちゃった。で、液体塩素にして上水道消毒に流用したわけ。
関東大震災時の東京市長。この時、衛生の悪い東京からはじめて全国に普及させた。で、乳児死亡率がどーんと低下したわけ。
いま、日本では0.1%の塩素消毒が水道には義務づけられてますけど、塩素ガス開発の本家スウェーデン(カール・ウイルヘルム・シェーレ)では地下水が水道水になってたりします。で、美味しいのよね。私も水は全国から取り寄せてます(愛飲してる「美味しい水」をいずれご紹介しましょう)。
長寿化に貢献したのはほかにもたくさんあんだろね。図版にまとめておいたけどね。
1950年になりますと、農家の次男坊三男坊たちが集団就職で都会にやってきます。で、懸命に仕事します。そして収入も田舎の跡取りよりも稼ぐようになるわけ。
田舎の長男が農閑期に出稼ぎに行くのに、家を継げなかった連中は都会の団地で文化生活。「長男なんかに生まれたくなかった」と愚痴をこぼすようになります。
収入面で都会が田舎を追い抜く。この影響は大きいですよ。
というのも、公害等で環境が悪かったり、不衛生だった都会より田舎の方が衛生的に良かった時代が終わり、都会がどんどん美化されていくからです。つまり、人口密度の多い都会が超清潔な地域になっていく。たとえば、私の頃には小中学校で毎年4月にあった検便、検尿(いまでもあんの?)でもギョウ虫が発見された、なんて都会ではトンと聞かなくなりましたからね。
そして極め付きは「皆保険」ですよ。これ、英国を真似てかなり早い時期に導入されましたけど、自営業者とか農民は自腹でした。全国民をカバーするようになったのは1961年なんすよ。
やっぱ、これが大きいと思うな。というのも、それまでは高齢者(65歳以上の人)は医療費が少なかったんです。経済的に恵まれない高齢者は医者にかからない。自腹だからね。それが皆保険が全国民に普及しますと、自己負担がめちゃ低ければ、ちょっと腹痛い、足痛い、風邪気味・・・こんなんでもすぐお医者にかかります。処方された薬の方が薬屋で買うより安いしね。
目が見にくい、しょぼしょぼする、膝が痛い、ちょっと疲れる・・・当たり前だろ、そんなに生きてりゃどこかしら悪くなるわな。
「原因はなんなんでしょうか?」
「老化です」
んなこた、私でもわかりまっせ。自然の理っすよ、機械じゃないんすから。
1970年、日本は「高齢化社会」になりました。総人口中65歳以上が7%超になったからね。
94年には14%超で「高齢社会」となりました。07年には21%超。ついに世界初の「超高齢社会」となります。
この勢いがとまりません。去年の国勢調査ではなんと26.7%。いいんすか。4人に1人以上っすよ。おかげで平均医療費は64歳以下17.5万円(年間)に対して、75歳以上89.2万円! 社会保障給付は116兆円(GDPはたった500兆円)。
「破綻すんじゃね?」ではなく、すでに破綻してるんです。
解決策は・・・少子化を脱すること。シングルマザー、シングルファーザーをリスペクトすること。補助金を出すこと。めちゃくちゃ子供を産む宗派、民族を移民させること。早く2050年になること。団塊の世代が消えますから。ほかには? まあ、うんと経済成長すること。どれもこれも難しいわな。
2050年までもつかなあ。それともホセ・ムヒカでもめざしますか。ここんとこ、も少し探求して、原原の「まくら」で議論しましょ。
さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「不死蝶 岸田森」(岸田森著・ワイズ出版・1,620円)です。私の大好きな大好きな俳優さんでした。
「世界一の高齢社会で財政破綻すんじゃね?」
「孤独死(孤老死)が他人事じゃありませんよ(未婚なんだって)」
「いつからこんなになっちまったんだか」
ま、いろいろ意見と質問が飛び交っておりましてね。で、原原の「まくら」あたりでお話しようかと思ったんすけど、米国大統領選、ドイツ銀行危機、そんな時間ありそうにないしね。
日本人の平均寿命って世界一高いもんね。男80.5歳(銅メダル)、女86.8歳(ぶっちぎりの金メダル)。トータルでは83.7歳で金メダル。ダントツの超長寿国なのよね。
けど、1950年当時は先進国最低つうか最短だったんすよ。なんと50歳だもん。
♪人生わずか50年・・・。謡曲「敦盛」にある通り。もち、こんだけ短いのは乳児死亡率が高かったから。年間20万人も死亡してたのよ。
1900年、アメリカは平均寿命47歳。40年は63歳、42年は64.8歳。対して、日本は男性50歳、女性54歳(1947年)だったのよ。
どうしてこんな短期間でごぼう抜きできたんすか? ちょいと考えてみてくださいよ。
・医学が発達したからじゃね。
・栄養価の高いものを食べられるようになった。
・スポーツとかで健康になったからじゃね。
・衛生観念が普及した。
・きれいな国になった。
ま、いろんな意見がありますよね。けど、元もと山紫水明の国で美しいじゃないすか。日本は。
それはマクロで見るとそうなんだけど、細菌等々、ミクロで眺めるとそうでもないんすよ。乳児の死亡率が高かったのも、母胎の栄養が低いつうことより、やっぱ、不衛生だからですよね。
いまでこそほとんど出産は産婦人科でしょ。けど、50年代はほとんど自宅出産でした(東京でも76%が自宅でした)。
水道水にしてもどこまで煮沸していたか。煮沸しても洗面器そのものが除菌できていたか。包帯とかタオルの除菌はどうか。乳児の赤痢疫痢つう問題もありましたしね。
そうなんす。水道水を塩素消毒しはじめたのが1922年なんです。井戸を使ってたご家庭もたくさんあったでしょうけどね。
塩素消毒することになったのは、以前、原原でお話したことがありますね。1917年のロシア革命に介入したシベリア出兵。この時、日本軍は毒ガス開発を研究してました。それが塩素ガスなわけ。当時の外務大臣は後藤新平。元もとは医師ですよ。台湾時代に遭遇した総督府長官児玉源太郎元帥に抜擢された人ですね。
シベリア出兵はあっという間に終わっちゃった。で、使えなくなった塩素ガスが余っちゃった。で、液体塩素にして上水道消毒に流用したわけ。
関東大震災時の東京市長。この時、衛生の悪い東京からはじめて全国に普及させた。で、乳児死亡率がどーんと低下したわけ。
いま、日本では0.1%の塩素消毒が水道には義務づけられてますけど、塩素ガス開発の本家スウェーデン(カール・ウイルヘルム・シェーレ)では地下水が水道水になってたりします。で、美味しいのよね。私も水は全国から取り寄せてます(愛飲してる「美味しい水」をいずれご紹介しましょう)。
長寿化に貢献したのはほかにもたくさんあんだろね。図版にまとめておいたけどね。
1950年になりますと、農家の次男坊三男坊たちが集団就職で都会にやってきます。で、懸命に仕事します。そして収入も田舎の跡取りよりも稼ぐようになるわけ。
田舎の長男が農閑期に出稼ぎに行くのに、家を継げなかった連中は都会の団地で文化生活。「長男なんかに生まれたくなかった」と愚痴をこぼすようになります。
収入面で都会が田舎を追い抜く。この影響は大きいですよ。
というのも、公害等で環境が悪かったり、不衛生だった都会より田舎の方が衛生的に良かった時代が終わり、都会がどんどん美化されていくからです。つまり、人口密度の多い都会が超清潔な地域になっていく。たとえば、私の頃には小中学校で毎年4月にあった検便、検尿(いまでもあんの?)でもギョウ虫が発見された、なんて都会ではトンと聞かなくなりましたからね。
そして極め付きは「皆保険」ですよ。これ、英国を真似てかなり早い時期に導入されましたけど、自営業者とか農民は自腹でした。全国民をカバーするようになったのは1961年なんすよ。
やっぱ、これが大きいと思うな。というのも、それまでは高齢者(65歳以上の人)は医療費が少なかったんです。経済的に恵まれない高齢者は医者にかからない。自腹だからね。それが皆保険が全国民に普及しますと、自己負担がめちゃ低ければ、ちょっと腹痛い、足痛い、風邪気味・・・こんなんでもすぐお医者にかかります。処方された薬の方が薬屋で買うより安いしね。
目が見にくい、しょぼしょぼする、膝が痛い、ちょっと疲れる・・・当たり前だろ、そんなに生きてりゃどこかしら悪くなるわな。
「原因はなんなんでしょうか?」
「老化です」
んなこた、私でもわかりまっせ。自然の理っすよ、機械じゃないんすから。
1970年、日本は「高齢化社会」になりました。総人口中65歳以上が7%超になったからね。
94年には14%超で「高齢社会」となりました。07年には21%超。ついに世界初の「超高齢社会」となります。
この勢いがとまりません。去年の国勢調査ではなんと26.7%。いいんすか。4人に1人以上っすよ。おかげで平均医療費は64歳以下17.5万円(年間)に対して、75歳以上89.2万円! 社会保障給付は116兆円(GDPはたった500兆円)。
「破綻すんじゃね?」ではなく、すでに破綻してるんです。
解決策は・・・少子化を脱すること。シングルマザー、シングルファーザーをリスペクトすること。補助金を出すこと。めちゃくちゃ子供を産む宗派、民族を移民させること。早く2050年になること。団塊の世代が消えますから。ほかには? まあ、うんと経済成長すること。どれもこれも難しいわな。
2050年までもつかなあ。それともホセ・ムヒカでもめざしますか。ここんとこ、も少し探求して、原原の「まくら」で議論しましょ。
さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「不死蝶 岸田森」(岸田森著・ワイズ出版・1,620円)です。私の大好きな大好きな俳優さんでした。